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総評

芸能人の逮捕など、度々取り沙汰される「依存症」。遠い世界のように感じてしまうが、その先入観を崩す記事。ストロング系チューハイや市販薬など卑近な例を挙げ、「自分も巻き込まれるかもしれない」と思わせられる。またインタラクティブなグラフを使用し、直感的に理解ができる。切り口、見せ方ともに「伝えたい」という意思を強く感じる。
(LINE NEWS編集部)

ある事に警鐘を鳴らしたくて書かれる記事は、《その警告内容を強化してくれる材料しか採用しない》という悪い癖に陥りがちです。特に、結論の即断即決が好まれるネット上の書き物では、その傾向が一段と色濃く感じられます。しかしこの記事は、「トータルで見ると、物質系の依存は微減か」など、全体の趣旨からすればトーンダウンとなる不都合なコメントも捨てずにきちんと載せていて、かえって内容への信頼感を高めています。
そして、メインで登場する専門家(松本氏)が多用する「ような気がします」「と思う程です」「と思います」「のでしょうか」といった語尾。やたら明快に《言い切る》ことで権威を高めようとするエセ専門家と、《言い切らせる》ことで記事の箔をつけようとするお手軽記者の共犯関係も少なくない中、松本氏と岩永記者の誠実さが光ります。
それによって記事がボヤけてしまうかと言えば、さにあらず。「ハームリダクション」のような直球の投げかけは、《議論の場》というネットの特性を大いに刺激してくれます。
(特別アドバイザー・下村健一氏)

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