年中通して安価に手に入る「玉ねぎ」には、免疫力を高め、生活習慣病を予防するなど健康効果がたくさんあります。さらに、ダイエット効果や疲れを素早く取る働きのある酢を加えた、「みじん酢玉ねぎ」を使ったレシピをご紹介! 今回は、料理研究家の村上祥子さんに玉ねぎのいろいろな疑問に答えていただきました。
Q1:新玉ねぎと玉ねぎでは、調理の向き不向きなどはありますか?
新玉ねぎは玉ねぎを普通より早く収穫して、乾燥させないですぐに出荷します。
軟らかくて甘味が強いのが特徴で、辛味もないのでそのまま生で食べてもおいしいですね。
最近では、葉を残したままのものも出回っています。
新玉ねぎの水分は玉ねぎに比べて10%ほど多く残っているので、生食またはサッと加熱するのがおすすめです。
新玉ねぎは水分が多いので早めに食べ切るようにします。
オニオングラタンのような、じっくり加熱する料理には玉ねぎが向いています。
Q2:加熱調理したときと生食では、栄養面の違いはありますか?
加熱調理で栄養価アップが期待できます。
加熱するとペクチンでできている細胞膜が熱で溶け、細胞内に含まれる健康成分、ケルセチン、イソアリイン、グルタチオンなどが溶け出します。
体内で十分に利用できるようになるというメリットがあります。
Q3:生食する場合は、水にさらさない方がよいのでしょうか?
さらし過ぎると薬効成分が流出するので注意します。
玉ねぎに含まれる成分の多くは水に流れ出やすいので、水にさらすのはサッと短時間で済ませるようにします。
サラダなどにする場合は酢をふりかけて辛味をやわらげ、その残りの酢をドレッシングとして利用すると有効な成分を無駄にすることなく摂れます。
特に新玉ねぎは軟らかく甘味が強いので、水にさらさなくてもおいしくいただけます。
Q4:切ってから、空気に20分くらい触れさせて調理した方がいいといわれますが、なぜですか?
少し放置すると玉ねぎの持つ薬効成分が増えるからです。
玉ねぎを切ると壊れた細胞から出た酵素の働きで、血液をサラサラにする薬効成分が生まれ、常温で置いておくと成分がどんどん増加します。
できれば20分はそのまま放置しておくと良いでしょう。
その後、加熱調理すると薬効成分が増えた分、高い効能が期待できます。
ただし、疲労回復効果を得たい場合は切ってすぐに調理したほうが良いでしょう。
Q5:皮はお茶にすると良いと聞いたことがありますが、どんな良い面があるのでしょうか?
皮はポリフェノールで抗酸化成分ケルセチンの宝庫。
そのまま捨ててしまうのはもったいないですね。
いちばん外側の皮は捨てて内側のきれいな皮を数枚、煮出してお茶として飲むのはとても良い方法です。
また、だしパックなどに入れてスープやシチュー、カレー、煮ものなどに入れるとケルセチンを摂ることができます。
皮を使いたいときは、有機栽培の玉ねぎが安心です。
Q6:生の玉ねぎは辛いのに、加熱するととても甘くなるのはなぜですか?
生の玉ねぎが辛いのはイオウ成分、硫化アリルという成分のせいです。
加熱すると細胞膜が破れ、中のオリゴ糖が溶け出してきます。
玉ねぎに豊富なオリゴ糖は、すいか並みの甘さを持つので、加熱すると甘味が強くなっていきます。
Q7:紫玉ねぎや小玉ねぎも、栄養などは同じですか?
紫玉ねぎは、玉ねぎの栄養プラス赤紫色のポリフェノールの一種、アントシアニンが含まれています。
赤ワインやブルーベリーなどと同じ色素の成分で、眼精疲労や抗酸化に効果を発揮するといわれています。
小玉ねぎは玉ねぎを小さく育てたもので栄養面は玉ねぎと変わりません。
取材・文/石井美佐 撮影/中野正景
<教えてくれた人>
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
福岡県生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。同大学内「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。これまでの著書は420冊、計770万部。
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毎日が発見ネットの連載でもおなじみカリスマ主婦ブロガー、カータンさんの新刊が登場! 体に不自由が出てきたけど、ガッツリ介護が必要というレベルではない...そんな「健康以下、介護未満」な両親との付き合い方を描いた『健康以下、介護未満 親のトリセツ』(KADOKAWA)より、思わず笑っちゃうけどためになって、さらに不思議とジ~ンときちゃう「実家エピソード」を抜粋してご紹介します。
子どもだけど、もうおばさんだよ
登場人物紹介
カータン(アラフィフ)服:黄色
元CAの主婦ブロガー。よくやく子どもに手が掛からなくなったと思ったら親の介護が待っていた。何事も前向きに!でも時々涙がでちゃうだって女の古(こ)だもん。
カータン母・イクコ(79歳)服:赤
専業主婦。おしゃれでワガママ。夫が視力を失い介護の大変さから老人性ウツになり認知症に
カータン父・ヒロシ(83歳)服・グレー
台湾駐在20年の元バリバリ仕事人間。社交的で友達も多い。4年前に視力を失うも前向き
7章にわたってカリスマ主婦ブロガー・カータンさんの、「あるある」と共感できるような爆笑実家エピソードが満載のコミックエッセイです!
