cat_445507_issue_mv564pgg8jdj oa-president_mv564pgg8jdj_atcd181z1f5v_子ども3人いる女性が一番不幸「産むほど幸福度が下がる」育児のリアル atcd181z1f5v atcd181z1f5v 子ども3人いる女性が一番不幸「産むほど幸福度が下がる」育児のリアル oa-president 0

子ども3人いる女性が一番不幸「産むほど幸福度が下がる」育児のリアル

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

拓殖大学の佐藤一磨さんの研究で、子どもの人数と女性の幸福度の関係が明らかになりました。佐藤さんは「『二人は欲しい』『できれば三人目も欲しい』と望む女性がいる中、実際に出産してみると生活全般の満足度が下がってしまう。これが日本の女性が直面する厳しい現実です」と指摘します――。

子どものいる女性の幸福度は低い

世の中には「もしかすると」とうすうす気づいているけれど、直視したくない事実というものがあります。

子どもを持つことが女性の幸せに及ぼす影響もその1つではないでしょうか。

図表1は、日本の既婚女性の子どもの有無と幸せの関係を示していますが、この図はシンプルな1つのメッセージを示しています。

それは、「日本では、子どものいる女性の方が幸せの度合いが低くなる」ということです。

なお、図表1では幸せの指標として、生活満足度を用いています。生活満足度とは、生活全般の満足度を5段階で計測したものであり、幸福度と並び、幸せの指標として多くの学術的研究で使われているものです。

図表1の結果は、日本の女性を取り巻くさまざまな環境が反映されたものだと考えられます。詳しくは以前の記事をご参照ください(「子どものいる女性のほうが、幸福度が低い」少子化が加速するシンプルな理由)。

しかし、ここで注意したいのは、「子どものいる・いないだけで、本当に子どもが女性の幸せに及ぼす影響を適切に判断できているのか」という点です。

ここでは「もう1つの重要な要因」が抜けて落ちています。

女性の幸せは子どもの数によって変化する

その重要な要因は、「子どもの数」です。

子どもの数が二人、三人と増えるにしたがって、必要となる金銭的、時間的なコストも増加していきます。子どもの性別が同じであれば、上の子のおさがりを活用でき、コスト削減につながりますが、教育費等は倍かかってしまいます。

また、子どもが増えるにしたがって、養育に必要となる時間も大きく増加します。特に、新しく子どもが生まれた直後だと、上の子どもと下の子どもの面倒を同時に見る必要があり、時間的・体力的にもきつく、疲弊してしまいます。

このように、「子どもがいるかどうか」だけではく、「何人の子どもがいるのか」によって、子どもの存在が女性の幸せに及ぼす影響も変化する可能性があるわけです。

はたして、実態はどのようになっているのでしょうか。

子どもの数が多いほど、女性の満足度は低下する

図表2は、子どもの数と既婚女性の生活満足度の関係を見ています。

この図は、明確な1つのメッセージを示しています。

それは、「子どもの数が増えるほど、女性の満足度は低下する」というものです。

この傾向は、女性の年齢、世帯所得、夫婦の学歴、就業形態といった要因の影響を統計的に除去しても変化ありません。

「二人は欲しい」「できれば三人目も欲しい」と望む女性がいる中、実際に出産してみると生活全般の満足度が下がってしまう。

これが日本の女性の直面する厳しい現実です。

ほとんどの親にとって子どもは可愛く、いとおしい存在です。しかし、子どもの数が増えるにしたがって、生活全般の満足度が低下してしまう。

このような厳しい現実が「もう一人」を生むことをためらわせ、子どもの数の減少につながっている可能性があります。

子どもの数とともに女性の満足度が低下する2つの原因

図表2の結果が示すように、子どもの数が増えるほど、女性の生活満足度は低下していきます。社会全体としては子どもの数が増えてほしいけれど、その結果として、女性の満足度が下がってしまう。

これは、日本の社会が直面する「大きな矛盾」だと言えるでしょう。

この原因について考えていくと、子ども自体が女性の満足度を低下させるわけではなく、「お金の問題」と「夫婦関係の問題」が主な犯人ではないかと考えられます。

子どもの数が増えるほど、どうしてもお金がかかっていきます。子どもの数とともに食費、被服費、教育費等のコストが増え、生活を圧迫する。近年、不安定な雇用形態で働く人も増え、賃金が伸びづらくなっている状況を考えると、子どもの金銭的負担は大きな課題です。

また、子どもの数が増えるほど、「夫と妻」の役割よりも「父と母」の役割の比重が増えていきます。「父と母」の役割において、お互いの期待にそった働きを十分に果たせていなければ、夫婦関係に深刻な亀裂をもたらす恐れがあるわけです。夫婦間の家事・育児分担は、このような亀裂の原因となる典型的な例だと言えるでしょう。

お金と夫婦関係、どちらのインパクトが大きいのか

お金と夫婦関係の問題は、子どもの増加による女性の生活満足度低下の原因になると考えられますが、ここで重要なポイントは、「どちらがより大きな影響を及ぼすのか」という点です。

なぜならば、どちらが主要な原因なのかによって、対策が変わってくるからです。

もしお金が主な原因であれば、子育て世帯への金銭的補助をより厚くすることが望ましい対策になります。

また、もし夫婦関係の悪化が主な原因であれば、夫婦関係のケアが望ましい対策になります。第1子出産後に夫婦関係は急速に悪化することがわかっているため、夫婦関係を直接的に支援する「出産後学級」などの対策が考えられます。

夫婦関係の悪化は「家族の問題」として捉えられ、自分たちだけで解決しようと考えがちです。しかし、出産後の夫婦関係の悪化は、その後の結婚生活だけでなく、「もう一人」の出産にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。このため、外部の力を活用したケアを検討することも重要となるわけです。

では、日本ではお金と夫婦関係のどちらが大きな影響を及ぼしているのでしょうか。

最近の日本の研究結果から、お金と夫婦関係の両方が女性の満足度低下の原因になっているが、その影響度は「夫婦関係の悪化の方がかなり大きい」ことがわかりました(※1)。これは、欧米の研究では経済的な要因が大きいと出ていることとは対照的です。

この結果から、夫婦関係の悪化を防ぐことが子どもの数の増加にともなう女性の満足度低下を阻止するカギとなりそうです。

※1 佐藤一磨(2021)子どもと幸福度-子どもを持つことによって、幸福度は高まるのか-, PDRC Discussion Paper Series DP2021-002.

夫婦関係の悪化を防ぐにはどうすればいいのか

次に考えたいのが、夫婦関係の悪化を防ぐには「何をすればいいのか」という点です。

この点に関して、シカゴ大学の山口一男教授は、「夫婦が共に過ごす時間」が重要だと指摘しています(※2)。

具体的には、平日では夫婦の食事とくつろぎの時間を共有すること、そして、休日では家事・育児や趣味・娯楽・スポーツの時間を共有することがプラスの影響を及ぼすと指摘しています。

子どもがいる中でも「夫婦の時間」を大切にする。

子育て真っ最中の夫婦には「無理!!」と思われる方も多いと思います。しかし、長く続く結婚を心地よいものにするために必要な投資だと考え、トライしてみるといいかもしれません。

山口一男教授は、夫婦関係の悪化を防ぐには「夫の家事・育児参加」も重要であると指摘しています。日本では女性に家事・育児の負担が集中する傾向があるため、この点に異論がある方は少ないでしょう。

ただし、夫の家事・育児参加が少ない背景には、男女間賃金格差や男性正社員の長時間労働といった労働市場の構造的な問題があります。これらの課題は政府のさまざまな施策によって徐々に改善してきていますが、まだ道半ばといった状態であり、今後のさらなる施策に期待したいところです。

※2 山口一男 (2007)夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス, 季刊家計経済研究, 73, 50-60。

[拓殖大学政経学部准教授 佐藤 一磨]

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cat_445507_issue_mv564pgg8jdj oa-president_mv564pgg8jdj_xda5sj7vvs9q_「常識外れの賠償は却下に」文在寅大統領には徴用工問題を解決する責任がある xda5sj7vvs9q xda5sj7vvs9q 「常識外れの賠償は却下に」文在寅大統領には徴用工問題を解決する責任がある oa-president 0

「常識外れの賠償は却下に」文在寅大統領には徴用工問題を解決する責任がある

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

ソウル中央地裁判決は3年前の大法院判決と正反対

6月7日、韓国人元労働者(元徴用工)らが日本企業に賠償を求めた訴訟で、韓国のソウル中央地裁が原告の請求を却下した。元徴用工の訴えは退けられ、門前払い扱いされた形である。

国際法上、まっとうな判決で、日本政府の主張にも近い。しかし、だからと言って日本は手放しで喜んでばかりではいられない。韓国内では反発の声も上っている。韓国の世論や今後の韓国司法の動きに警戒し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の言動にも注視する必要がある。

元徴用工訴訟をめぐっては、2018年に大法院(韓国最高裁)で新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業に賠償を命じる判決が確定している。今回のソウル中央地裁の判決はこの大法院判決とは正反対の判断だった。同種の訴訟で地裁が最高裁と正反対の判決を下すような事態は異例で、日本では考えられない。

