Facebookのユーザー離れが深刻化…Google日本法人、LINE元代表ら語る “おっさんSNS” の生存戦略
「Facebook(以下、FB)はもともと、CEOのマーク・ザッカーバーグがハーバード大の仲間とともに作った、女子学生を品評するネットコミュニティでした。
「特にブレグジット(2020年のイギリスのEU離脱)の賛否を問う国民投票の際に起きた個人情報の不正流出や、トランプが米国大統領になったときのフェイクニュースやフェイク広告の氾濫は目に余るもので、FB自身の関与や責任も問われました。アメリカでは利用者の不信感が高まり、性別や世代を問わず “FB離れ” の一因にもなっています」
「2021年、FBはMetaと社名も変えて、メタバース(3次元仮想空間)に経営資源を集中する方針を示しました(※本記事ではFBで社名の表記を統一)。
「SNSにはそれぞれ長所と短所があり、ユーザーは使い分けています。スピーディで簡略なやり取りを好むデジタルネイティブ世代に受け入れられたのがLINEといえるでしょう。スマホでの利用に特化し、誰もが使いこなせるメッセージサービスをと、使命感を持って作り上げたものでした」
「今の日本では、FBはメッセンジャーで直接コミュニケーションを取り、あとは知り合いのタイムラインを眺める、という使われ方に落ち着いているのではないでしょうか。アナログ世代の居場所としては貴重で、温かい雰囲気が漂っていますが、それを受けつけない世代がいるわけです」(森川氏)
「ただ、過度に丁寧なメールを書く人が、今のビジネスの現場では『仕事が遅い人』『昭和の感覚の人』というネガティブなイメージを持たれることもあるように、SNSでも、見てすぐ結論が伝わるコミュニケーションが主流になっていくと思います。FBは、長文を読むことが苦にならない高齢ユーザー向けに固定化していくでしょうね」(森川氏)
「学生からのレポート提出のメールのなかには挨拶文がなく、ただファイルを添付しているだけのものがあるんですよ。だから、入学時にマナー講習会があるくらいです」
「FBは、基本は内輪に向けた意見表明の場です。しかし、内部のアルゴリズムによって、利用者が無意識に “特定の意見” に凝り固まっていく傾向は見過ごせません。コピペのような投稿ばかり見せられては、うんざりしてしまいます」
「FBが自社の利益を優先するあまり、ユーザー間にさまざまな対立を引き起こしてきたことを認めたのです。また、FB傘下のインスタグラムでは、ダイエットに励んだ少女が、インフルエンサーがアップした画像を鵜呑みにし、心身を病んだケースが紹介されました」
「2021年、FBの1日あたりのユーザー数が、創業以来初めて減少に転じました。FBの収益に貢献してきた2社の買収が白紙となれば、FB本体は立ち行かなくなるでしょう」
「それまでに、再び道義的な過ちを繰り返せば、FBが解体・消滅といった事態に陥る可能性も否定できません」
取材/文・鈴木隆祐