新品ランドセル、黒を選んだ娘にひやり 外国人ママが直面した「日本のフツウ」を見つめる
朝日新聞withnews
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  • 総評治部れんげ

    モンゴル出身、3児の母の日本における子育て経験を通じて、暗黙のうちに共有されている「当たり前」について考える記事です。 見出しになっている黒いランドセルを持つ娘さんのエピソードは興味深いです。日本の小学校で使うランドセル、かつては女子が赤、男子が黒でしたが最近ではピンクや紫、青、茶色など色の選択肢が増えています。それでも「黒を選ぶのは男の子」という思い込み――同時に「ピンクは女の子」という思い込みもありますね――は、まだ根強く残っています。 色だけでなくお弁当に持っていくものやオムツの処理など、日本の当たり前が暗黙のルールにより決まっていることが、記事を読み進めるうちに分かってきます。 子育てにまつわる暗黙のルールは、日本だけでなく世界中にあります。例えば、アメリカの小学校でお弁当といえば、ハムやチーズを挟んだパンとバナナやリンゴなどの果物、おやつにポテトチップを持っていくなどします。 いつか、自身が暗黙のルールを知らない国や地域に行った時、記事に登場するザヤさんのように頑張って自分の居場所を見つけることができるだろうか、そんなことを考えさせられる記事です。

  • 総評井本直歩子

    外国人が異文化に戸惑うのは常ですが、日本のそれは特殊に見えます。本記事は、実は誰もが感じているだろう日本の窮屈さを外国人の目から鋭く捉えた、丁寧な記事。ランドセルやお弁当、カラフルな洋服を着ない慣習は、海外在住20年を超える私も奇妙に思って時々話題に出すほどだから、共感度満点でした。きっと同じように「おかしい」と思いながらも一生懸命キャラ弁を作るご両親はたくさんいるのだと思います。 そんなハードルを乗り越えたザヤさんの明るさや芯の強さが、記事全体をポジティブに仕上げています。さらに「自分の振る舞いこそが、なんとなく続く『フツウ』をまた上塗りしてきたのかもしれない」という自戒の念を込め、筆者が読者自身に語りかけるような形で締めくくっているところが秀逸です。

LINE NEWS編集部より

日本の子育てを巡る「フツウ」を、モンゴル出身の外国人ママの視点で見つめ直した記事。浮かび上がる「暗黙の常識」への苦悩や気づきは、日本人にとっても多様性について改めて考え、凝り固まった"フツウ"を問い直す機会を与えてくれる。