大法院判決は日韓請求権協定と矛盾する偏った判決だった

原告の訴えを却下したソウル中央地裁判決と、日本の企業に賠償を命じた大法院判決との判断の違いを簡単に説明しておこう。

ソウル中央地裁判決は、元徴用工とその遺族ら85人が日本企業16社を相手取り、1人当たり1億ウォン(985万円)の損害賠償を求めた訴訟に対するもので、日韓の請求権問題を「完全かつ最終的に解決した」とする1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づいて「訴訟を起こす権利の行使は制限される」と判断して訴えを却下した。

これに対し、大法院判決は「個人の慰謝料の請求権は日韓請求権協定には含まれない」と判断し、新日鉄住金と三菱重工業に損害賠償を命じた。

しかし、この判断は同協定が日本と韓国の国民がともに相手の国家・国民に対する全ての請求権に関し、「いかなる主張もできない」と定めている点に大きく矛盾している。その意味で大法院判決は偏った実におかしな判決だった。

韓国の裁判は「忖度司法」と呼んでも過言ではない

なぜ、ソウル中央地裁は3年前の大法院判決を否定するような判決を下したのだろうか。

5月7日付の記事「『韓国の裁判所も迷走』慰安婦問題を政治利用する文在寅大統領の姑息さ」でも指摘したが、韓国の裁判所は日本のように司法がきちんと独立していない。三権分立が十分でない。裁判所が政権の意向や世論の動向をにらんで判断を出すことがある。「忖度司法」と呼んでも過言ではないだろう。

いま文在寅政権は、対中国政策を推し進めるアメリカのバイデン政権の強い求めで日本との関係を改善させる必要に迫られている。大統領の任期も来年5月と残り1年を切り、文在寅大統領は切羽詰まった状況下にある。支持率も落ち込んでいる。ここで懸案の徴用工問題を解決し、バイデン政権の機嫌を取る必要がある。そうしなければ日韓関係どころか、米韓関係までも悪化し、次の大統領選で与党候補を勝たせることもできなくなる。

今回のソウル中央地裁の判決は徴用工問題解決の大きな糸口になる。

慰安婦訴訟でも最初の判決と正反対の判断を下している

今年1月18日、ネット上で文在寅大統領の新年記者会見が行われた。この記者会見で文在寅氏は徴用工問題について「日本企業の資産が現金化されるのは韓国と日本にとって好ましくない」と述べ、初めて現金化を避けたいとの考えを示した。

韓国の元慰安婦の問題についても、これまでの態度を改めて「韓国政府は日韓合意を公式的なものだったと認める」と語った。日韓合意とは日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」を確認し合った2015年12月の約束である。

2017年5月に大統領に就任した左派の文在寅氏は公約でこの日韓合意を否定し、2018年11月には慰安婦の財団も解散させた。韓国民の反日感情を利用して自らの政権を盛り上げようと企んだのである。

しかし、前述したように新年の記者会見では豹変するかのように態度を改めた。それを見たソウル中央地裁は4月21日、元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で慰安婦らの訴えを却下した。これは1月18日の最初の慰安婦判決とは正反対の判断だった。このときは多少驚かされたが、韓国の裁判は忖度司法なのである。

産経社説は「司法の暴走を助長したのは文大統領自身」と指摘

6月9日付の産経新聞の社説(主張)は「『徴用工』賠償却下 文政権の責任で解決急げ」との見出しを立ててまずこう主張する。

「国際法に則った常識的な判断である。問題を長引かせれば、韓国は常識外れの国という国際的な不信が増すだけだ。文在寅政権は自身の責任で早急に解決すべきだ」

韓国という国は国際常識に外れるところがある。判断が正反対になる司法もそのひとつだ。間違っているのが韓国にもかかわらず、文在寅大統領はこれまで徴用工問題で何ら解決に向けた行動を取らなかった。沙鴎一歩はこれまでも強調したが、文在寅氏は大統領職を離れる前に徴用工問題を解決すべきである。

産経社説も主張する。

「司法の暴走を助長したのは、文大統領自身である。韓国外務省は今回の判決後、『開かれた立場で日本と協議を続ける』などとしたが、解決済みの問題で日本が交渉に応じる余地はない。すべて韓国政府の責任と知るべきである」

この産経社説の主張は正論である。徴用工問題も慰安婦問題も文在寅氏が「司法の暴走を助長した」のだ。

産経社説は最後にこう指摘する。

「韓国大田(テジョン)市に不法設置された、痩せてあばら骨が浮き出た『徴用工』像についても、韓国の裁判所が5月、『韓国人徴用工ではなく日本人をモデルに制作された』という主張に『真実相当性がある』と認定した。嘘はだめだということである」

ウソはウソでしかない。今後も韓国司法が常識的な判断を下せることを祈りたい。

歴史問題を巡る訴訟に文在寅大統領は具体策を示してこなかった

6月9日付の東京新聞の社説は「これ(徴用工訴訟)とは別に、元慰安婦訴訟でも、国家が外国の裁判権に服するか否かを巡り、韓国で正反対の判決が下されたため、混乱が続いている」と指摘し、こう主張する。

「歴史問題を巡る訴訟に関し、文在寅大統領はこれまで具体策を示してこなかったが、司法判断が大きく割れてしまった現実を、重く受け止めるべきではないか」

東京社説が主張するように文在寅大統領は「重く受け止め」、自らの責任を取るべきである。

文在寅氏は過ちを認めて日本に謝罪して解決すべき

東京社説は「元徴用工についてはすでに、韓国政府が賠償を肩代わりするなど複数の案が出ている」「元慰安婦問題を巡っては、日韓両政府間で15年、合意に至ったが、事実上放置されている」と指摘したうで、「文大統領の任期は残り一年を切った。既存の合意を発展させるなど、自ら指導力を発揮して日本側と対応を協議してほしい」と訴える。

だが、間違っているのは韓国である。「日本側と対応を協議してほしい」と求めるのではなく、文在寅氏は過ちを認めて日本に謝罪して解決すべきだ、と主張すべきだろう。

東京社説は書き出しで「司法の場で、歴史に関する問題を扱うことがいかに難しいか。それを示した判決といえよう」と書いているが、これも納得できない。

歴史問題を扱うことが難しいのではなく、韓国司法に忖度する傾向があり、産経社説が指摘するようにそんな司法を暴走させたのは文在寅氏なのである。東京社説は問題の本質を理解していない。

おまけに東京社説は最後にこう主張する。

「日本政府は、すべて韓国側に責任があるとして、受け入れ可能な解決案を出すよう求めてきた。ただ、このような一方的な姿勢では問題をこじらせるだけだ」
「未来志向の日韓関係を築くには双方が対話に応じ、外交的な解決策をともに探るべきである」

これは朝日新聞の社説が好きな喧嘩両成敗の論法にすぎない。東京社説は朝日社説に引っ張られているようだ。社説である以上、独自の論調がほしい。

日韓関係が「悪い」との回答は、日本で81%、韓国で89%

同じ6月9日付の読売新聞の社説は「韓国の文在寅大統領は、こうした世論を重く受け止め、歴史問題の蒸し返しで停滞が続く対日関係の打開に動くべきだ」と主張したうえで、日韓の世論調査の結果を次のように取り上げる。ちなみに「こうした世論」とは「日韓関係の改善が必要」という日本と韓国の国民の声である。

「読売新聞と韓国日報の共同世論調査で、現在の日韓関係が『悪い』との回答は、日本で81%、韓国で89%だった。相手国が『信頼できない』という回答も、日本で69%、韓国で80%に達した」
「韓国最高裁が2018年、元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を確定させた後、両国とも『悪い』が80%以上で推移している」

こうした世論調査の数字を受け、読売社説は「政府間の関係悪化が国民感情にも影響を与え、相互不信が長期化しているのは深刻な問題だ」と指摘するが、相互不信の原因を作ったのが文在寅大統領である。読売社説には文在寅氏の責任を強く追及してほしい。産経社説に比べ、同じ保守の社説として読売社説の主張は弱い。

読売社説は「言葉を行動に移してもらいたい」と呼びかけ

終盤で読売社説は今回のソウル中央地裁の徴用工判決を取り上げ、「判決は、日本側を相手取って賠償を求める権利を行使することは日韓協定によって制約される、と述べている。国際法の観点に沿った妥当な判断だが、最高裁判決の効力が消えたわけではない」と懸念する。

その通りで、日本政府は韓国司法の動きに注意を払う必要がある。

最後に読売社説はこう訴える。

「歴史問題を巡り、韓国の裁判所の判断は揺れてきた。外交を担う文氏は、司法に振り回されず、責任を持って日韓間の懸案に対応することが重要である」
「最近は、関係改善に意欲的な発言も聞かれるようになった。言葉を行動に移してもらいたい」

文在寅大統領はどのように日韓関係を改善していくのか。私たち日本国民はその言動から目を離してはならない。

[ジャーナリスト 沙鴎 一歩]

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あえて空腹時間を作る「プチ断食」は女性には勧められない医学的理由

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

あえて空腹時間を作る「プチ断食」が健康法として注目を集めている。ただし注意も必要だ。予防医療コンサルタントの細川モモ氏は、「女性は空腹時間が長いと体温が上がらず、子宮の血流が悪くなり、排卵や妊娠に悪影響を与える。生理に悩んでいる人や妊娠を考えている人は避けたほうがいい」という――。

※本稿は、細川モモ『生理で知っておくべきこと』(日経BP)を再編集したものです。

朝ごはんを食べる人は生理痛が軽い

あなたは朝ごはんを食べていますか?

