<

総評

一人の高校生が、遠い南の島・マーシャルで出会った日本語の歌から始まる物語。マーシャルで父親を亡くした男性をドキュメンタリー映画に収める過程を通じ、75年前に終わった戦争が決して過去のものではないことを伝えてくれる。「日本からマーシャルは見えない。でもマーシャルからは日本のことがよく見える」という言葉が印象的だ。
(LINE NEWS編集部)

琉球新報の記事(Coccoさんの話)と並び、これも《あの戦争を伝える》がテーマです。Coccoさんは、たった一度聞いた祖母の話をきっかけに、自分の歌という表現で。この大川さんは、たまたま旅先で聴いた歌をきっかけに、自作の映画という表現で。こうして、似て非なる他の記事を読み合わせていくたびに、テーマの理解は立体的になってゆきます。
主人公の大川さんの出発点は、「何も知らなかった」高校生。多くの若い読者と至近距離の存在であったことが、南洋の戦場と読者の間の隔たりに、橋を架けてくれました。彼女を揺さぶった歌が聴ける。佐藤さんの渾身の叫びが、今自分も同じ船に乗っているかのように共有できる。こんなにもリアルに情報を受け取って、さてどうしよう…と思ったラストに、《知る》への入口として映画の配信がリンクされています。更にそこに飛ぶと、《関わる》への入口として、現にコロナ禍に苦しんでいる在米マーシャル人の人達への寄付窓口が。行動に繋げたい人は直行できるこの"入口機能"も、ネット記事の真骨頂です。
(特別アドバイザー・下村健一氏)

※ 映画の配信は8月で終了しています

記事を読む