ナイキ(NIKE)は11月13日、今後アマゾン(AMAZON)で自社製品の販売を行わないことを明らかにした。
ナイキは「消費者とより直接的で緊密な関係を築いていくためにアマゾンでの販売終了を決定した」とコメントした。なお、世界中の消費者に向けてスムーズに販売を行うため、その他の小売業者や販売のプラットフォームとは引き続き独自の関係強化に努めていくという。なお、販売公式サイトとアプリでの一連のサービスを促進するため、アマゾンズウェブサービス(AWS)との関係は保持する予定だ。
近年、数多くのファッションブランドや小売企業が事業コントロールの喪失を恐れてアマゾンでの販売を取りやめる動きがある中、ナイキはアマゾンでの販売を行ってきた。2017年夏にナイキとアマゾンは取り組みを開始し、偽造品の流通や不正販売業者に対する監視を強くする代わりに、限定モデルのシューズやアクセサリー、衣服を販売した。
17年12月の時点で、ナイキのマーク・パーカー(Mark Parker)会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)は、プログラムが軌道に乗っていることを明らかにしていた。同月に行われたアナリストたちとの電話会議でパーカー会長兼社長兼CEOは、「限定モデルの売上高は好調。このプログラムが最高の状態で稼働すれば、ナイキとアマゾンの両社にとって相互に利益のある素晴らしい消費者向けサービスの機会がもたらされる。われわれは強気でこの事業を進めていきたい。重要なのは、よりよい方法で商品を提供し、データを共有することで消費者サービスの向上を図り、ブランド力を向上させることだ」と語っていた。
偽造品や不正販売業者の取り締まりに加えて、アマゾンの膨大な顧客データから得られる情報も魅力だったが、証券アナリストによれば、その点に関してナイキの目論見は外れたようだ。アマゾンではいまだ第三者によって大量のナイキ製品が販売されており、偽造品の販売も横行している。実際のところ、そういった販売業者はアマゾンにとって大きな収入源であるため、アマゾンが彼らを排除することを期待するのは現実的ではなかった。
突然の事業戦略転換の背景には、パーカー会長兼社長兼CEOが20年1月13日付でCEOを退任し、後任に米大手リセールEC企業イーベイ(eBAY)で08年から15年までCEOを務めた経験のあるジョン・ジョセフ・ドナホー2世(John Joseph Donahoe II)が就任することも関係していると見られている。
ナイキの全体戦略としては、アマゾンでの売り上げよりも自社によるECプラットフォームを拡大することに重点を置いている。ナイキをはじめとする有名ブランドは、アマゾンよりも自社サイトの運営強化を図る方が利益も大きく、ブランド力の向上にもつながると気付いたのか。アパレルに限らず、有名ブランドのアマゾン離れは将来的にさらに加速していくとの見通しもある。
アマゾンはこの件に関してコメントを発表していない。
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アディダス(ADIDAS)はこのほど、100%リサイクル可能なランニングシューズ“フューチャークラフト.ループ(FUTURECRAFT.LOOP)”の “第2世代”を発表した。 “第1世代”は今年4月に発表し、同社が“クリエイター”と呼ぶ世界各国の200人に配って、それらを回収・リサイクルしたものを“第2世代”と呼ぶ。外見が真っ白だった“第1世代”と比べて、“第2世代”は少し青くなって戻ってきた。リサイクルを終えて見えた課題とは?2021年春夏に予定している一般販売に向けての戦略を含めて、同社のジェームス・カーンズ(James Carnes)グローバル ブランド戦略バイスプレジデントに話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):4月にニューヨークで発表会を開き、“リーディング クリエイター”と呼ぶ200人のランナーやジャーナリスト、インフルエンサーを招いて製品を配った。その後5月10日までに回収したと聞く。そもそも全員から回収はできたのか?
ジェームス・カーンズ=グローバル ブランド戦略バイスプレジデン(以下、カーンズ):実は全員ではない。コレクターアイテムとして手元に置きたいと思った人や、履き続けたいと思った人もいたからだ。ただしこの結果は予想していたことなので、全員からは返却がなくても次の生産にインパクトが出ないよう、社内でもサンプルを配って同様のテストを行っていた。

WWD:回収・再生産する過程で、想定外だったことは?