朝食をほぼ毎日食べている人のほうが、生理痛が軽いです。

私たちが、朝ごはんを食べる頻度と生理痛について調べたところ、次のような結果になりました。

朝食をほぼ毎日食べている人で、寝込んだり、痛みどめを使用したりするほどの生理痛がある人は約25%、対して朝食が週に4〜5日以下の人で重い生理痛の人は約40%でした。また、朝食を食べている人で、生理痛が軽い、あるいはほぼない人は約74%、朝食を食べていない人のこの割合は59%でした。

さらに、過去3カ月間連続して生理がとまったことがある女性も、調べてみたら朝ごはんを食べていない傾向にありました。朝ごはんはPMSの症状である頭痛などにも影響しています。

体温が上がると生理痛が軽くなる

なぜ朝ごはんを食べると、生理痛が軽くなるのでしょうか。その理由は、朝ごはんを食べることで体温が上がるからです。

眠っている間に体温が下がっていることは知っていますか? 就寝中は、起きているときより約1度体温が下がります。この1度が体を健康に動かすのにとても大切です。朝起きてバタバタ動き回っていると、活動により体温が上がります。しかし、それは一時的なものです。朝ごはんを食べてないと、ランチ前に手足が冷えてくるはずです。体温を高めるには、食事の消化熱です。そして、どれくらい体温が維持できるかは、なにを食べるのかによって違います。

糖質のみだと摂取カロリーの約6%しか使われず、体温も上がりません。脂質メインだと約4%です。しかし、たんぱく質メインだとなんと約30%も使われます。これだけ違うと体温にも大きな違いが表れます。つまり、スムージーやフルーツだけでは冷えは改善されません。朝からしっかりたんぱく質を食べると、冷えを感じることなくお昼を迎えることができます。そこでまたランチを食べて、体温を上げます。体温が上がると、血の流れがよくなって痛みが和らぎます。

この、「体温が1度朝に上がる」というのがとても大切で、寝ている間に下がっていた体温がずっと昼まで上がらないままだと、子宮の血液がうまく流れなくなり、流そうという圧が過剰にかかり、痛みを強くします。

最近では、「朝ごはんを食べないほうが健康にいい」「1日1食がいい」「できるだけ空腹時間をつくったほうがいい」という説も聞きますが、多くの場合、こうした主張は男性が唱えています。男性は生理がありません。私たちの調査では、貧血などの不調は明らかに食事回数が少ない女性に多く見られます。

朝ごはんを食べると太りにくくなる

それ以外にも、朝ごはんにはメリットしかありません。

私たちが1000人を対象にした調査では、朝ごはんを毎日食べている人は、体脂肪が少なく、筋肉量が多いことがわかりました。つまり、朝ごはんを食べると、太りにくくなります。

理由はふたつあります。まずひとつは、朝ごはんを食べると1日の血糖値の乱れが抑えられることです。

血糖値が上がると、それを下げるホルモンが多く分泌されますが、なんと、このホルモンは過剰な血糖値を脂肪にかえてしまうので、それだけ太りやすくなります。

空腹時間が長引くほど、次の食事で血糖値が乱れやすくなるので、朝ごはんを抜くと、昼ごはんで必要以上に血糖値が上がってしまいます。

朝食で体内時計がリセットされる

ふたつめは、体内時計のリセットです。

そもそも体内時計とは、「私たちの脳」と、「末梢細胞という臓器などにある体内の時計」のふたつのこと。時間は人間が決めたものですから、生き物としての私たちの体とは時間のズレがあります。周りの時間と体の時間が違うと、ホルモンバランスや自律神経が乱れます。

朝ごはんを食べないと、体内時計はいつが24時間の区切りなのかがわからず、どんどんと時差ぼけを起こしていきます。

体内時計の乱れは、肥満やうつなどのさまざまな病気に関わっていますが、中でも気になるのは、排卵と妊娠への悪影響です。排卵と妊娠に悪い影響があるということは、女性の健康にとっていいことではありません。

日本女性で、不妊症の人には朝ごはんを食べていない人と、食事の時間が不規則な人が多いということもわかっています。つまり、きちんと朝ごはんを食べることは、体内時計をリセットし子宮の健康につながるといえます。

ただ、体内時計をリセットするには、朝ごはんを食べるだけでは少し不完全です。必ず、「光」を浴びましょう。次で詳しく説明します。

朝は日を浴びよう

体内時計をきちんと外の時間に合わせたいなら、忘れてはいけないことがあります。それは、「光」を浴びることです。

日を浴びることで、まず「セロトニン」が分泌されます。これが、14時間経つとメラトニンというものに変わることはすでにお伝えしました。「睡眠のホルモン」で、これが人を眠くします。ただし、このメラトニンは強い光を浴びると分泌が減ります。

日没以降に蛍光灯などの強い光を浴びてしまうと体内時計が乱れてしまいます。つまり、「光」は皆さんが思っている以上に、健康に影響すると思ってください。朝はできるだけ明るい光を、夜は間接照明を使うのが、健康の源です。

たとえば、朝はカーテンを全開にし、すべての照明を最大限明るくし、夕方に帰ったら、つける照明は3分の1だけ、しかも、もっとも暗いライトなどをつけるのはとてもいいですね。コンビニの照明は強烈なので、夜はあまり寄らないようにしたいものです。

体温が上がると栄養吸収率が上がる

朝ごはんには、就寝中に下がった体温を上げる役割があるとお話ししました。体温は冷え性だけでなく、免疫や、なんと栄養の吸収にとっても大切です。

鉄の吸収率は体温が高いほうが上がります。つまり、体温が低い人は、貧血になりやすくなります。鉄だけではなく、人は37度の体温のときに、細胞は栄養などの物質を積極的に取り込みます。

日本女性の平均体温は、36.1度であり、35度台の人も少なくありません。

「そんなことをいっても、私は昔から体温が低くて」という人もいるかもしれません。でも大丈夫です。体温を上げるのも食事でできます。

体温はどこから生まれるかご存じですか?

体温は筋肉の中にあるサルコリピンというたんぱく質が生み出しています。そして、保温するのが体脂肪です。つまり、筋肉の量が少なく、やせている人ほど冷え性になります。

筋肉の量を増やしたいなら、3食の食事でたんぱく質をバランスよくとること。つまり、5種類のたんぱく質(魚介類、肉類、卵類、乳製品、大豆製品)をまんべんなくとることで、改善されます。運動よりもまずは食事です。

朝食習慣がない人にもできる3つの方法

朝ごはんを食べる習慣のない人はかなりハードルが高く感じるかもしれません。習慣を大きく変えるのは大変です。ここで、私たちが調査した、朝ごはんを食べていなかった人が「これならできる」と食べるようになったものを紹介します。

① まずは飲み物だけ

たとえば、砂糖なしのカフェラテです。乳製品が入っていると、たんぱく質がとれるのでいいです。豆乳もいいですね。

② 調理がいらないもの

バナナやカットフルーツ、ヨーグルト、ゆで卵をおすすめします。買ってきたものでいいから、パンやサンドイッチ、おにぎりもいいですね。

また、朝ごはんを食べると気持ち悪くなるという人も、インスタントみそ汁なら飲めるということで始めた人がいます。その後、自分で乾燥わかめや高野豆腐を入れて具だくさんになっていったそうです。

③ 楽しみをつくる

仕事の帰りに、成城石井などのちょっといいスーパーで朝ごはんを買って帰ることで続く人がいました。朝起きるのが楽しみになるので、続きやすい。無印良品のレトルトなどもおすすめです。

起床後すぐに食べられない人はオフィスでも

私たちが働く女性を対象に、朝ごはんを食べる習慣のない女性に毎日朝ごはんを提供した結果、食べる率があがりました。「時間がない」「ギリギリまで寝ていたい」「冷蔵庫にものを入れたくない」という人は、カバンやオフィスのデスクに、栄養のつまった常温で保存できるバーを入れておくのはどうでしょうか。できれば起床後2時間以内に朝ごはんを食べられると理想的です。

これを実践して、「6kgやせた」「疲れにくくなった」「午前中の生産性が上がった」「アクティブになった」「気持ちが明るくなった」「PMSや生理痛が軽くなった」など、たくさんの声が寄せられています。

どうでしょうか。「これならやってみようかな」と思えましたか?

