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総評

プロ野球・北海道日本ハムファイターズなどで活躍した森本稀哲さんが、幼少期に「汎発性円形脱毛症」で悩んだ経験をもとに、10代の若者に伝えたいことを語った記事。つらい時期を乗り越えた体験談にとどまらず、悩んでいる人に共感の念を示し、当事者に見えづらい相対的な視座が提供され、読み手に前を向かせる温かい力強さを感じさせる。
(LINE NEWS編集部)

森本さんが連打するさりげない名言が光る記事です。例えば、「野球ってずっと帽子かぶってる競技」。誰もが知っているけれど意識したことがない観点ですよね。髪のことで悩んでいる当事者ならではの一言に、ハッとさせられます。また、「(いつか)見返してやろう」は「あんまり優しい感情ではないですよね」という優しい感情。“悔しさをバネに頑張った”という定番の感動フレーズが、ちょっぴり揺さぶられます。
圧巻は、「10人のうち2人」に言われた悪口を「みんな」に言われると思ってしまうのはもったいない、という言葉! これは、ネット情報の受け取り方全般にズバリ当てはまる指摘です。森本さんがそこで、10人のうち残り8人の存在に気づくことができたのは、外野スタンドという《皆が見える場》=声高に批判する人だけでなく、静かに応援してる人、黙って微笑んでる人も見える場へ手を振ったからでした。SNSの誹謗中傷に今苦しんでいる渦中の人達にも、この視野の広がりをぜひ届けたいです。
(特別アドバイザー・下村健一氏)

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