クイズプレイヤー・林が世の中をよくしようと頑張るヒト、モノ、コトを訪れる旅企画の第1回、テーマは植物性の「代替肉」。
"肉の代わり"という名前の通り、動物の肉は一切使わず、大豆などを原料に作られたお肉だ。
名前はよく聞くけれどどんな味だろう?今注目のこの食材を味わうべく、林は代替肉の「カルビ焼肉」が食べられるというお店に向かった。
肉なのに肉じゃない。そんな"次世代"の食品がどうしても食べたい林が訪れたのは、東京都にある焼肉チェーン「焼肉ライク」上野店だ。
林
この"1人で行ける焼肉屋"をコンセプトに掲げる焼肉ライクに代替肉のメニューがあると聞いてやってきました。どんな味なんだろう…
タッチパネルで注文するんですね。
林
牛肉や豚肉の通常のメニューが並んでいるけれど…。あ、これだ!「NEXT大判カルビ2.0」!では早速オーダーしてみます。
林
これが代替肉!見た目は結構、普通のお肉ですね。「代替肉」と言われないと分からないかも。
さあ、ちょっと焼いていきましょう。よいしょ。
林
網の上に乗っている様子はちょっと厚めなカルビって感じかな。焼ける音はまさに「焼肉」ですね。
でも、普通のカルビと違うのは焼き色の付き方です。カルビってさっと焼けちゃうイメージなんですけど、それよりはゆっくり焼き色が付く印象ですね。
林
香りは…。うーん、よく分かんない(笑)。「肉本来の香り」ってあらためて考えると難しい…。とにかくおいしそうな香りがするのは間違いないです(笑)。
そろそろかな!
林
では、いただきます!
林
肉の味だ!おいしい!! 食感は本当に「肉」そのもの。
肉の繊維などが非常に忠実に再現されています。お米との相性もすごくいいと思います。お茶碗1杯じゃ足りない(笑)。
佐々木英之CEO
はじめまして!代替肉の開発・販売企業ネクストミーツでCEOを務める佐々木と申します。本日はよろしくお願いします。
林
よろしくお願いします!先ほど実際に食べてみて、「まさに肉だ!」と感動したのですが、代替肉ってどうやって作っているんですか?
佐々木CEO
まず原料ですが、メインは「大豆」です。
林
僕たちが普段食べているような大豆ですか?
佐々木CEO
普通の丸大豆や「脱脂大豆」という油脂分を抜いたものを使うこともあります。
佐々木CEO
その大豆に水分と熱と圧力の3つを加えることで形を作っていきます。
その後に、「肉の食感」が出るような二次加工を行い、今食べていただいたような「代替肉」の形にしていきます。
提供:ネクストミーツ
林
二次加工とはどんなことを?
佐々木CEO
ごめんなさい!そこは企業秘密なんです(笑)。
林
企業秘密…!とても気になります(笑)。でも、たくさんの研究を重ねられてあの食感を再現できたんだろうなと。食べることでその努力が伝わるほどの完成度でした。
林
代替肉を食べる前は「本当に肉の味がするの?」「肉の再現度ってどれぐらいなの?」というところが、すごく気になっていました。
でも、今日初めて食べてみて「ものすごいクオリティが高い!」と。
佐々木CEO
ありがとうございます。それはうれしいです!
林
肉に近づける上で大事にしていることは何ですか?
佐々木CEO
代替肉開発のなかで一番こだわっているのは「食感」です。硬すぎても柔らかすぎてもダメで、絶妙なかみ応えを出さないといけない。
それを二次加工で行うんですが、理想の食感になるまでにこれまで何度もテストを繰り返してきました。
林
だから企業秘密なんですね!
佐々木CEO
その通りです(笑)。データを積み重ねてたどり着いた結果のひとつが、この「NEXT大判カルビ2.0」です。
林
では、今の商品が"究極の代替肉"と言えるのでしょうか。
佐々木CEO
いえ、まだまだ進化が必要です。そのことを表しているのが商品名。何か違和感を覚えませんか?
林
この「2.0」ですか?最初見た時ソフトウェアみたいだなと思っちゃったのですが。
佐々木CEO
その通りです!改良が進んでいることを示すため、ネクストミーツの商品にはバージョンが記載されています。
例えばカルビだと前のモデルとして、1.0、1.1があります。そこから2.0へバージョンアップした際の一番の変化は大きさです。
佐々木CEO
今日、林さんに食べていただいたのは一枚肉の大きなスライス肉でしたよね。
林
運ばれてきた瞬間は、「分厚いカルビが出てきた!」とびっくりしました。
佐々木CEO
今までの技術ではその半分ほどの大きさが限界だったんです。
そこからジューシー感とかみ応えを保ちつつ大きい状態を維持する研究を行い、改良版を販売しました。
林
ということは、今後、3.0、4.0も生まれていく…?
佐々木CEO
そうですね。まだ残っている大豆臭さなど肉以外の風味をなくすことをはじめ、道のりは長いです。
「肉らしさ」をもっと出すには何が必要かを常に考えています。
佐々木CEO
大きさに関しても、逆にすき焼きみたいに薄くするなど、食べやすくするためのアイデアはまだまだたくさんあります。
原料も大豆だけではなく、よりサステナブルなものとして微細藻類(びさいそうるい)なんかも考えていて、新しい商品を常に追い求めていきたいですね。
林
藻!どんな新しい肉が生まれるのか楽しみですね。すき焼きバージョンも食べてみたい。
林
ネクストミーツさんは、そもそもどうして代替肉を?
