受賞記事
- 総評下村健一
災害などの長期取材には、マンネリ化の弊害がつきまとう。被取材者(当事者)の方々の苦闘は日々続いているのに、取材者も読者も冷酷なほどに飽きてゆく。 飽きた取材者は飽きた読者をつなぎとめるべく《新しい切り口での企画モノ》に注力し、結果的に、基本的な全体像を俯瞰して伝えてくれる記事が減っていってしまう。 そんな中でこの記事は、発災から5カ月の時点での「能登の今」を、LINEユーザーに素直に見せてくれる。それも、「金沢で車を借りて」から始まって、「目に飛び込んで来たのが」「手に取ってよく見ると」等々、その日の記者の日記(ジャーナル)のようで読みやすい。まさに"ジャーナリスト"だ。 だが、そんな平明さの中に、時おり記者ならではの視座(過去の被災地取材体験との対比など)が織り交ぜられ、読者の理解が深まる。また再訪の日記が読みたい。
LINE NEWS編集部より