鉄分や亜鉛、カルシウムなどの栄養素はふつうに食べていても不足してしまいます。

家で時間がなければ、会社で食べるのでもOKです。楽なものや、楽しいものからはじめてみましょう。

朝ごはんに卵をプラスしよう

「朝にとにかく何でもいいから口にする」のハードルを越えられたら、しめたものです。さらに慣れたら、たんぱく質を1品足してみましょう。たんぱく質をとると、体内時計がリセットされる効果があがります。

夜勤がある、シフト勤務の人、夜更かししやすい人など、体内時計が乱れやすい人はたんぱく質で体内時計を強力リセットしましょう。目玉焼きトースト、納豆ごはん、鮭フレーク茶漬け、ヨーグルトにグラノーラなどがいいでしょう。たんぱく質に糖質をセットで食べるとより効果的にリセットされます。

たとえば、トーストだけ、スムージーだけという人は、コンビニで買ったゆで卵を足してみましょう。ご飯の人は、かつおぶしやシラス、鮭フレーク、納豆、そぼろを上にのせるだけでOK。朝ごはんにたんぱく質を1品足せたら、合格です。簡単なものを追加してみてください。

ちなみにマウスを使った研究では、魚を食べると、すでに乱れてしまった体内時計をリセットする効果があることがわかっています。夜勤などで朝日が浴びられない人は、起きたらかつおぶし、ツナ、しらす、鮭フレーク、アジの干物など、食べられる魚を常備しておくこともおすすめします。

朝ごはんに避けてほしいものが、砂糖の入ったコーヒー、ジュース、菓子パンの3つです。

砂糖がたくさん入っており、お腹がからっぽの朝に食べると、血糖値が急に上がってしまうからです。

朝食を多め、夕食を少なめに

体内時計は、食事の「量」にも影響します。

1日の中で、夜はいちばん食事の量が多い傾向にありますが、夜の食事にボリュームを持たせると、体内時計が夜型になってしまいます。そもそも、体内時計が「朝型」「夜型」は遺伝子の影響もあるのですが、夜型の人はメンタル不調を抱えやすい傾向にあります。

メンタルが不調になりやすい人は、ぜひ朝ごはんをしっかり食べ、夜は少なめにしてみてください。

[予防医療・栄養コンサルタント 細川 モモ]

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cat_445507_issue_mv564pgg8jdj oa-president_mv564pgg8jdj_i0y2sa3vwp96_「イケア社長もビックリ」次々とオープンする都市型店舗で売れる"意外な商品" i0y2sa3vwp96 i0y2sa3vwp96 「イケア社長もビックリ」次々とオープンする都市型店舗で売れる"意外な商品" oa-president 0

「イケア社長もビックリ」次々とオープンする都市型店舗で売れる"意外な商品"

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

イケアが国内で都市型店舗を増やしている。この1年で、原宿、渋谷、新宿の3店を開いた。狙いは何か。国内外の30店舗以上のイケアを訪れてきたデザイナーの森井ユカさんが、イケア・ジャパンのヘレン・フォン・ライス社長に聞いた――。

パリやバルセロナでも都市型店舗がオープン

「外に出たついでにイケアに寄る」のは、都心に住むイケアラバーにとって願ってもみなかったことだった。これまでは大型店舗に行くには半日割いて予定を立てるしかなかったからだ。

都市型のコンパクトな店舗は、香港と台湾に数十年前から存在し、すでに都市生活に溶け込んでいた。いつかは世界中にできるものと予想はしていたが、近年のそのペースの速さには目を見張るものがある。

東京、パリ、バルセロナ、マドリッド……サンフランシスコにも今秋オープンの予定であり、しかも東京ではこの1年で原宿、渋谷、新宿と立て続けに3店舗が開店というスピード。東京の半分の大きさの香港で5店舗を巡った筆者にとって、都市への集中は不思議なことではないのだが、日本では大きな関心が寄せられている。

「イケアに初めて触れる人」を増やすのが狙い

イケア・ジャパンのヘレン・フォン・ライス社長に聞いた。

「都市型店舗の存在意義は、物を売るだけでなくイメージアップにあります。メガシティに出店することで、我々は多くの可能性とチャンスを得ることができました。大型店舗、ネット通販、そして都市型の店舗と、たくさんのチャネルを用意して、イケアに初めて触れる人が増えることが狙いです。

出店の立地については、IKEA Family(無料のメンバーシップクラブ)のメンバーがどこにいて、どう移動しているかなど、人々の動きを分析した結果決定されました。今回の3つの場所は山手線沿いにあり、乗り換えの拠点であることも大きな要因です。中でも原宿については、計画を立てずに動く人が多いという特徴もあり、ブランドの認知には最適でした」

香港の渋谷ともいえるコーズウェイ・ベイにあるコンパクトなイケアでは、イケア名物のミートボールをたこ焼きのように小さなカップで売っている。よく高校生が学校帰りに立ち食いをしているところに出会すが、特に店内で何かを買ったようには見えない。しかしおそらく彼らは独立し自分に家具が必要になったとき、イケアで買い物するだろう。

パッと寄れる原宿店、世界初の「7フロア」を持つ渋谷店

さてその東京にできた、原宿・渋谷・新宿の3店舗に違いはあるのだろうか。もともと大型店舗は日本含め世界中どこに行っても大きさと内部設計はそれほど変わらず、それによって設計費のコストダウンを計っている。しかし都市型の店舗に規格はなく、面積だけで比べると、大型店舗(約25000m2)に比べ渋谷がその約5分の1、新宿が約7分の1、原宿は約9分の1だ。

2020年6月にオープンした原宿店は、イケア特有の順路らしいものは見当たらず、2フロア吹き抜けの天井が広々としており、カフェスペースも開放的な設計。入り口に「スウェーデンコンビニ」と称されるコーナーがあり、菓子類や文具、電池やケーブルなどが細々と並ぶ。駅を出てすぐの場所にあり、「あれを買わなきゃ」と思いついた時にパッと寄れる手軽さがある。

その後11月にオープンした渋谷店は、世界のイケアでも初めての7フロアを持つビル型で、最上階にはワンフロアを独占したレストランもあり、かなりのボリューム。レストランのメニューの数は大型店より少ないが、日本風の焼鮭定食(「フィレサーモン定食 ジンジャーソース」)があるなど、いつ来ても飽きない工夫が考えられている。さらに日本のイケアではここだけのプリクラマシーン「Fotobox」もあり、友人同士で訪れた20代の女性たちが嬌声を上げながらユニークな写真撮影を楽しんでいる。

シングルペアレントや同性カップルを想定した部屋

2021年5月1日にオープンした最も新しい新宿店は、地下1階・地上3階の計4フロア。ワンフロアが比較的広く、奥まで見渡すことができる。この最新の新宿店についてイケアとしてはどのような特徴を持たせているのだろうか。

「新宿店を利用する人物像は、年齢層は比較的高め・多様性を受容し・住みたいように住む人々です。また、予想よりも家族世帯が多く来店しています。イケアの店内にはルームセットがいくつかあるのですが、これは想定する利用者に合わせてインテリアを設えています。例えば新宿店では、『シングルペアレント』『同性カップル』『外国人』『学生』などを設定した部屋があります」

世界に先駆けて「量り売りコーナー」をオープン

確かに新宿店に初めて訪れたときに見たルームセットは落ち着いた色使いが多く、そこはかとなく年齢層の高さが感じられた。また渋谷店ではそれほど広いスペースを持っていない、イケアが世界のアーティストとコラボレーションした「IKEAアートイベント2021」のコレクションが2階のエスカレーター脇という、非常に目立つ場所で展開されていたのも印象的だった(※)。アートに敏感に反応する人物像を意識してのことだろうか。

※限定コレクションのため、販売終了とともに展示も終了予定

また5月17日より新宿店1階でスタートした「スウェーデン・バイツ」は、世界に先駆けてオープンした「スウェーデン料理の量り売り」のコーナー。店内に座って落ち着けるレストランやカフェはないが、イケアおなじみのミートボールやマッシュポテト、北欧名物のサーモンのマリネなどを好きな分量だけテイクアウトすることができる。オフィスや自宅での手軽な食事にはもちろん、ちょっとしたホームパーティーなどにも重宝するに違いなく、新宿店を使う人々のフレキシビリティーにマッチしている。さらに鮮やかなブルーのソフトアイス(プラントベース)は、新宿店限定の丸みのある形。これを持ち出して外で食べれば、おそらく目を引くことだろう。

「新宿店がオープンしてからの意外なできごとは、ルッネン(木製のフロアタイルでベランダなどに敷き詰めるもの)がすぐに売り切れてしまったことです。アウトドア商品がこんなに好評とは予想していませんでした。ラップトップを使い家の様々な場所で働けるようになり、生活様式が変わったことの現れでしょう。

各店舗それぞれに独特の動向があり、例えば原宿では食品の売れ行きが良く、渋谷ではロゴ付きのショッピングバッグやレインボーバッグが好評です。うちはインテリアショップなのに!(笑) とはいえポジティブなブランドイメージを持ってもらえれば嬉しいです。

日本全国共通の特徴としては、いくつかの家具は日本の限られた居住空間に合わせてダウンサイズしています。またイースタード(ファスナー付きのビニール製フリーザーバッグ)がよく売れていることも日本特有のケースです」

買い物の選択肢の一つとしての「都市型店舗」

東京で生活していると、街によって明確な個性があり、降りる駅でキャラクターが劇的に変わるのがわかる。日本人としての個性というのは自分自身のことなので気付きにくいが、確かに筆者もイースタードは頻繁に買い足している。食品を入れるだけではなく、普段持ち歩くカバンの中のものを小分けして整理したり、旅行に行くときは大きめのイースタードに服やら靴を仕分けしたり。なによりデザインが愛らしいので、ちょっとしたお礼のものなどを入れて誰かに渡すことも少なくない。そんな行動様式が自分以外にも容易に想像できる。

それでは車で来店できない、広々とした空間がないというデメリットがある一方で、都市型ならではの強みは何なのか?

