沖縄県中部のとある一軒家。数台のPCとさまざまな資材が置かれたその家は、ある会社のオフィスとして使われている。
「ここが僕の今の仕事場。人材派遣の会社で働いているんです」
そう語る長身の男性は、元タレントの羽賀研二(60)だ。羽賀は、2007年6月に詐欺容疑で逮捕され、2013年に懲役6年の実刑判決が確定し、沖縄刑務所に服役した。さらに2017年には、所有する16物件の不動産の名義をめぐって財産隠しに問われ、強制執行妨害の疑いで再び逮捕。
2020年9月、懲役1年2カ月の実刑判決を言い渡され、再び沖縄刑務所に服役した。羽賀が出所したのは昨年9月6日だ。出所して半年が経ち、沖縄で過ごす羽賀は今、何を思うのかーー。
本誌のインタビューに彼が語ったのは、現在の苦境と、諦め切れないある思いだった。
「当時は出所できた嬉しさより、今後どう生きていくのかという不安に苛まれました。服役中は月2回面会が認められていて、前妻と2人の娘が毎回来てくれていたんですよ。
でも、出所してみたら前妻には弁護士を通じてしか連絡が取れなくなっていて、今は定期的に娘に会えるように話し合いをしているところです」
所有していた不動産の配当も当然受けることができず、かつて大金を稼いだ男は裸一貫の無一文になった。そんな彼の “再出発の場” となっているのが、冒頭の人材派遣会社だ。
「保釈中に友人と人材派遣の会社を立ち上げたんです。社員は僕を含め4人。15人のスタッフを食品の販売員などとして派遣しています。僕は、その派遣先にドライバーとして早朝からいろんな資材や商品を運んだり、現場を見に行ったり。もちろん、スタッフの送迎も自分でしています。タダで譲り受けた軽自動車で、走り回る毎日です」
また、今は会社が借り上げている部屋で、歳下の男性社員と共同生活を送っているという。
「出所した僕に住まいはありませんでした。『俺のところに来いよ』って誘ってくれる友人もいましたが、いけしゃあしゃあとお世話になるわけにはいかないでしょう。今は、若い男性社員と、会社が借りている部屋で2人住まいです。
給料は安いですよ。貯金を崩して生活していますが、その貯金もあと27万円まで減ってしまいました。とはいえ、食べたいものは食べられているし、暮らし向きに不満はないんですけどね」
沖縄で厳しい生活を送っている羽賀だが、ひとつの強い思いが彼を支えている。
「服役中から、いつか芸能界に復帰したいと考えていました。僕は高校時代からずっと芸能界にいたから、ほかの生き方を知らないんです。
でも、出所した途端、不安に駆られました。逮捕された人間は、人前に戻れないんじゃないかと。不安と孤独で押し潰されそうになりましたが、そんなときにある旧知の社長が『もう一度やるなら応援する』と言ってくれた。
それで、立ち上がらなきゃいけないと思ったんです。迷惑をかけた人への謝罪という意味でも、セカンドチャンスをものにしないといけない。4月には芸能界復帰に向けた会見を開こうと思っています」
実際、年末に公開予定のある映画に出演が決まり、すでに沖縄で撮影をすませたという。
「ほかにもYouTubeやVシネなど、いろいろ話が来ています。これまでやってきたジュエリーの展示会販売も再開させたい。すでに4月以降のスケジュールが入ってきています。ありがたいですね」
芸能界復帰に向け、体作りにも余念がない。
「毎日朝晩に納豆を食べて、腕立て伏せ、ストレッチ、ウオーキングを欠かしません」
本当の意味で “誠意大将軍” として復活するための雌伏の日々を、羽賀は必死に生き延びているーー。
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