(取材&文・伏見 学)
「ファンの方々のおかげで、私にとって安心できる場所ができました。きっとこの人たちは本当にずっと応援してくれるんだろうなと感じて、それがパワーになりました。迷いなくアイドルとして自分が思った道を突き進めました」
「手を抜かないことはずっと大事にしていました。最初のころは私のことを覚えてもらわなきゃいけなかったし、必死にやらなければキラキラと輝いて見えないはずだと思うので」
●アイドルになる夢をからかわれて…
「フリフリのお洋服を着ながら踊る発表会とかがとても好きでした。嬉しさのあまり、お洋服を幼稚園から持ち出して、自宅でお披露目会をやって、『お父さん、お母さん、絶対に発表会に来てね。写真をいっぱい撮ってね』と言っていましたね」
「すごくキラキラしていたし、同い年とか、年下の子でも、私よりもしっかりしていてカッコいいなと思いました」
「学校の授業で将来の夢とかを書くじゃないですか。私、そこに『アイドルになる』と書いたんですよ。そしたら同じクラスの男の子からめちゃくちゃバカにされて。『お前なんてなれるわけねーだろ』と。クラスの皆がワーっと集まってきて、『こいつ、こんな夢を持ってるんだぜ』とからかわれました」
「だったらなってやる…!」と古畑さんは心の中で発奮した。ちょうどタイミング良くSKE48のオーディションがあったため、迷わずに応募。見事に合格し、2011年10月、第5期生のメンバーとなった。
●下積みも楽しかった
「ひたすらレッスンを頑張っても、挫けちゃったりする姿をアニメの中で見ていました。研究生はお仕事もないので、毎日レッスンばかり。まさにアニメと同じで、『私、アイドルやってるー!』と実感しました。ステージに立つための下積みもアイドルの一部じゃないですか。そこに苦はなく、楽しかったですね」
「SKE48の先輩たちはいつも堂々として、MCは全然緊張してないし、歌声も震えていませんでした。でも、私が実際にステージに立つと、こんなにも緊張して、震えるものなんだとびっくりしました」
「客席の一番前にいる人の顔すら見えないくらい、モヤがかかっている状態でした。それくらい緊張して。サイリウムだけが見えていて、あとは全部真っ白みたいな」
●練習の虫に、その努力は身を結んだ
「劇場公演のために毎日練習していました。公演当日の朝も2回くらい通して家で練習してから行ったり。陰で努力すれば、安心して本番のステージに立てるはずだと信じて。たくさん練習した分、あまり緊張はしなくなり、ステージにも慣れることができました」
「裏で頑張って練習したことが認めてもらえたような気がして。自分は間違っていなかったのかなと」
「いや、違うんですよ。私は本当に覚えが悪くて……。あと、今もまだ緊張しちゃうんですよ。だから自分が安心するためにやっているだけで。要領がいい子だと、練習時間を短縮できるし、その分、違うことに割けるし。それが本当はいいんだと思います」
●ファンに負担をかけてはいけない
「SKE48に入ってすぐ、ダンスの先生と、当時のマネージャーさんから、ここは中学校や小学校じゃないからね、部活でもないからね、と厳しく言われました。また、ファンの方はお金を払って、皆のことをアイドルという職業の人として観にきていることを意識すべきだと徹底的に叩き込まれました」
「先輩が『OKです!』と軽い感じでマネージャーさんに返事していたから、ここではそうやればいいんだと思っちゃって、私も『OKでーす』と言ったら、泣かされるまでガチボコに怒られて…。そこから上下関係というものを学び、一社会人として、しっかりとご指導していただきました」
「こだわりが強くて終わりがないというか。自分でもそれがたまにストレスになったりするんですけど、理想だけは一丁前に高くて。でも、理想にどうしても届かなくて、終われずにやり続けてしまいます」
「プライベートなこととか、誰かが傷ついちゃうこととかは言わないようにしています。やっぱり、ファンの皆さんは少なからず癒しを求めてくれていると思うんですよ。そこに私が心配させる雰囲気を出していたら、負担になるじゃないですか。それはアイドルとしてどうなんだろうと。だから他人を悲しませたり、心配させてしまったりするような表情や言動はしないと心に誓いました」
後編へ続く―。