保険金の不正請求問題などで揺れるビッグモーターに“救世主”が現われた、と報じられた。
「テレビ朝日によれば、7月から大手コンサルティング会社・デロイトトーマツグループの『ファイナンシャルアドバイザリー』が、事業の再生計画に携わっているといいます。
7月の報道以降、前社長と前副社長が辞任してもなお、ビッグモーターへの不正追及の声はやみません。社内でのパワハラや、店舗前の街路樹に除草剤をまいていた件などでイメージダウンは続き、急速に客足が離れているといいます。
さらにビッグモーターが苦しんでいるのが、銀行からの借入金90億円です。取引先の銀行団から借り換え要請を拒否されており、期限を迎える18日までに返済することになっています」
SNSでは《デロイトがビッグモーターを救済するだと!?》と驚く声もあるが、実態はどうだろうか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が語る。
「デロイトトーマツは会計系のコンサルタント会社で、これは推測ですが、おそらくはデュージェリデンス(資産評価)が目的だと思います。現状、ビッグモーター社にどれくらいの価値があるのかを見定め、『買収・合併』の可能性を模索するためですね。
ビッグ社としては、『まだうちの会社には価値があります』と打ち出すために、高く価値を見つもってもらいたいところでしょう」
ビッグモーターの経営再建が、買収・合併によるものだということだが、果たしてこの状況で“買い手”が現れるのだろうか。松崎氏は「現れても現れなくても、ビッグ社には厳しい未来が待っている」と指摘する。
「現在、ビッグ社の売り上げは限りなくゼロに近いわけですから、経営再建するならやはり資金投入するスポンサー企業は不可欠です。その意味でも、現状の会社の価値を評価してもらうというのはビッグ社にとって重要なはずです。
買い手が現れなければ、このままの状態が続くわけですから、最悪、破産の未来も見えてきます。一方、買い手が現れたとしても、ビッグモーターは非上場なので、スポンサー企業が増資を引き受けるのは難しいでしょう。なので考えられるのは、現状の株が放棄され、事業売却するという選択肢です」
要するに、買い手がおらず破産するか、買い手に株を安価で売り払い事業売却するか……どちらにしても、これまでに積み上げた事業形態は消えてなくなるというのだ。
“救世主”の登場かと思われたビッグモーターだが、その未来には、なお暗雲が立ち込めている――。
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