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総評

東日本大震災から9年が経過し、風化の懸念が強まる中、伝承の最前線に立ち続ける3人の思いを丁寧に伝えた記事。彼らの「語る理由」を掘り下げながら、報道のあり方や伝承に携わる人々の待遇といった問題も提起。被災地の変化をスライドショーで見せることにより、その年月を視覚的にも分かりやすく伝えている。
(LINE NEWS編集部)

《メディアのあるべき姿を問う》記事をメディアが報じると、どんなに自戒を込めているつもりでも、読者・視聴者から「お前が言うな」という反発を受けます。私もTBSキャスター時代、何度もそんなお叱りを受けました。
けれど、多メディアの記事を読者に仲介する場という機能を持つLINE NEWSでそのテーマを扱うと、(実際にその記事を書いているのはどこかのメディアであることに変わりないにもかかわらず)なぜか仲介者の介在で抵抗感が和らいで、メディアも読者も一緒に考える空気が醸成しやすいのかもしれないーーーこの記事を一読して、そんな不思議な可能性を感じました。
主婦の高橋さんが吐露する、「不幸比べ」でメディアの相手にされない疎外感。学生の永沼さんが挑戦する、報道人と対話する「メディアコラボ」の試み。市嘱託の高山さんが指摘する、伝承者の育成と待遇改善問題。いずれも、すぐ取り組むべき喫緊の課題です。提起した河北新報さんとLINE NEWSさんが組むことで、せっかく投じた一石の波紋を広げる場づくりなど模索できたらなと思います。
(特別アドバイザー・下村健一氏)

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