- 総評亀松太郎
いじめと不登校。重要な社会問題であるのは間違いないが、悲しいかな、どの学校にも存在する「当たり前の風景」と化してしまっている感がある。当事者以外は深刻さに目を向けない傾向がある。 そんなテーマにどう関心を持ってもらうか。この記事は「13歳の声」というキーワードで、自ら命を絶たざるをえなかった少年と、首相に手紙を書いた少女の物語をつなげる。それによって、不登校の背景にある「いじめ」と「学校教育」の問題に注意を向けさせようと工夫する。 前半で伝えられる少年の訴えは悲痛で、読んでいて辛い。少年は大人たちにSOSを発していたのに、見過ごされてしまった。その現実を前にして、読者は「彼を救うためになにができたか」と考え始めるのではないだろうか。 記事の後半に登場する少女も、いじめに関連して不登校になった。少女が「いじめ、虐待などの専門家の人を学校に配置してください」と要望する手紙は、岸田首相にあてたものだが、同時に私たちにも問いかけている。
- 総評清水康之
子どもたちは社会の未来そのものであり、彼らが自殺で亡くなるという現実は、私たちの社会の未来が奪われていることを意味する。自殺対策に携わる大人の一人として、この記事を読んで、あらためて子どもたちへの申し訳なさと自己の不甲斐なさを痛感した。子どもの自殺は、私たち大人自身の問題として、社会全体でより深く関心を寄せるべきだ。 「大人自身の問題」というのは二重の意味がある。一つは、大人の不適切な対応に絶望して亡くなる子どもたちが実際にいるという現実。もう一つは、この問題の解決は大人にしかできないということだ。大人は子どもを絶望させるような態度を取るべきではないし、変化をもたらす力を持つ者として実際に行動を起こさなければならない。 単に問題を指摘するだけで何かを成し遂げたと錯覚してはならない。他人を批判することで自分の役割を果たしたと思い込むことも避けるべきだ。自分自身にもそう言い聞かせつつ、行動を起こす大人や子どもたちと協力し、この状況を一日でも早く変えていきたい。
LINE NEWS編集部より