- 総評治部れんげ
都心部繁華街で売春などをしながら生き延びる若者の実態が、さまざまな報道で知られるようになってきた。この記事もそうした取材の一環で発表されたものだ。 多くの若者が口を揃える「居場所のなさ」は、保護者からの虐待などが原因である。本来なら児童福祉が包摂すべき子ども達が救われず、都心へ逃げてきた結果が"トー横"や"グリ下"だろう。 こうした子ども・若者たちに食料などの支援をするのは、NPOなどの民間団体が多く、行政の支援は届いていないのが実態だ。さらに問題なのは、これら若者を支援する団体に対し、SNS上で誹謗中傷やデマが拡散されていること、加えて現場の活動も妨害されていることだ。 この記事を機に、問題を知った読者は、行政がどんな支援をしており、何をしていないのか、調べてみてほしい。
- 総評清水康之
読んでいて胸が苦しくなる記事だった。なぜ、こうした状況を私たちは作り出してしまったのか。日本社会の底が抜けてしまっている現実を、あらためて突き付けられた気がしてならない。 それは、私たちの社会が、多くの若者たちに「私はここにいていいんだ」「生きていていいんだ」といった心理的居場所感を提供できていない現実でもある。家庭か学校かの二択ではなく、地域という第三の選択肢を用意しなければならないのに、それができていない。そのため家庭にも学校にも居場所を感じられない若者たちは街で漂流するしかない。だが、街は「野生の王国」のようなところで、生きるたくましさを運よく身につける若者もいるが、食い物にされ命さえも奪われていく若者も少なくない。 「こんな大変な状況にある若者がいるのか」で、この現実を受け止めた気になってはいけない。若者たちがいざという時に駆け込める居場所を増やし、日本社会で生きるための基盤を再構築しなければ。
LINE NEWS編集部より