「大き過ぎないものを揃えているので、ブルーバッグ(イケア名物の大きなプラスチックバッグ)に入れて持ち帰れることです。配送料についてもなるべく低価格であるように工夫しています。

東京の他、パリやマドリッドなど都市に住む人々にはショッピングの仕方や、行動に共通点があります。例えば、時間の使い方が変わってきました。かつては買い物は休日に出かけるものでしたが、今では深夜に急にものが欲しくなったり、携帯が手放せなかったり。特に女性の行動に変化が現れていると感じます。実店舗で買い物をする、思い立った時に通販で買えるなど多様な選択肢の中の一つに、都市型店舗があると思われます」

世界最大面積の店舗がフィリピンにオープン予定

都市に集まる人々の消費動向はトレンドにより揺れ動く。その変化に細かくついていけるのもコンパクトな都市型のメリットだろう。何年か先には、品揃えがガラッと変わっていることも考えられる。

都市型を世界で積極的に展開する一方、2021年中には世界最大の面積を誇るイケアがフィリピンのマニラに誕生する(本来2020年のオープンが1年後ろ倒しとなった)。イケアのフィリピンへの出店はこれが初で、旺盛な購買欲を支える存在となる。「どこに行ってもだいたい同じ雰囲気」のイケアが変わりつつあるのかもしれない。

「イケアはこれからも日本ではステップバイステップで、いいロケーションを探していきます。まずはその地域について学び、知見を広げようと思います」


<参考資料>
Go-PopUp「Ikea’s Pop-Up Stores for 20th anniversary in Spain」(2021年5月31日閲覧)
INGKAグループ「Ingka Centres Acquires 6X6 Building in Downtown San Francisco」(2020年9月8日)
INGKAグループ公式サイト

[デザイナー 森井 ユカ]

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GAFAの部長が断言「いきなりパワポはNG、ワードを軽視する人は仕事ができない」

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

入社1年目、エクセルツールを使いこなすことで“飛び抜けた新人”と評価をされていた寺澤伸洋さんは、当時の上司Nさんに「エクセルなんかしてちゃだめだ。君が本当に伸ばすべきスキルがある」と指摘を受けました。「若いうちに伸ばすべきスキル」とは――。

※本稿は、寺澤 伸洋『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)の一部を抜粋したものです。

「オフィスツール」を使いこなす人とは

マイクロソフトオフィスのエクセル、パワーポイント、ワード。内勤の方は、これらのツールをよく使われていることと思います。僕はエクセルが比較的得意で、経営企画室に入ったときにはかなり習熟していました。

当時はまだまわりはそれほどエクセルを利用しておらず、中には電卓で出した数字をエクセルに入力している人もいるような状態でした。

そうした中でなぜ僕がエクセルができるようになったのかというと、入社1年目に「この中でエクセルが飛び抜けてできれば、自分の価値を高めることができるんじゃないか」と考え、時間があればエクセルをいじって、見積書やその他のツールを効率的に作り変えるといったことをやっていたからなのです。

便利な「エクセル屋」になってはいけない

こういう仕事をしていると、どこかから噂を聞きつけて「うちの部門のシートも効率化できないかな?」「うちも、このデータをボタン1つで処理できるようにしたいんだけど、できる?」と、いろいろな部門から依頼が来るようになります。

僕も必要とされているのがうれしくて、すべて引き受けて効率化を実現していました。まさに僕と依頼者、双方が幸せを感じるWin Winの状態だと思っていたのです。

ところが経営企画室にきた途端、Nさんから驚くべき言葉を言われました。

Nさん「寺澤くん、エクセルなんかしてちゃダメだよ。君の能力は、もっとほかのところに使わないと」

僕「えっ」

Nさん「まわりにエクセルの便利屋みたいに使われてるだけじゃ、君の本当のスキルは伸びないんだよ」

僕「そ、そうなんですか?」

Nさん「そうだよ。誰かに頼まれたエクセルを作ってるだけじゃ、会社を動かすような仕事はできるようにならないよ。エクセルも、寺澤くんにしかできないことだろうから、やってあげたらいいとは思う。でも、それが自分の仕事のすべてだと思ったらダメ。もっと伸ばすべきスキルがあることに目を向けないといけない、っていうのが僕の言いたいことだよ」

僕「マジですか……たとえばどんなスキルを伸ばせばいいんですか?」

Nさん「うーん、そう言われるといっぱいあるんだけど……。

じゃあ、たとえば仕事でよく使うエクセル、パワーポイント、ワードで話をしてみようか」

ツールごとの視座の高さの違い

Nさん「エクセルって、確かに使いこなせば作業は効率よく進むし、部署に得意な人が1人いればありがたい存在であることは間違いないよね。

でもエクセルって、アウトプットがただの表やグラフでしかないでしょ? 結局、『人に伝える』という目的においては、一部分しか担っていないんだよ」

僕「それって、どういう意味ですか」

Nさん「たとえば、図表にかくと、こういうことだね。」

Nさん「つまり、エクセル作業は、人に伝えるためのパワーポイントの一部分を作っているにすぎないってこと。この作業をしてる人が高い視座を持って、全体を見ながら仕事してると思うかい?」

僕「あー、確かに。一部分の数字を出すために仕事してる作業者って感じですね。じゃあ、パワーポイントを作る立場になれば、だいぶ視座が変わりますね!」

Nさん「うん、パワーポイントを作る立場になると、エクセル作業者よりは高い視座で物事を見てることになるね。

でも、以前、寺澤くんに『いきなりパワーポイントから作り出してはいけない』って言った話は覚えてるかい?」

僕「もちろん、覚えてますよ! 『まずはA3に手書きせよ』ですよね」

ワードこそ最強のツール

Nさん「そうそう。まずは紙の上に手書きしていくのが一番。何を手で書くかというと、パワーポイントにするための『ストーリー』なんだよ。

次に、そのA3用紙に書いたストーリーを誰が見てもわかるように整理するなら、ワードでやるべきだね。

ワードのストーリーがあるからこそ、パワーポイントを作ることができる。

そのパワーポイントの一部のデータ作成のためにエクセルがある。こういうイメージだよ。

だから仕事において、ワードは最強のツールなんだよ」

僕「ワードなんて、ただ字を書くだけのソフトだと思って、超軽視してましたよ」

Nさん「いやいや、ストーリーをちゃんと字で伝わるように書こうとすると、すごく頭が整理されるから」

重要なのはワードでストーリーを書くスキル

Nさん「僕は寺澤くんには、エクセルでデータを作る仕事で終わらずに、もっと高い視座を持ってワードでストーリーを書くようなスキルを伸ばしてほしいんだよ。

結局、パワーポイントは、ワードで書いたストーリーのポイントをかいつまんで、わかりやすく説明しているだけにすぎないからね。図表にすると、こんな感じだね」

僕「おおお、ようやくNさんの言ってる『エクセルの作業者になるな』っていう言葉の意味がわかりましたよ。確かに、今までの僕はエクセル作業者でした!」

Nさんの言葉の意味を理解してから、僕は改めて「できるだけ若いうちに『ストーリーを作り、それをもって人に動いてもらう思考に変わっていくこと』が、社会人として成長する近道だ」と認識し、エクセルをメインにした仕事から距離を置くことに決めました。

みなさんも、もし自分が「エクセル作業者」になっていると感じたら、少し仕事のやり方を変えてみてもいいかもしれません。

【Nさんからの学び】

・エクセルが得意だからといって、作業者になってしまわないこと
・高い視座を持ち、ワードでストーリーを書くスキルを伸ばすこと
・できるだけ若いうちに、「ストーリーを作り、それをもとに人に動いてもらうことが成長につながる」という思考に変えていくこと

完璧さよりスピード重視する理由

Nさん「寺澤くん、あの件、どこまでできた?」

僕「まだ半分くらいですねー。とりあえず、フローの叩き台だけはできました」

Nさん「どれどれ、ちょっと見せて。……ああ、ここはこうしたほうがいいね」

僕「なるほど! あー、この段階で言ってもらってよかったー。このまま進んでたら、手戻りが発生してメンドクサイことになってました」

Nさん「うん、そうなんだよ。自分だけの視点で100%に近いものを作ってから上司に見せるんじゃなくて、50%くらいの段階で、進めてる方向が間違ってないかを確認するのって、仕事を進めていく上ではものすごく効率的なんだよ。

逆に、完璧主義ですごく時間をかけて仕事をしたのに、ダメ出しされて苦労している人もいるよね。

完璧主義よりも、50%くらいで相手に渡すほうがよっぽどいい。理由は3つあってね……」

依頼主の意見を聞いて対応する時間ができる

Nさん「まず、完璧さよりもスピードを重要したほうが『依頼主の意見を聞いて対応する時間ができる』んだよ。

ほとんどの仕事は、誰かからの依頼に基づいて、誰かに渡さないといけないものでしょ? 自分だけが完璧さを追求して完成させた資料だったとしても、相手がどう受け取るかなんて、わからないじゃない。

それよりも50%くらいの出来で1回相手に見てもらって、大まかな方向性の確認をもらったほうが後々の手直しが少なくなるというケースが多いんだよね。これは、さっきの寺澤くんのケースだね。

逆に最悪のケースは、時間をかけて資料を作成して、締め切り間際に大作を相手にドンッと送りつけ、終わったつもりでいたら大幅に修正が入って徹夜というパターン。こういう仕事の仕方をしないようにね」

僕「それ、怖すぎますね。気をつけます!」

完璧さを求めると時間がかかりすぎる

Nさん「あと、完璧さを求めると時間がかかりすぎるという難点があるね。

たとえば50%の完成度で資料を提出して、その段階で方向性を確認できたら、そこから90%の完成度にするのはそんなに時間がかからないんだよ。だけど、そこから95%、98%、99%……と完成度を上げていくためには、50%から90%に上げたのと同じか、それ以上の時間がかかるんだよね。