佐々木CEO
創業したのは僕と現会長の白井良の2人です。ビジネスパートナーとしての付き合いは長かったのですが、どちらも食品開発の経験は全くなくて。
林
代替肉の研究などをしていたのかと思っていたので意外です。じゃあ、完全に初めての世界へのトライだったんですか?
佐々木CEO
はい(笑)。でも、ずっと2人で「環境に関わる事業をやりたい」と話してはいたんです。
佐々木CEO
世界の温室効果ガス排出量の約15%が畜産に起因するという国連報告が2013年に発表されたこともあり危機感を持っていました。
その解決策を模索するなかで代替肉の存在を知り、「これに挑戦しよう!」と。
佐々木CEO
そこから自分たちで原料を調べ、大豆を買ってきて潰したりこねたりして「豆臭い変なかたまり」を作ることからスタートしました。
林
食品開発の経験がなくても諦めない姿勢がすごい…!
佐々木CEO
ただやっぱり限界はあるので、食品工場を訪ねて試作させてもらおうとしたのですが、はじめは全くの門前払いで。
研究者の方にアドバイスをもらったり、食品関係者に仲介してもらったり、いろんな人の助けを借りて、3年かけて最初の商品を完成させました。
林
代替肉研究という、お2人にとっても世の中にとってもまだまだ未知の分野に挑戦し、ネクストミーツ起業まで至る挑戦を続けてこられたのはなぜでしょうか?
佐々木CEO
今、ネクストミーツは「地球を終わらせない。」という会社理念を掲げています。
佐々木CEO
それは車がガソリン車から電気自動車(EV)に変わってきているように、食も時代によって変わらないといけないという思いがスタート時にあったからです。
そして、その地球環境を思う気持ちは今も変わっていません。
林
地球環境への思いがネクストミーツさんの原動力なのですね。
佐々木CEO
環境負荷の課題に加えて、今後は世界で食糧難が起きると言われています。
林
国連の報告書では世界人口が現在の約78億人から、2050年までに100億人近くに増えるとも言われていますね。
佐々木CEO
今のペースで環境負荷の高い畜産を増やし、大量生産・大量廃棄を続けると地球環境の悪化に拍車がかかります。その一方で食糧不足が加速する可能性も高い。
だからこそ肉を増やさなくても、世界のみんなが栄養価の高いものを満足して食べられる状況を作りたい。
佐々木CEO
そのなかで代替肉の果たす役割は大きなものになると僕たちは考えています。これは「肉を食べるのをやめましょう」ということではありません。
これまでの生活習慣をゼロにしたり、食べたいものを我慢したりする社会を目指すのはハードルが高いですよね。目指すのは「選択肢をひとつ増やすこと」。
佐々木CEO
普段の買い物で「肉か魚か、あ、でも今日は代替肉にしようかな…」と考えることが当たり前の世の中になれば、肉の生産量を増やさなくても、必然的に代替肉を手に取る人の割合が増え、環境改善や食糧不足の解消につながると考えています。
林
そのために今後、ネクストミーツさんが立ち向かう課題はありますか?
佐々木CEO
通常のお肉と比べて価格が高いことですね。原料レベルで考えれば安いのですが、加工で人件費がかかってしまっています。
できるだけ気軽に手を出せる価格設定を実現していき、将来通常の肉よりも安くなった時に世界がどう変わるのか。その未来を僕たちが実現した時のことを考えると楽しみです。
林
ひとつひとつの課題を解決していくことが代替肉の普及につながるわけですね。
佐々木CEO
新しいものを食べる時って一度で終わることも多い。それを継続してもらうためにも、「いろんなところで食べることができるのは当たり前」という考え方を作っていかないといけないと思っています。
佐々木CEO
僕たちが目指すのはノンアルコールビールのポジションです。ノンアルコールビールは昔は一部のお店でしか扱っていませんでしたが、今ではコンビニで簡単に手に入ります。
代替肉も同じように「当たり前にどこでも買える存在」になった時、大きなパラダイムシフトが起こせると考えています。
林
今のお話を聞くと、ネクストミーツさんの会社名にある「ネクスト」には、「次のステップにつなげたい」という思いを感じます。
佐々木CEO
そうですね。「次世代により良い地球環境を残していく」という意味や「次に来る新しい食品」という意味など、いろんな意味が込められています。
その思い、行動をこの先50年、100年先の次の世代にまでしっかりと届けていけたら、僕としてはうれしいです。
林
ありがとうございます!良いお話をたくさん聞かせていただき、本当に勉強になりました。次世代への思いで生まれた新しい食材「代替肉」。これからも注目していきます。
佐々木CEO
こちらこそありがとうございました!おいしい代替肉商品をどんどん生み出していきますので、楽しみにしていてください。
林
最後に僕が「代替肉」に関するクイズを2問出題します!答え・解説が知りたい人は右側の赤いマークをタップ!
身近なあの食品と代替肉がつながっているなんて、意外ですよね。
1問目💡本物の肉はどれ?
2問目💡どこまで知っている?代替肉の歴史
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