『いなくなればいい』死刑囚の差別的言動。血だらけで通報を助けた被害者が、7年目に示す「答え」とは
TBS NEWS DIG
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  • 総評下村健一

    最近話題の映画『月』、その他「やまゆり園事件」をテーマとする数々の記事などーーーその多くが重い《問いかけ》でとどまっているのに対し、この記事は1つの具体的な《答え》を示すことにチャレンジしている。 その《答え》の体現者である一矢さんの紹介として、ご本人の動画を多用しているのは、実に説得力がある。重度知的障害者と普段全く接点のない人たちは、その発言や動作をしばしば「奇声」「奇行」として受け取ってしまうが、この記事中の動画は、全て一矢さんと両親や介護士さん、ときには取材クルー(!)との日常のやりとりを見せてくれるので、その一つ一つにしっかりと一矢さんの考えや意思があり、決して植松死刑囚の言う「心失者」などではないことが明快にわかる。 現代社会のあちこちに潜んでいるかも知れない第2・第3の植松予備軍たちに、ぜひとも読んで・見て・感じてもらいたい記事だ。

  • 総評亀松太郎

    大勢の障害者を殺害しながら、全く反省の色を見せず、事件後も障害者への差別的な発言を繰り返す。そんな加害者・植松聖死刑囚の言動を見て、なんともやるせない気持ちになる。津久井やまゆり園の事件は、そういう救いようのない面ばかりが目立つと感じていた。 だが、この記事は、事件で傷を負った障害者の男性・尾野一矢さんと家族の「その後」を追いながら、重度の障害がある人が生きていく意味を前向きに伝え、読者に希望を抱かせる。 一矢さんは事件後、障害者施設を離れ、アパートで一人暮らしを始めた。熱心な介護士のサポートのもと、少しずつ良い方向に変わっていく一矢さんの姿が、動画をまじえて丹念に描かれる。 「重い障害のある一矢が、多くの人に支えられながら、幸せに生活する姿を見て欲しい。それが、植松死刑囚の主張に対する自分たち家族の答えだ」 一矢さんの父親の言葉は、記事を読んだ多くの読者の胸に響いたはずだ。

LINE NEWS編集部より

「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件から7年。大きな傷を負った当時の入所者が、事件をきっかけに様々なハードルを越え一人暮らしを実現する姿を通して、犯人の主張に対するひとつの"答え"を提示します。