特に完璧さを求めるとよくないのがパワーポイント。内容だけじゃなくて文字の位置とか色、大きさまで完成度の対象になってしまうし、それには正解がないじゃない。

そんなことに時間を使うくらいなら、ある程度自分がいいと思う観点でパパッと作成しておいて、最後の10%は依頼者に微調整をしてもらうくらいの適当さがあるほうが仕事は進むんだよ」

僕「ううう、パワーポイントで内容はもうできてるのに、文字調整でハマった経験があるのを思い出しました……」

仕事は自分の手もとにないほうが進む

Nさん「あと仕事って、火のついた爆弾みたいなもんなんだよ。その爆弾を受け取ったら、自分のやるべきことをサッとやって、次の人に回さないとね。いつまでも自分がずっと抱えていると、いつかドッカーンと爆発しちゃうんだよ。

爆発するまで抱えてるなんてありえないって、思うでしょ? でも結構、みんな、抱え込んじゃうんだよね。

自分が火のついた爆弾を抱えているときに、さらにあと、2、3個ほど同じように火のついた爆弾が手もとに転がってきて、どの仕事にも完璧さを求めてしまうと、時間切れで大爆発だよ。そうなったら、その仕事を依頼したまわりにも被害を及ぼすことになっちゃうよね。

だからさ、完璧さを求めるあまりに大爆発を起こすくらいなら、適当なところで爆弾を手放して次の人にバトンタッチしたほうが、自分もまわりもハッピーなんだよ。

要は仕事って、自分の手もとにないほうが進んでいくっていうことだね。ははは」

涼しい顔で大量の仕事をこなす人の秘密

僕「なるほど! よく大量の仕事を任されてるのに、涼しい顔してこなしてる人がいますけど、あれは手を抜いてるんじゃなくて、次の人にバトンタッチするスピードが早いってわけですね!」

こうしたやり取りがあってから、僕は「仕事は完璧さよりもスピード重視だ」ということを意識するようになりました。そのおかげで、今まで仕事で大きなトラブルもなく過ごせてきているのだろうと思います。

この方法、めちゃくちゃ仕事の効率が上がるから、ぜひやってみてください!

【Nさんからの学び】

・完璧主義を捨てて、スピード重視のスタンスをとること50%くらいできたところで、依頼主の確認をとること
・自分のところに仕事をとどめておかないこと

[外資系企業社員 寺澤 伸洋]

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cat_445507_issue_mv564pgg8jdj oa-president_mv564pgg8jdj_f16xkfyckalh_「生理に悩む女性はもっと食べて」現代女性の摂取カロリーは終戦直後より少ない f16xkfyckalh f16xkfyckalh 「生理に悩む女性はもっと食べて」現代女性の摂取カロリーは終戦直後より少ない oa-president 0

「生理に悩む女性はもっと食べて」現代女性の摂取カロリーは終戦直後より少ない

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

生理の悩みがない人と、それ以外の人では何が違うのか。約2万人の日本人女性を調査した予防医療コンサルタントの細川モモ氏は「生理の悩みがない人は食べる量が多い。現代女性の摂取カロリーは終戦直後より少ない。これでは栄養が不足してしまう」という――。

※本稿は、細川モモ『生理で知っておくべきこと』(日経BP)を再編集したものです。

一週間単位で栄養バランスを整えよう

食事でもっとも大切なのはバランスです。栄養が「偏る」ことは体によくありませんといわれますが、なぜでしょうか?

答えは、「食材に含まれている栄養素が異なるため」です。

たとえば、肉には豊富な鉄分が含まれていますが、食物繊維は含まれません。逆に、野菜には豊富な食物繊維が含まれますが、鉄分はわずかです。

のちほど詳しく説明しますが、生理痛やPMSを軽くするビタミンDやDHAは魚に多く含まれています。

サッカーや野球がチームでないとプレーできないのと同じで、栄養も何かが欠けると動きません。

ちなみに、栄養の何と何が作用しあっているかはあまりに細かく、覚えるのはプロでも難しいです。実際にバランスのよい食事をしている人は筋肉量が多く、健康長寿になりやすいことが報告されています。

しかし、栄養は食べたそばから消費されるため、まんべんなくを毎日とるのが理想だといわれています。しかし、「そんなの無理」と思う人もいるでしょう。

でも、安心してください。大人は、そんなに厳しく毎日とらなくても大丈夫。1週間でつじつまがあっていれば、栄養的には合格です。

つまり昨日は肉を食べたから今日は魚にしよう、などと1週間でバランスがとれるように考えてみましょう。

平日に毎日食事に気をつけるのは無理かもしれませんが、休日を利用しつつ1週間を目安にすれば、栄養をバランスよくとる習慣が身につけられるはずです。

生理の不調が少ない人の食事とは?

私たちは、全国で開催している保健室の参加者データをもとに、生理の悩みがある人とない人で分け、食事の状況を調べました。

生理の悩みがない人とは、「生理が正常に来ている&生理痛が軽い&PMSがない人」です。すると、生理の悩みがある人とない人の食事の違いが、はっきりと結果に表れたのです。

このグラフから見てとれる、生理の悩みがない人の特徴は次の通りです。

・オメガ6系の油を含む揚げ物を食べている人が少ない
・オメガ3系の油を含む魚を食べている人が多い
・たんぱく質を含む豆腐や油揚げなどの大豆製品を食べている人が多い
・大根・かぶなど、根菜から食物繊維、きのこからビタミンD、季節の果物からビタミンCをとっていて、栄養バランスがとれている
・カフェインを含む緑茶、紅茶、ウーロン茶をあまり飲んでいない

先述したビタミンDやDHAなどの栄養が、生理の悩みに効果があるとわかってもらえたと思います。そして、この傾向から、生理の悩みがない人たちの食事の特徴は、和食であるといえるでしょう。

生理痛の人は「痛み物質」を摂取している

生理の悩みのない人ほど、体内で炎症をあおるオメガ6系の油の量(揚げ物)が少なく、炎症を火消しするオメガ3系が多いです。この結果からも、食事は明らかに生理痛やPMSに影響しています。

ちなみに、アルコールも痛み物質をつくる原因になります。

アルコールを処理する力(お酒が強いかどうか)は人によって違いますが、アルコールを処理しきれないと、「アセトアルデヒド」がたくさんつくられます。

これは、神経を刺激して痛みを誘発する物質です。それが二日酔いなどの「アルコール頭痛」の原因ですが、生理痛がひどくなることもあります。

痛みの原因の「プロスタグランジン」のほかにもうひとつ、お酒でも痛み物質ができます。

体にいい食べ物をいっぱい食べよう

「カロリーが高い=太る、体に悪い」というイメージがありますよね。

でも、食事でのカロリーは、もっととって大丈夫です。現代の日本女性の1日の摂取カロリーはなんと、終戦直後を下回っています。特に、働く女性ほど(さらに長時間働く人ほど)カロリーが大幅に不足しています。

生理の悩みがない人とある人のとったカロリーを比べてみると、悩みがない人のほうが多くとっています。意外に思いますよね。生理の悩みのない人は、揚げ物をあまり食べず、焼き魚や豆腐、野菜などのカロリーが低いものを食べているのですから。

でも、女性ホルモンのために必要な理想のカロリーは体重1kgあたり45kcalです。

ちゃんと食べている人に生理の悩みが少ないのは、それだけ女性ホルモンの分泌がしっかり行われているからです。カロリーの内訳を見たときに、魚、大豆、野菜などをたくさん食べて、いいもので埋まっているイメージです。

栄養がない「エンプティカロリー」に要注意

逆に、生理の悩みがある人は、栄養が少ないカロリーだけが多い食事をとっています。

気をつけるべきは、この「栄養がほとんど入っていないカロリー」。スナック菓子、スイーツ、お酒などで、私たちは「エンプティカロリー」と呼んでいます。「空のカロリー」という意味で、栄養がなくてカロリーだけがあります。

「エンプティカロリー」を避けて、栄養が詰まったカロリーをとるなら、カロリーの量はあまり気にしなくて大丈夫です。女性は1日1800~2000kcalを食べるのが理想なので、生理の悩みがない人も、もっとたくさん食べたほうがいいぐらいです。

[予防医療・栄養コンサルタント 細川 モモ]

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「国家ぐるみのギャンブル」ビットコインを法定通貨にしてはいけない納得の理由

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

「前代未聞の選択」BTCがエルサルバドルの法定通貨に

中米の小国エルサルバドルで6月9日、暗号資産であるビットコイン(BTC)を法定通貨にする決定が下された。このニュースを市場は好感し、同日の終値は3万7332.2ドルと前日から12%近くも急騰した。

今後エルサルバドルでは、90日後の法制化を受けてビットコインの利用が開始される予定だ。とはいえビットコインが「唯一」の法定通貨になるわけではなく、従来の法定通貨である米ドルも引き続き利用することができる。

エルサルバドルには独自通貨としてコロンが2001年まで利用されていたが、現在は流通しておらず、米ドルが法定通貨として利用されている。

このように信用力が高い外国通貨を自国の法定通貨にする政策は「公式的なドル化」と呼ばれる。今回の決定で、エルサルバドルは「公式的な暗号資産化」という前代未聞の選択をしたことになる。

投資マネーを呼び込むギャンブル的な決断

ブケレ大統領はビットコインを法定通貨にした理由として、金融包摂(貧困層にまで金融サービスのアクセスを広げること)の推進を挙げている。

エルサルバドルでは銀行でのサービスを受けることができる国民は、人口の3割程度とされている。銀行に口座を持たずとも金融サービスを享受できるビットコインのメリットを活用したいというわけだ。

