復活登板は、しびれる展開で巡ってきた。5―5の六回。昨年8月に国指定の難病「黄色靭帯骨化症」の手術を受けた三嶋がマウンドへ向かう。「まさかこんないい場面になるとは」。虎党の大声援に負けないほどの左翼席から響く「三嶋コール」に送り出された。
安打と犠打で1死二塁から、代打渡辺諒をフォークボールで空振り三振。近本に左前へはじき返されるも、佐野の本塁好返球で無失点で切り抜けた。「オープン戦とは別物。歓声や拍手も聞こえた。いろんな人に支えられているなと感じた」と、昨年5月7日以来となる実戦を振り返った。
術後は「もう野球ができないと思った」と打ち明ける。そもそも症例が少ない上、過去に発症した他球団の先輩らにも連絡を取ったが、症状が完全になくなった例は耳にしなかったからだ。
それでもリハビリに黙々と励み、渇望していた舞台に戻ってきた。木塚投手コーチからはこんな言葉を掛けられたという。「どんな場面でも投げてチームを救ってくれ」。三嶋は言う。「何とか0で抑えられた。第一歩を記せたかな」
復活、さらなる進化へ―。32歳の剛腕は周囲への感謝を胸に、力強く野球人生の再スタートを切った。
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