渋谷と横浜をつなぎ、1日の平均輸送人員が100万人を超える「東急東横線」。1日の乗降客が渋谷に次いで2位の横浜駅には、毎日30万人ほどが訪れているが、そこにある男子トイレが「わかりにくい」と騒ぎになっている。
トイレを表示する看板は、右側がピンク、左側が緑のカラーリングとなっており、パッと見は左が男子トイレだと誰もが思うだろう。しかし、左側のトイレは、オストメイト(人工肛門造設者など)や障害者、また子連れや高齢者などに配慮したバリアフリートイレ(男女共用多機能トイレ)なのだ。
バリアフリートイレの入口横にある「お手洗い案内図」を見てみると、バリアフリートイレのさらに左側、男性の足なら20歩も歩いたところに男子トイレがある。
もちろん、バリアフリートイレは男女共用のため、男性が使っても問題ないのだが――ホームから階段を上がってすぐのところにこのトイレはあり、ずっとトイレを我慢してきて、1分1秒を争う状態で「やっとたどりつけた!」と安堵した人には、とんだ不意打ちに違いない。
実際に観察していると、わずか2〜3分の間に、続々とバリアフリートイレに男性が入っていこうとするも、みな何か違うことに気づき、引き返して出てくる。入っていいのかどうかわからない人が多いのだろう。
たまたま作業を終えた清掃員の女性が出てきたので、「ここは使ってもいいんでしょうか?」と話を聞いてみた。すると、「いいんです、いいんです。体の不自由な方だったり、小さなお子さん連れの方がメインなんですけど、空いているときは全然使っていいんです」とのこと。
とはいえ、しょっちゅう利用客から同じ質問をされるようで、「わかりにくいですよね。迷う方が、たくさんいらっしゃるんです」と困惑気味に話してくれた。
実際、この設計にわかりにくさを感じる人は少なくないようで、ネット上では、
《東急、マジでこのトイレの設計悪手すぎるだろ…普通男子トイレだと思うじゃん》
《日本語・漢字が分からない外国人であるなら、確かに判断に迷うでしょう》
《脇に地図あるじゃん。見りゃわかるだろ!文字見りゃわかるだろ!色見りゃわかるだろ!ピクト見りゃわかるだろ!いやいや、人間はそんなに丁寧ではない》
《これ実際にわたし間違えました…》
などの声が複数上がっている。このトイレについて、東急電鉄はどう考えているのだろうか? 広報に話を聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
「横浜駅のトイレは大便器の洋式化および衛生器具数の増設による混雑緩和、利便性・快適性向上を目的に改修を実施しており、スペース等の制約がある中で検討した結果、現在のトイレ配置となっております。
なお、男女トイレの出入口サインにはそれぞれ青色・赤色を使用しておりますので、男女共用多機能トイレについては一般的に使用されている緑色としております」
国土交通省の「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究」では、案内表示について《男女が共用できる位置に設けた便房の表示板等には、男女共用であることを、文字や図記号等により、わかりやすく示すことが望ましい。》程度しか明示されていない。
そのため、東急の対応にまったく問題はないのだが、一刻を争うときもあるだけに、トイレくらいは迷わず利用できるようにしてほしい、と考える人も多いようだ。
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