カーンズ:予期しなかったことは、200人のクリエイターたちによる使われ方が多様だったこと。走り込んだ人もいれば、希少だからと履かないまま戻してきた人もいる。ジーンズに合わせて履いていたためはき口が青くなっているスニーカーもあった。
WWD:それにより変更を余儀なくされた技術もあるのか?
カーンズ:ある。むしろ、予期しない使い方が出てこないとダメだった。使い方に合わせた生産工程の見直しや新しい技術開発をそこから行うからだ。例えば石などが入り込み非常に汚れて戻ってきたものもあった。水を極力使わずにそれを洗浄するにはどうしたらよいか、リサイクル後の素材に汚染物質が残らないようにするためにはどうしたらよいか、など予期しなかったことがプロセスやテクノロジーを作り上げてゆく。
WWD:ジェネレーション1で使ったTPU(100%再利用可能な熱可塑性ポリウレタン)はジェネレーション2にどのくらい含有されているか?
カーンズ:ジェネレーション1のTPUを100%投入したが、テクノロジーの限界上他のTPUを混ぜている。現在のテクノロジーでは200足から200足を作ることはできないので、ここの精度は上げてゆく必要がある。つまり現時点では1足から新しい1足を作るまでにはいたっていないということだ。
WWD:“ジェネレーション2”はどうして青いのか?色はリサイクルプロセスに影響する?
カーンズ:“ジェネレーション1”の段階で青と赤を使ったアッパーはできていた。消費者に選択肢を提供できることがビジネス上重要となるため、さまざまな色を継続的に実験してゆく。リサイクルプロセスは、アウトプットする原材料の色とその濃淡に影響される。色についてはまだ学んでいる過程で、完全に理解するために懸命に取り組んでいる。

WWD:2021年には一般向け販売を予定している。ビジネスとして成立するためにクリアすべき課題とは?
カーンズ:3点ある。1点目は量産するための素材生産技術の拡大だ。TPUのヤーンの生産量を拡大するための技術や、接着剤を使用しない組み立てのプロセスの技術を向上させ、スケールアップする必要がある。2点目はどのような流通システムを作るか。購入した消費者をトラッキングして回収できるシステムが必要だ。3点目は回収拠点をしっかり設けること。リサイクルできる靴を作ってもそれが捨てられてしまっては意味がない。戻ってくる場所を作ること、つまりリサイクルインフラが重要だ。そのためには行政との取り組みも必要になる。
WWD:販売チャネルはどうなる?
カーンズ:非常に重要なのは、商品が今どこにあるのかトラッキングすること。だから主要チャネルは直営オンラインとなる。メンバーシップ制「クリエイターズクラブ」を用意して登録していただき、オンラインで販売するプランを検討している。そうすることで関係性を維持し、フィードバックを得ることができる。どういう履き方をしたのか、なぜ返却しようと思ったのか、などについてだ。
WWD:サブスクリプション(定額制)モデルなど新しいビジネスモデルも考えられるか?
