- 総評下村健一
プロの報道機関にとって、LINE NEWSへの出稿は《普段の受け手とは違う人々にコンテンツを届け直す》という重要な意味がある。重厚かつ新鮮でギャラクシー月間賞など高評価を得た特番「戦争と嘘=フェイク」を、LINEユーザーが受け入れやすい形にリメイクすることに、この記事はチャレンジしている。 まず、動画を挟む前後の文字情報の構成が上手い。日頃からスタジオ台本やナレーション原稿でVTRの"前振り"の言葉作りを意識しているだけあって、記事中の文字から動画への移行部分が滑らかで、他のライターの手本となる。 そして、「SNS空間という新たな戦場」「誰もがスマホを持ち、真偽の分からない情報が/混乱を引き起こす現代」「私たち一人一人が、"荒れた情報戦"の渦中に」といった言葉の、意識的な連打。これらの表現は元の番組でも使われてはいたが、むしろLINE NEWS上で発せられたことでより真価を発揮した。SNSやスマホへの警鐘は、テレビ・新聞といった従来のメディア上で鳴らすよりも、直接ヘビーユーザーの人たちに突きつける方が刺さるから。 手のひらの中のスマホ画面から呼びかけてくる熱い文字列には、テレビ画面から話しかけてくるのとはまた違った訴求力がある。色々な届け方を併用できる時代になったメリットを、活かしきりたい。
- 総評長野智子
民放キー局の中でもいち早く記者が現地入りし、オンタイムで戦争の経緯を伝え続けたTBSならではの生々しい映像や、戦争に巻き込まれていく一般市民たちの様子を私自身も観ていて衝撃を受けました。 ウクライナ避難民支援において、国連UNHCR協会にも日本から過去最大の民間支援が集まったのですが、その背景に日本のメディア自身が現地入りして伝えた映像の影響力があることは間違いがありません。 SNS時代の戦争においてフェイクニュース、プロパガンダが混在する中、大手のメディアが果たす役割はまだまだ大きいと確信させる作品です。
LINE NEWS編集部より