「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
2月22日は猫の日、11月1日は犬の日といわれていますが、「犬派か猫派か」という話が出るのは、動物の中でも犬と猫だけではないでしょうか? それってなぜ? 西川先生が実体験を交えて語ります(編集部)。
「20220222」
そう、勘のいい方ならお分かりのはず。20220222は今年の猫の日を西暦で表示したもの。
ニャンとニャニャンとニャンニャンニャン、いやぁ見事な語呂のよさ。
ということで、今回は猫絡みの話題を入り口に……。
巷ではよく、犬派? 猫派? なるものがよく取りだたされます。
かくいう私はというと、どっち派でもありません。
猫も好きですし、犬も好きです。
動物好きならば、おそらくみんなそうでしょう。実際、私の周りの犬を飼っている人たちは、猫も好きです。それなのになぜに?
犬派、猫派、と分けたがるのはそもそも誰?
私が思うのにはですね……。
犬派の3人は猫好きでもあった
何年か前にテレビ出演をしたときの話です。
犬の専門家として呼ばれたのですが、オファー時にうかがっていた企画は、犬や猫の「なるほど」を伝えるといった内容。ただ、直前の打ち合わせで聞いた演出は、犬派?猫派?との討論といったスタイルを取るというものだった。
3人対3人で、それぞれが相手よりも自分のおすすめする種の魅力がいかに優位なのかを討論する。
「犬も猫も飼っていて、それぞれ魅力的で好きなのですが」と、私は討論に難を示したのですが、「そこはひとつバラエティの演出ということで」と頭を下げられ、しぶしぶ申し出を受け入れることとなりました。
そこに呼ばれていた犬派サイドは、私ほか獣医師などの動物の専門家2名。実はその2人も私と同じ、猫も犬も好きという話でした。
あえて対立関係を作っている
カブトムシ、ヤドカリ、亀、ハムスター、小さな動物から大きな動物へと、自らの成長にともない飼育する動物も変わってくる。
その変化の先に、犬や猫の(または別の種の)存在がある。
動物の専門家というのはそういうものでしょうし、専門家でなくても動物が好きな人というのもみな同様なのではないでしょうか。
犬派?猫派?などと日頃区別することもありません。
犬派?猫派?と分けているのは、もっぱら雑誌やテレビなのではないでしょうか。
共和党対民主党、トランプ支持かバイデン支持か、政治の世界では当たり前ですし、2者を戦わせるというのはスポーツでもそうですが、とにかくVS的な演出は盛り上げやすい。
しかし動物の世界は、政治ともスポーツとも違います。
猫派として呼ばれていた人たちも
猫派として呼ばれていた3人はというと、お一人を除いて獣医師などの動物の専門家でした。撮影前後の雑談では専門家のお二方も、犬は嫌いというわけではないという印象でした。
猫派の3名のうちお一人のみが、犬は嫌いとはっきりと主張していたように記憶しています。
犬が嫌い、苦手という方は確かにいます。
でも話を聞くと、過去に「噛まれたことがある」または子どもの頃「危ないと親から言われていた」といった経験や刷り込みがある方がほとんどです。
そういった経験や刷り込みが、その方にもあったのではないでしょうか。
さて、動物好きと口憚らないそんな私も、苦手な動物は存在します。
蛇だけはどうも……。
もっとも、蛇派? 〇〇派?といったVS的な何かを見たこともありませんし、雑誌やテレビでも取り上げられるわけでもないので、どうでもいいと言えばどうでもいい話です
どうでもいい話ついでにですが、次に同程度に語呂のいい猫の日がやってくるのは、22220222、キャッと驚きの200年後。
ニャンともはるか先のことなのですよ。
文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
西川文二氏 プロフィール
公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(16才)、鉄三郎くん(12才)ともにオス/ミックス。