長期的にはサブスクリプションモデルも検討している。同じ素材を繰り返し使うことによって持続可能なループを完成させることに参加してもらい、消費者にもメリットを感じてもらいたい。
【エディターズ・チェック】
“フューチャークラフト.ループ”は、海洋プラスチック汚染問題をきっかけに開発を始め、10年の歳月をかけて今春“第1世代”が完成した。今回の発表では、「シューズからのリサイクル材料を用いて、アスリートの使用にも耐えうるパフォーマンスシューズを初めて作ることができた」点がポイントだ。2021年の一般販売に向けては、リサイクル技術の向上に加え、「消費者からいかに回収するか」が課題。スポーツを軸にした大小のコミュニティーを持つ点が同社の強みだから、それらや行政を巻き込んだ仕組み作りがポイントとなりそうだ。
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ウェルカムが運営する「ディーン&デルーカ(DEAN&DELUCA)」は11月25日、印刷メディア「ディーン&デルーカ マガジン」を創刊する。編集長には、「暮しの手帖」(暮しの手帖社)の編集長を9年間務めた経験を持つ松浦弥太郎氏を迎えた。

コンセプトは“おいしい料理とは、生きる知恵である”。毎号1つのテーマを掲げ、シンプルで美しい暮らしを表現する多彩なコンテンツを通して、食と向き合うことの大切さ、料理の楽しさをひも解いてゆく。創刊号では、「ディーン&デルーカ」創始者のジョルジオ・デルーカ(Giorgio Deluca)、食ジャーナリストの北村美香、コラムニストの上野朝子、写真家の中村ハルコ、ライターの晴山香織の5人による食にまつわる5つのストーリーを掲載する。さらに、料理好きな画家として知られるnakabanによる、秘密のメモ書きレシピをビジュアルとともに掲載する。各刊ごとにかたちを変え、雑誌でもない、書籍でもない、プリントで表現した媒体になる。

松浦氏は「20歳の冬に、ニューヨークで出合った『ディーン&デルーカ』との縁が生まれ、このたび編集長として『ディーン&デルーカ マガジン』を創刊することになった。料理や旅、ライフスタイル、カルチャー、人物など『ディーン&デルーカ』が愛することをとことん語りぬく、新しいスタイルの印刷物を届ける。新しさと古さの両方の温もりと、たった一枚の写真、ほんの小さな言葉が、いつまでも心に残るような一冊になれたらうれしい」とコメントした。

「ディーン&デルーカ」の直営店と公式オンラインストア、蔦屋書店の一部で取り扱う。価格は800円で、年に2回の発行を予定している。




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ファッション・ウイークの会場に来場したおしゃれ上手をとらえるストリート・スナップ。これまでインフルエンサーらのファッション・ウイーク期間中の着こなしを紹介してきたが、今回は、スタイリストやファッションライター、ブランド創設者など、ファッションやビューティ業界で実際に働くスナップ常連たちのストリートスナップをピックアップ。そのリアルな着こなしには、彼らが今どんなブランドやトレンドに興味があるのかが反映されているはずだ。
ここでは、「ヴォーグ.com(VOGUE.com)」のファッション・ニュース・ディレクターのチオマ・ナディ(Chioma Nnadi)やスタイリストのエミリー・シンドレフ(Emili Sindlev)のほか、クロエ・アルシュ(Chloe Harrouche)、エリカ・ボルドリン(Erika Boldrin)、ジャネット・フリス・マドセン(Jeanette Friis Madsen)、ベッティーナ・ルーニー(Bettina Looney)、ケイト・フォーレイ(Kate Foley)、マスイユウの2020年春夏ファッション・ウイークの着こなしをピックアップ。
Chioma Nnadi / @nnadibynature
Emili Sindlev / @emilisindlev
Chloe Harrouche / @louloudesaison
Erika Boldrin / @erika_boldrin
Jeanette Friis Madsen / @_jeanettemadsen_
Bettina Looney / @bettinalooney
Kate Foley / @katefoley
Yu Masui / @yumasui