同時にブケレ大統領は、エルサルバドルでビットコインのマイニング(大量の電力を消費してコンピューターで行う計算作業)を振興する構想を示している。

そして批判が多い大量の電力消費に伴う環境への負荷という問題を軽減するために、ブケレ大統領は国営電力会社に対して、再生可能エネルギーである地熱発電の利用を検討するように指示を下した。

対米依存からの脱却という文脈から解説されることも少なくないこの決断だが、実業家出身のブケレ大統領が強い反米意識を抱いているとは考えにくい。その実、マイニングを容認することで、エルサルバドルにマネーを呼び寄せることがブケレ大統領の真の狙いではないだろうか。そうであるとしたら、大統領の決断は文字通りのギャンブルだ。

自国通貨を放棄し、米ドルに「通貨の安定」を求めた過去

このようにエルサルバドルはビットコインを米ドルと並ぶ法定通貨に定めたわけだが、それ以前にエルサルバドルが独自通貨コロンを放棄して米ドルを唯一の法定通貨と定めていた背景には、いったいどのような理由があったのだろうか。それはエルサルバドルが1980年から92年まで、深刻な内戦に陥っていたことが深く関係している。

当時のエルサルバドルでは、ニカラグアでのサンディニスタ革命(1979年)に刺激された反政府運動が激しさを増し、米軍の支援を受けた政府軍とゲリラ勢力との間で武力衝突が生じていた。国連の仲介によって和平が実現した後、1994年に選挙が行われ、ようやくネイションビルディングが開始されることになったという経緯がある。

この過程でエルサルバドルは、不安定な通貨であったコロンを放棄し、米ドルを法定通貨にしたわけだ。この選択によってエルサルバドルは金融政策の自律性を放棄したかたちとなったが、代わりに為替レートが消滅したことで物価と通貨が安定することになった。そうした安定を基に、エルサルバドルは経済運営に注力することができたわけだ。

内戦終結から30年近くが経過したとはいえ1人当たり国内総生産(GDP)は4000ドルを超えた程度と、エルサルバドルはまだ中所得国にすぎない。中所得国にとって、物価と通貨の安定は経済発展の基本中の基本ともいえる。にもかかわらず、価格変動リスクが大きいビットコインを法定通貨にするという決断は、非合理であると言わざるを得ない。

通貨になり得ないビットコインの致命的な欠陥

内戦を経験した国やハイパーインフレを経験した国では、人々が資産防衛の手段として米ドルなど信用力が高い外貨を現金で所持していることが多い。米ドルを法定通貨にするという決断も、人々が貯蓄のみならず、日々の決済までも米ドルで行っている状況を追認したまでにすぎない。要するに、人々は通貨に対して信用力を求めるものだ。

なぜ米ドルが高い信用力を持つのか、それは覇権国である米国で発行される通貨だからだ。暗号資産であるビットコインには、そうした裏打ちは一切ない。そうであるからこそ、ビットコインは投機マネーを引き寄せ、価格は乱高下を繰り返すのである。そうした性格を持つビットコインに、エルサルバドルの国民は信用を寄せるだろうか。

内戦を経験した世代ほど、米ドル紙幣への信仰は根強い。古老ほどインターネットでの取引には抵抗感があるものだ。インターネットに対する抵抗感がない若い世代を中心にビットコインでの取引はある程度広がるかもしれないが、結局のところ価格の乱高下というビットコインが持つ投機性が嫌気される可能性は高いと考えられる。

つまりビットコインの場合、価格上昇局面では資産効果が働くため、これが国内のインフレ圧力になり得る。反面で、価格下落局面では逆資産効果が生じるため、当然デフレ圧力が強まる。ビットコインの利用が一部の国民に限定されるようなら、さして問題にはならないだろうが、物価の安定という観点からはやはり警戒される動きである。

犯罪性の強い経済取引に用いられるリスク

より意識されるべきは、ビットコインが犯罪性の強い経済取引に使われるリスクだろう。隣国ホンジュラスやグアテマラとともに、エルサルバドルは中米の「北部三角地帯(northern triangle)」を形成、その治安の悪さや犯罪率の高さは折り紙付きだ。暴力組織も活発であり、麻薬取引など違法な経済活動が横行していることでも知られる。

麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)などの闇取引にとって、匿名性が高い暗号資産での取引はうってつけの手段だ。米ドルでの取引であれば、送金業者や金融機関を必ず経由することになる。それがグレーな性格を伴う取引であれば、当局による捜査が入ることになる。しかしビットコインで送金を行えば、そうした横やりを回避することができる。

技術的には、ブロックチェーン上での情報から取引の当事者をある程度は絞り込めるようだ。しかしその一方で、取引の追跡を困難にする技術も次々と開発されている。それに、そもそも暗号資産の魅力の一つである当事者の匿名性が失われれば、利用者は減ることになる。匿名性が担保されれば、自ずと犯罪色が強い取引が行われることになる。

健全な経済発展に暗号資産は役立たない

今回のエルサルバドルの「公式的なビットコイン化」について、暗号資産の推進派は一様に歓迎している。エルサルバドルの取り組みが暗号資産の今後の発展に大きく貢献することを期待する意見も多い。とはいえ、そうした人々の発言の多くは、エルサルバドルという国の事情を考慮に入れていない無責任な立場からの放言だ。

エルサルバドルでの実験が、むしろ暗号資産の将来を閉ざす可能性にも留意すべきだろう。「公式的なビットコイン化」で違法な経済取引が蔓延し、国の経済発展がむしろ阻害された場合、暗号資産に対する国際的な規制はさらに強くなりかねない。少なくとも、エルサルバドル経済の健全な発展に、暗号資産が資することはなさそうだ。

[三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員 土田 陽介]

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cat_445507_issue_mv564pgg8jdj oa-president_mv564pgg8jdj_6xresr478mti_「社説で五輪中止を求めるのにスポンサーは継続」朝日新聞が信頼を失った根本原因 6xresr478mti 6xresr478mti 「社説で五輪中止を求めるのにスポンサーは継続」朝日新聞が信頼を失った根本原因 oa-president 0

「社説で五輪中止を求めるのにスポンサーは継続」朝日新聞が信頼を失った根本原因

2021年6月17日 08:00 PRESIDENT Online

朝日新聞は社説で「東京五輪の中止」を求めた。しかし、依然として東京五輪のスポンサー契約は続けている。元朝日新聞記者の鮫島浩さんは「むしろ朝日新聞の社内では、五輪中止を求めた社説が問題視されている。読者の信頼を回復するには、まずは社内の『言論の自由』を回復するべきだ」という――。

「五輪中止社説」に猛反発

朝日新聞社長が池上彰氏のコラム掲載を拒否したことに対し、朝日新聞記者たちが現場から抗議の声をあげて社長を辞任に追い込んだのは2014年秋のことである。あれから7年の歳月を経て、この新聞社は様変わりしてしまった。

朝日新聞社説が東京五輪中止を主張したのに対し、東京五輪スポンサーとして五輪を盛り上げる報道を主導してきた朝日新聞編集局が猛反発しているのである。

社説が掲載されたのは5月26日朝刊。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず五輪中止の世論が高まるなかで、今夏の開催が「理にかなうとはとても思えない」と断言し「今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める」という主張を掲げたのだった。

近年存在感に乏しかった朝日新聞の社説にしては、切れ味鋭い論調であったといえよう。ツイッターなどでは「五輪スポンサーの朝日新聞がついに開催中止に舵を切った」と歓迎する投稿が相次ぎ、朝日新聞は久しぶりに株をあげたかにみえた。

ところが、内実はまったく違ったのである。

この社説に対して、五輪報道を担ってきた社会部やスポーツ部を中心に編集局の部長やデスクらから強い抗議の声があがった。

「編集局内部の自己規制」記者たちが掲載見送りを主張

社長ら経営陣が社説を執筆する論説委員室に「上からの圧力」を加えたのではない。かつて社長を突き上げて辞任に追い込んだ編集局が、今度は五輪中止を訴える社説に猛抗議し、その日の掲載の見送りを迫ったのである。

社説にさえ抗議するのだから、東京五輪開催に批判的な記事が編集局内部から発信されないことは当然であろう。

私は5月31日をもって27年間勤めた朝日新聞を退社し、フリーとして独立した。国家権力を監視する批判精神を失い、「客観中立」を装った「両論併記」の差し障りのない記事を大量生産して安穏としている社内の空気に失望したからである。

いま朝日新聞の編集現場で起きていることは「国家権力からの圧力」や「経営陣からの圧力」による萎縮ではない。「編集局内部の自己規制」である。私の退社間際に勃発した「社説問題」はその実態を可視化した。それは自らの決断は正しかったという確信を私に与えた。

社長による掲載拒否を覆した朝日新聞記者たちが、たった7年のあいだに、東京五輪中止を訴える社説の掲載見送りを主張するにまで変わり果てたのは、いったい何故なのか。朝日新聞がジャーナリズムの立場を捨ててまで五輪スポンサーになり、大会開催に固執しているのだろうか。「東京五輪と朝日新聞」の歩みを振り返り、検証したい。

