「億り人」と呼ばれる、投資で1億円以上のお金を稼いだ人たち。実力と投資センス、そして血のにじむような努力をして資産運用を行う。そんな中でも名前の知られたトレーダーがテスタさんだ。今年、利益40億円を達成した。
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テスタさんが株式投資を始めたのは2005年。15年間で40億円トレーダーになるまで、成功体験ばかりではないだろう。
「失敗したときの経験を話してもらえますか?」というインタビューに対し、やさしく答えてくれた。その一部を紹介する。
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僕は、「投資に付きものといわれるリスクを取ったつもりはない」と、いつも言っています。それは、「当然、勝てるよね」と誰もが納得できるくらい勝率が高いものを見つけて、勝てそうなときだけ投資してきたからです。
そんな僕にも当然、「大」がつくほどの失敗はあります。今でも忘れられない大失敗は、2016年1月、さくらインターネットという株を信用取引でカラ売りしたときのことです。
その頃の僕の資産は6億円くらいでした。さくらインターネットはクラウドなどに使うデータセンターを運営する会社。その株が2015年12月の始値298円から、翌2016年1月13日には高値2110円まで約7倍も上昇しました。
上昇の材料になったのは、ビットコインなどの登場で、今やすっかり有名になった「ブロックチェーン」という技術です。
ブロックチェーン、何それ? 2016年の1月といえば誰もがそんな状態だったと思います。
(編集部注:ブロックチェーンはネット上で改ざんされないように、金融の取引の記録を暗号化して数珠つなぎにしていく仕組み。IT<情報技術>と金融サービスの融合を目指す「フィンテック」にとって必要不可欠な技術)
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当時の僕は、このブロックチェーンという材料を軽視していました。ストップ高を連発し、上がり続けるさくらインターネット株を見て、「どう考えても上がりすぎ。下がるまで、ずっとカラ売りし続けよう。損切りはしないぞ」と決めて、信用取引のカラ売り注文を入れたんです。しかし、その後もさくらインターネットはストップ高を連発。たった1週間で損失は1億円以上になってしまいました。
前年の2015年は1億7000万円以上の利益を出せていたのに、その利益分に匹敵する損失を年始のたった1週間で出してしまった。
「いったい、どれくらい負けるんだろうか」
怖くなりました。1億円以上の損失、しかも総資産に対して10%以上負ける経験はしたことがありません。精神的にめちゃくちゃきつかった。食べ物もノドを通りません。自分でもびっくりしましたが、血尿が出ました。
失敗の原因は、まずブロックチェーンという技術がそれほど強い材料だったことに気づけなかったこと。さくらインターネットのような小型株の場合、大量の買いが入ると株価が青天井で上がりやすいこと。そして、損失無限大というカラ売りの怖さ……。
損失1億数千万円でさくらインターネットを切った直後は、放心状態でした。大きな売買を終えたあとは、放心状態でベッドに横になるのが僕のルーティン。失敗したあとは寝ます、とにかく寝ます。
目が覚めて思ったのは、2015年の年末の、資産10億円を達成したときのことでした。負けたとき、失敗したとき、僕はこれまでの成功体験を思い出すようにしています。株の取引をしている間、感情は常にフラットでないといけないと思っているからです。
(構成/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)