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メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・ロシア(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK RUSSIA)が10月15〜19日に開催された。首都モスクワの中心地にある、19世紀に馬術学校として造られ現在イベント会場として利用されているマネージュ(Manege)をメイン会場に、5日間で70ブランドがショーやプレゼンテーションを行った。ロシア発のブランドといえば「ヴィカ ガジンスカヤ(VIKA GAZINSKAYA)」や「ウォーク オブ シェイム(WALK OF SHAME)」などが日本でも人気だが、同ファッション・ウイークに参加した若手ブランドの多くは「ゴーシャ ラブチンスキー(GOSHA RUBCHINSKIY)」にかなり影響を受けているようだ。同ブランドのようなストリートとアンダーグラウンドの雰囲気をベースに、原色を多用する特徴的な色彩とシンプルな幾何学図形、20世紀初頭のロシア構成主義(工業的な実用物を使って抽象的で力学的な美を表現する美術様式)を掛け合わせたようなコレクションが多数見られた。ソビエト連邦崩壊後に生まれた“ポストソビエト・ユース”と呼ばれる若手デザイナーが中心で、粗削りながらエッジの利いた実験的なショーが多かった。今季の同ファッション・ウイークに参加したデザイナーの中で、評価の高かった注目3ブランドを紹介する。
ROMA UVAROV ドラマチックすぎる「ベルばら」の世界
コレクションの完成度が最も高いと評されたのは、ローマ・ウバロフ(Roma Uvarov)による自身の名を冠したブランドだ。“意見を持つクレイジーな衣服”をコンセプトに掲げるウィメンズブランドで、シーズンごとにストーリー性のあるコレクションを披露している。今季はイタリア・ローマの伝統的な結婚式から着想を得て、ダイナミックで華々しい内容だった。序盤はシャツドレスやブラウスといったリアルクローズに始まり、徐々に赤のフラワープリントやゴールドのアップリケなどを用いたルックと共に華やかさが増していく。終盤は黒と深紅色のバラで不気味さと情熱が入り混じり、最後は白のウエディングドレスを着用する男性モデルのルックで締めくくられた。漫画「ベルサイユのバラ」を想起させるドラマチックなコレクションは、アクがあるゴールドやクリスタルのジュエリーとボールドカラー、西ヨーロッパ発祥ながらロシアで長く愛されているプチポワン刺しゅうといった、ロシア独自の美意識が感じられた。パリにショールームを構える「ノブ エージェンシー(Nob Agency)」に所属しているため国外からのゲストの多くがすでに同ブランドを認識しており、今季の目玉だったといえる。会期中、最も多くの来場者がつめかけた満員の会場で、期待を裏切ることのないショーを行った。
KRUZHOK 超濃厚なカルチャー系ストリート
ロシアのアンダーグラウンド・カルチャーをテーマにした書籍を出版し、フォトジャーナリストとして2015年にキャリアをスタートさせたスタス・ファルコフ(Stas Falkov)は、その後17年にユニセックスのストリートウエアブランド「クルゾフ」を立ち上げた。彼はロシアの都市景観や旧ソビエト連邦時代のリゾート地などの写真から影響を受け、さまざまなモチーフを衣服に描いてきた。今季は20世紀に活躍したロシア人映画監督アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovski)のSF映画「ストーカー(Stalker)」にインスパイアされて、宇宙人の雰囲気を放つ不可思議なコレクションに仕上げた。オーバーオールやカーゴパンツなどの工業用衣類をベースに、グリーンとグレーの暗いカラーパレットでテクニカルな素材をディテールに多用した。“工業的経済発展こそが社会的進歩だ”としたロシア構成主義の美術に見られる、工業的な実用物を使ったルックがランウエイ上に続いた。モデルには幅広い世代の一般人を起用し、プラスチックのバケツをかぶせたり、車椅子で登場させたりするなど、映画の世界観を強く意識する演出だ。個々の商品だけを見ると世界で戦えるほどの独創性には欠けるものの、コレクションの構成力やユーモアのあるショー演出には見るべきものがあり、ストーリーテラーのセンスがある。今後の可能性を秘めたブランドだと感じた。
LEAF XIA メルヘン盛り盛りの“カワイイ”系