「1業種1社」の掟破り…全国紙4社が相乗りでスポンサーに

池上コラム掲載拒否で矢面に立った木村伊量社長が緊急記者会見を開いて引責辞任を表明したのは2014年9月11日である。木村社長と当時ナンバー2だった持田周三常務が後継社長に指名したのが取締役の渡辺雅隆氏だった。

朝日新聞社長は長らく政治部と経済部の出身者がたらい回しにしてきた。木村社長と持田常務も政治部出身である。これに対し、渡辺氏は大阪社会部出身の「傍流」で、社長レースの「本命」ではなかった。木村社長が渡辺氏への禅譲を決めたのは自らの「院政」を画策したからだ。

ところが、渡辺氏は社長に就任すると木村前社長を遠ざけ、自らと入社同期の社会部出身者で経営中枢を固めた。東京社会部出身で大阪朝日放送へ出向していた梅田正行氏を常務として呼び戻すとともに、木村社長の社長室長として池上コラム掲載拒否問題などの責任を問われ降格されていた東京社会部出身の福地献一氏を復権させ、東京五輪担当の取締役に起用した。

渡辺社長は就任直後から東京五輪スポンサーになることを目指した。東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相ら要人とも非公式に接触し、東京五輪のビジネスパートナーとしての足場を固めていった。ついに2016年1月には読売新聞、日経新聞、毎日新聞とともに東京五輪組織委員会と「東京2020スポンサーシップ契約」を締結したのである。

五輪スポンサーの「1業種1社」の原則を打ち破り、主要全国紙4紙を横並びでスポンサーに迎える東京五輪組織委の姿勢は、東京五輪への批判を封じる「メディア支配」の一環であることは疑いの余地がない。政権と密接な関係を続けている読売だけでなく、渡辺社長率いる朝日もその仲間に加わったのである。

「3年間で100万部減ペース」朝日新聞の経営悪化

この背景には朝日新聞の経営悪化がある。2009年まで800万部を超えていた新聞発行部数はデジタル化への遅れで年々減少し、渡辺社長が就任した2014年時点で700万部になっていた。その後発行部数は加速度を増して減少し、「3年間で100万部」のペースで激減したのである。

渡辺社長の在任6年半で実に200万部以上を減らし、ついに500万部を割り込んだのだ。そこへコロナ禍が直撃し、朝日新聞社は2021年3月期連結決算で442億円の赤字に転落。渡辺社長は3月末、経営責任を取る形で辞任した。

渡辺社長がこの間、発行部数減少を補うための新たな収益の柱として打ち出したのは、①デジタル事業、②不動産事業、③イベント事業であった。このうちデジタル事業は伸び悩み、不動産とイベントで収益を支える事態が続いた。東京五輪スポンサーに加わる狙いが、国家主導の大イベントである東京五輪に関与し、イベント事業に弾みをつけることにあったのは想像に難くない。

政治学者の中島岳志さんは新聞社が東京五輪スポンサーになった背景について「不動産部門やイベント部門で収益を上げて、新聞を支える構造になっている」と指摘し、「この『弱点』を、権力者が見逃すわけがなく、収益の出る国家イベントにメディアを組み込み、批判が出にくいシステムを作られている」と分析している。

新聞業界での「横並び」意識

私は経営基盤の悪化に加え、もうひとつ理由があると考える。

新聞業界での「横並び」意識の強さだ。日本新聞協会は、新聞発行部数の激減を受け、消費税の軽減税率の主張をはじめ業界団体・圧力団体としての側面を強めている。政府や東京五輪組織委から全国紙が横並びでスポンサーになることを要請された時、一社だけそれを拒否し、独自の態度をとる覚悟が渡辺社長にあったとは思えない。

渡辺社長は新聞協会会長への就任に意欲を示しているともみられてきた。大赤字の責任をとって社長辞任に追い込まれ、その野望は潰えたようだが、新聞協会会長を目指す以上、新聞業界を挙げて東京五輪を盛り上げようとしている時に、ひとり冷や水を浴びせることは選択肢にさえなかったのではないか。

現場の記者たちが「記者クラブ」で国家権力から横並びに「支配」されているのと同じように、経営者たちは「新聞協会」で横並びに「支配」されているのである。

いずれにしろ、権力監視を旨とする報道機関が国家プロジェクトである東京五輪のスポンサーになるという「ルビコン川」を渡る決断は、渡辺社長ら社会部出身者が牛耳る経営陣主導で進められたことは間違いない。その後、渡辺社長らはスポンサーとして五輪機運を盛り上げる記事を量産するための取材体制を社会部やスポーツ部を中心に整備した。

いったん取材体制が整うと、そこに配属された「エリート記者」たちは業務遂行に躍起になる。五輪担当記者たちは批判精神を失い、ついには五輪開催中止を訴える社説に抗議するに至るまで、社内のジャーナリズムは荒廃の一途をたどったのである。

「五輪中止社説」批判にただよう派閥闘争の影

渡辺社長が今年4月、経営悪化の責任をとって辞任した後を継いだのは、政治部出身の中村史郎氏である。渡辺氏は中村氏と長い親交があるわけではない。それでも中村氏を後継指名したのは、自らを社長に強く推薦した政治部出身の持田常務らの意向を踏まえたものであろう。

渡辺氏は一方で、中村氏ら政治部に主導権を奪われないように布石を打った。東京社会部出身の角田克氏を編集担当取締役(編担)に起用したのである。

角田氏は中村社長の三期下。「ポスト中村」を狙う立場だ。経営再建を担う政治部出身の中村社長に対し、社会部出身の角田氏を次期社長の最有力候補として新聞編集を仕切る編担に配置して、社会部の影響力維持を画策した人事といえるだろう。

この角田編担のもとで社会部やスポーツ部を中心に「東京五輪を盛り上げる報道」は続けられてきた。五輪中止を掲げる社説に社会部出身の角田編担の配下にある編集局から抗議の声があがったのは、こうした社内人事が背景にある。

社説の責任者である根本清樹・論説主幹は、政治部出身者である。中村社長より4期上の先輩だ。関係者によると、社説掲載にあたり根本氏は中村社長の了解はとったという。一方、角田編担へはざっくりとした根回しだったようだ。ここでも「政治部対社会部」の派閥闘争の影がただよう。

「東京五輪開催ありき」社説掲載前夜の内幕

社説掲載前日の5月25日になって社説のゲラが出回り、編集局は騒然となった。午後7時20分からのデスク会(当日組みの紙面を検討する会議)の様子が複数の記者から私のもとへ寄せられたので、それをもとに当日の議論を振り返りたい。

デスク会は冒頭から社説批判一色になった。「取材現場への影響を考えているのか」「スポンサーは降りるのかと読者に聞かれたらどう答えるのか」などと批判が続出。「(五輪を盛り上げる)今日の社会面と整合性はとれるのか」「今日載せる必要はあるのか。差し替えるべきだ」などと、社説掲載の見送りを求める声まで飛び出した。

紙面の責任者である坂尻信義ゼネラルエディター(GE)は「みなさんの意見はよくわかる。論説主幹に伝えるべきことは伝えた」と釈明。論説委員室から参加した小陳勇一論説副主幹は「論説で議論を重ねてきた。遅きに失した面もあるが、ようやくまとまった社説だ」と説明した。

これに対し、五輪報道を仕切る社会部の部長が「現場を預かるデスクが違和感を持っているのに社説を出す覚悟があるのか」と迫り、デスク会は重苦しい空気のまま一旦終了した。

午後8時45分からの二回目のデスク会では、坂尻GEが根本論説主幹と再協議したことを説明したうえ、「結論としては、社説は予定通り組む。非常に残念だが、仕方がない。編集局はこれまで通り報道してほしい」と伝えた。

社説掲載前夜の様子を明らかにしたのは、五輪中止を求める社説は現場の記者たちから湧き起こった論調ではなく、むしろ実態は真逆で、編集局の大多数は五輪中止の主張に強く反対している事実を伝えたかったからである。

いったん「五輪を持ち上げる報道」のレールに乗った彼らにとって、どんなに五輪反対の世論が高まっても、方針転換は受け入れ難いのであろう。彼らの関心はどこまでも社内の「派閥闘争」や「地位保全」に向けられている。その姿は「東京五輪開催ありき」で突き進む菅義偉政権と瓜二つである。

社内の「言論の自由」を取り戻してほしい

私はこのデスク会に出席した部長やデスクたちの大半と面識がある。かつて共に新聞作りに励んだ仲間たちだ。デスク会で彼らが発した言葉の数々を見ながら、私はそれらひとつひとつを信じたくなかった。

唯一の希望は、「社内情報の漏洩」の犯人探しが行われることに怯えながらもデスク会の内容をさまざまな形で私に知らせてくれた同僚たちがいたことである。

五輪中止を求める世論の声よりも五輪スポンサーの立場を重視する部長やデスクの姿に呆れ嘆き、その惨状を公にすることで新聞社の健全性を取り戻したいという正常な感覚が、朝日新聞社内にわずかならが残っていることの証しである。

願わくば、彼らには公然と社長を突き上げた7年前を思い起こし、いま一度記者としての矜持を取り戻し、「会社員」ではなく「ひとりの記者」として声をあげてほしい。国家権力からの圧力を跳ね返す以前の問題として、まずは新聞社内の「言論の自由」を回復することが、新聞の信頼回復への第一歩であろう。そこに朝日新聞再建の望みを託して、この記事を執筆した次第である。

[ジャーナリスト 鮫島 浩]

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