受賞記事
- 総評下村健一
前半は、「知人と連絡が取れない」という個人的な出来事から出発して、警察から市役所まで、スクロールするにつれてどんどん舞台が展開していく。自分が当事者だったらどんな目に遭うのかが、伴走しているように実感できる。 それが後半は一転、墓地埋葬法から研究者の解説まで、前半の個別事案をテンポ良く一般化してゆく。と、ここまでは読者の[頭]に訴えてきて、ラストは故人の言葉で[心]に訴えて締めくくる。練られた構成だ。 惜しまれるのは、ラスト前の後半部分の結論を「社会全体で議論していく必要がある」という常套句で片づけていること。問題提起型の記事で具体的な締め方が思いつかないときに、安易に記者が頼りがちな決まり文句だ。続編はここを突破して、さらに刺さる発信に挑んでいけるだろうか。 その後取材班は、実際に続編を放ち、今度は常套句で逃げずに更なる情報提供を呼びかけるオープン・エンドの形を取った。素晴らしい、ミッション続行宣言だと思う。
LINE NEWS編集部より