ロシア人デザイナー以外による“グローバル・タレント(Global Talent)”枠で参加したリーフ・シア(Leaf Xia)は、まるできゃりーぱみゅぱみゅの衣装のようにポップでアニメチックなコレクションで会場をメルヘンの世界へと塗り替えた。2015年にニューヨークのパーソンズ美術大学(Parsons School of Design)を卒業し、これまでニューヨーク・ファッション・ウイークとロンドン・ファッション・ウイークでショーを開催した経験もある。原色のダウンやファーコートには惑星、動物、記号、ハローキティの柄やアップリケで乙女心を存分に表現する。アウターの中からのぞくのは、チュールのドレスや柄物のストッキング、足元は派手な装飾を施したシューズと、可能な限り盛りに盛って盛りまくる“原宿カワイイ”スタイルだ。ストリートウエアやダークな雰囲気のショーが多かった中で、ひと際印象に残るショーであった。ショーの後にショーピースを実際に手に取って見ると、パターンや縫製などの質が高く、モノ作りに真摯に取り組んでいるのが分かった。ニッチではあっても、確実に一定層のファンを増やしていきそうだ。
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ファーストリテイリングは、企画・生産から物流、働き方までを包含した改革“有明プロジェクト”の一環として、新たにMUJIN(東京、滝野一征・最高経営責任者兼共同創業者)、Exotec Solutions(フランス、ローメン・ムーリン=Romen Moulin最高経営責任者)の2社とグローバルパートナーシップを締結した。2018年10月に、マテハン機器(マテリアルハンドリング。物流倉庫や工場の作業機械)世界大手のダイフク(大阪、下代博社長)とパートナーシップを結び、倉庫の自動化を進めているが、今回の2社との締結によりその動きを加速する。
18年10月のダイフクとの提携発表の際に、柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、「今後2~3年で世界中の倉庫の自動化する」と明言していた。そのために、1拠点あたり10~100億円、「全世界で1000億円」(神保拓也ファーストリテイリンググループ上席執行役員)の投資を進めている。今回、新たに2社とパートナーシップを締結することで、「お客さまがほしいものが、いつもある」「無駄なものを作らない、運ばない、売らない」という、“有明プロジェクト”が目指すサプライチェーン全体の改革にさらに近付くわけだが、「普通にやれば(改革達成までに)5年以上かかるだろう。しかし、われわれはそんなに待てない。最短で3年、3~5年のうちに達成する」と柳井会長は話す。
今回締結した2社は、どちらも物流倉庫内のピッキング作業の自動化領域を担う。ダイフクとの提携により、倉庫に商品が入荷し、検品し、保管するといったピッキング以前の領域では自動化手法が既に成立している。
11年創業のMUJINは産業用ロボットに特化した知能コントローラの開発・販売を行っており、ファーストリテイリングと組んでモーションプランニングAI(人工知能)を搭載した「アパレル用知能ピースピッキングロボット」を開発した。「アパレル分野ではピッキングの自動化が難しいといわれてきたが、それはシーズン毎に商品が変わる、商品が柔らかく掴みにくい、似ている商品が多いということが要因だった」(滝野CEO)というが、超多品種に対応できる3Dビジョンや柔軟なロボットハンド、ピッキング途中の検品などによりそれを可能にしたという。シーズン毎に全SKUをロボットに登録することは現実的ではないが、モーションプランニングAIにより、それが自動化されるのだという。同社公式サイトによれば、MUJINの知能コントローラは、JDドットコムも導入している。
Exotec Solutionsは15年設立。「スカイポッド(Skypod)」という台車ロボットが倉庫内でピッキングを行う仕組みを開発している。「秒速4メートルで動き、高さ10メートルの棚にまで登り、(商品が収納されている箱を)取ってくることができる。受注量が増えても、ロボットと棚を増やせば効率が上がるので、物流変化に柔軟に対応できる」とムーリンCEO。同社のシステムは、仏のスーパー大手カルフールや仏のECサイトなどが導入しているという。
ダイフクとのパートナーシップでは、既に東京・有明のファーストリテイリング本部内の物流倉庫や、西日本、米国など国内外計4拠点の自動化を進めている。MUJIN、Exotec Solutionsとは、それぞれ海外1拠点での倉庫自動化に着手しているという。
2社との締結を発表した記者会見では、“有明プロジェクト”が目指すサプライチェーン改革の全体像もあらためて説明した。「お客さまがほしいものが、いつもある」「無駄なものを作らない、運ばない、売らない」モデルのために、情報の可視化・一元化、リードタイムの短縮、過剰在庫・欠品の削減を相互連関的に進めていく。中でも、リードタイム短縮については、今後「3D-CAD導入によるバーチャル企画」「素材の備蓄」「大ロット発注から多頻度の小ロット発注へ」「縫製工場の自動化」「船便中心の輸送から陸上、航空も含んだ輸送形態の最適化」(神保・上席執行役員)などを通し実現を目指す。これにより、「生産枚数にもよるが、従来1~2カ月だった企画・生産から店頭投入までのリードタイムを、2週間~1カ月に近付けていく」(柳井会長兼社長)。
