若手投手陣と共に成長して悲願を成し遂げる。横浜DeNAの伊藤光捕手(33)が昨季バッテリーを組んだのは上茶谷大河、坂本裕哉、京山将弥ら伸び悩んでいる20代半ばの先発陣が多かった。「自分も勉強させてもらった。勝ち上がっていくには底上げが必要」。16年目を迎えるベテランは言葉で、配球でベイ投手陣を支える。
「このままだと次はないぞ」
脳裏に刻まれた一戦がある。昨年9月9日の阪神戦(横浜)。先発した上茶谷は2軍調整を経て3カ月ぶりの1軍マウンドだった。緊張からか初回、先頭打者に四球を与え、次打者への制球も定まらない。するとボールを受けていた伊藤がマウンドへ駆け寄り、こんな言葉をかけたという。
「(2軍で)過ごしてきた3カ月は、ここで終わるような時間ではなかったでしょ? 打たれてもいいからストライクゾーン勝負。このまま四球で終わったら次はないぞ」
配球も大胆に変えた。試合前のミーティングでは外角中心。しかし「ピッチャーは、内角に投げる時に神経を使い集中力が増すから感覚が戻るのではないかと思った」(伊藤)と内角球を増やすことも決めた。
23年シーズン期待の投手は
先発陣で勝ち星を多く挙げたのは11勝の今永、大貫や8勝の浜口ら。各投手の特長を生かそうと意思疎通を図ってきた伊藤も「軸になるピッチャーをもっとつくらなければ」と優勝への条件を挙げる。
自身もここ数年はけがに苦しみ、納得した結果を残せていない。「自分が(捕手の)軸になって試合に出たい」。オフは不安のある左ふくらはぎを入念にケアしながらも研さんに励む。盗塁阻止率を高めるため、阪神・梅野を参考にワンバウンドの捕球技術を磨いている。
2023年のシーズンで台頭してもらいたい投手の一人に、23歳の阪口の名を挙げた。「持っている力はあんなものじゃない。何とかしたいピッチャー」と伊藤。四半世紀ぶりの頂へ、培ってきた経験を還元することが責務だと分かっている。
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