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「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」は11月1日に、ポケモンとコラボレーションしたホリデーコレクションを発売したが、オンラインショップでの注文履歴が事前の連絡などなく削除、キャンセルになったとして購入者から苦情が相次ぎ、12日に公式ツイッターで謝罪した。「シュウ ウエムラ×ポケモン コレクションについて、遅延・キャンセル及び、ご案内に不手際があったこと、心よりお詫び申し上げます。ご不明な点はお問い合わせセンターまでご連絡ください。お客様情報を確認の上、順次回答させていただきます」と投稿し、公式ホームページで問い合わせを受け付けている。
システムの能力を超える注文が短時間に集中し用意数を上回る注文を受け付けたことが原因で、一部の購入者に対してキャンセルを行ったという。事前の連絡なくキャンセルになったことで、SNS上では購入者の困惑や苦情の投稿が相次いでいだ。
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ヨドバシホールディングスは、16日に大阪・梅田に開業する同社初の複合商業施設「リンクス ウメダ」の内部を公開した。地下1階から地上8階までの9フロアに、日本初や新業態19店舗、関西初23店舗を含む約200店舗が出店。カメラ・家電量販店の「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」と全フロアで連結することで売り場面積は約9万平方メートルとなり、地域内最大級の商業施設が誕生する。ヨドバシカメラの客層に加え、近隣で働くオフィスワーカーや子ども連れのファミリー、インバウンド客を狙う。初年度の年間来場者数は両館合わせて7700万人を想定。売上高はヨドバシカメラで1200億円、リンクスで500億円を見込んでいる。

エリア内競合について、ヨドバシ建物の五鬼上大介リンクス ウメダ館長は「競合するのではなく、独自路線でいく。幅広いお客さまのニーズにこれまでは応えきれていなかったので、何でも売っているヨドバシカメラのように、ニーズを埋めるべくテナントを選んだ」と語った。

注目売り場のひとつが、今年4月に同社の完全子会社となった石井スポーツが6階のワンフロア約4000平方メートルで展開するアウトドアとスキーの新業態。従来はエキスパート向けだったが、ビギナーやファミリー向けの商品を増やしたほか、「ザ ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「マムート(MAMMUT)」など7ブランドのショップインショップも登場する。増床改装した「ゼビオ」と合わせると、地域最大級の品ぞろえを誇るスポーツ・アウトドア売り場となる。

5階には、幼児向けフィットネスクラブ「マイジム」や子どもと家族が安心して遊べるアミューズメント施設「モーリーファンタジー」、子ども服の「ミキハウス ホットビスケッツ(MIKIHOUSE HOT BISCUITS)」などが出店。ヨドバシカメラの玩具・ホビー・ゲーム売り場と合わせて約9900平方メートルのキッズ向けフロアが登場する。地下1階の食物販と飲食のフロアも充実。近商ストアが運営するスーパーマーケット「食品専門館ハーベス」では弁当約200種類、惣菜約200種類以上をそろえるほか、「おいしいもの横丁」では約20軒のネオ居酒屋が軒を連ね、オフィスワーカーのランチやちょい飲みのニーズに応える。

他には、フランフランの新業態「U.F.O」が渋谷店に続いて2号店を出店。「ユニクロ(UNIQLO)」は従来の2倍の約5600平方メートルで移転オープンした。梅田初出店となる「ニトリ(NITORI)」もミドルアッパー狙いの品ぞろえで、社内トップクラスの売り上げを目指す。
リンクスウメダには、ビジネスマッチングオフィス「ウィワーク」や全1030室の「ホテル阪急レスパイア大阪」、関西国際空港や主要都市への直行バスや観光バスが発着する「バスターミナル」も併設。「ビルの開発テーマのひとつだった“国際交流拠点”を担う施設として、インバウンドの誘客も狙っている」(ヨドバシ建物・営業部部長 安藤修一氏)。