カータン
人気主婦ブロガー。2007年3月に主婦の日常や過去のCA経験を描いたブログ「あたし・主婦の頭の中」を開設。主婦層を中心に人気となり「Japan Blog Award2008」総合グランプリ受賞。「livedoorブログOF THE YEAR2016」では殿堂入り、ブロガーとしては確固たる地位を確立。これまでに4冊の書籍を出版し、ブログのアクセス数は1日30万を越える。現在は、NHK「あさイチ」にコメンテーター出演をはじめ、テレビや新聞、雑誌等で、主婦目線を活かしたコメントを発表。
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加齢とともに、血管は弾力を失っていきます。すると、血液の巡りが滞りがちになり、高血圧や動脈硬化などの不調を引き起こす原因となります。それらを防ぐためには、血管をしなやかに保ち、体の隅々まで酸素と栄養分をしっかりと届けて、老廃物を排出することが大切です。そこで、血液の巡りを良くして血管の老化を緩やかにする「血管マッサージ」のやり方を、井上正康先生に教えていただきました。
「手」の血管マッサージ
手の甲をほぐして、手の中の動脈を刺激。ツボ押しで血流を改善。
手の甲をもう片方の手で押しつける
片手を胸に当て、もう片方の手をその上に重ねます。
上の手を胸の方に押しつけながら、手の甲の皮膚を骨に押しつけてずらすようにゴシゴシと強くしごきます。
反対側も同様に。
↓
2つのツボを強く押して刺激する
手のツボを刺激。
最初に、親指と人さし指の付け根辺りにある"合谷"を、親指の先で骨に向かい強く押します。
次に、手のひらのほぼ中央にある"労宮"を押します。
反対の手も同様に。
グリグリとねじりながら、指を引き抜いていきます。反対側も同様に行います。
血管マッサージの基本のやり方「1日15分もむ」
1日15分程度行えば、十分です。一度に15分でも、1日数回に分けて合計15分でも、どちらでもかまいません。できるだけ毎日続けましょう。
- マッサージをする部位に指や手のひらを密着させる。
- 筋肉の奥の動脈をずらすように意識してもむ。
- "痛気持ちいい"強さを意識してもむ。
- どの部位をやってもかまいません。できる部位のみでもOK!
[ 注意!]
- 痛いところがあるときは、無理にマッサージをするのはやめましょう。
- 感染症を予防するために、手をよく洗ってから行いましょう。
だからいい! 血管マッサージ
- 血流が良くなって、全身が活性化します。
- 自律神経が刺激され、リラックス効果も。
- 新陳代謝がアップして老廃物の排出がスムーズになり、美肌効果も。
- 手を使うことで、脳の働きも活性化します。
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/西山輝彦 モデル/山田ゆうこ
<教えてくれた人>
健康科学研究所 所長
井上正康(いのうえ・まさやす)先生
大阪市立大学医学部名誉教授などを経て、2019年より腸内フローラ移植臨床研究会評議員、FMTクリニック院長。『もむだけで血管は若返る 切れない・詰まらない血管マッサージ健康法』(PHP研究所)など著書多数。
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家族に仕事、人間関係など、人生にはさまざまな悩みがつきもの。精神科医として、70年近く働いてきた中村恒子さんの著書『うまいことやる習慣』(すばる舎)には、そんな悩みとの向き合い方や受け流し方のヒントが詰まっています。多くの人を勇気づけてきた言葉から厳選してお届けします。
言い争いのあとは、先に謝るが勝ち。しょうもない我を張ると、居場所がなくなっていく。
働いてると、どうしても人との摩擦は避けて通れないこともあるもんです。
私も同じチームの看護師さんや助手さんに「これはどうしても言っておかんといかん」、「見過ごさずに、ハッキリさせておかんと大変なことになる」という場面に遭遇することもあります。
そういう場合は、「ちょっと話があるんやけど、時間とってもらえるやろか?」とお願いして、まずじっくりその人と話し合うようにするんやけども、ときには意見が分かれることもある。
意見が分かれるどころか、そもそも相容れないこともあったりします。
「そうか、あんたはそう考えるんやな。ちょっと私とは意見が違うんやけど、ここのところだけはこっちに合わせてもらえないやろか?」
「私のほうも代わりに~のところは、あんたのやり方に合わせるから」
といった感じで、なんとかお互いにゆずり合ったり、落としどころを見つけようとがんばるんやけど。
でも、どうしてもその話し合いの場では決着がつかなかったり、スッキリと心地よい解決にならなかったりすることも何度かありました。
相手がなんとなく納得していないなとか、相手が腹を立てたり機嫌を損ねたりして、ギクシャクしたまま話し合いが終わったなあと思ったら、次の日は自分から声をかけるように心がけてます。
「昨日はごめんや。こっちもちょっと言いすぎたかもしれへん」
「気ィ悪くさせたんやったら、謝るわ、許してや~」
そんな感じで、気軽に声をかけて、こっちから軽く謝る。
こっちから頭を下げて歩み寄ったら、たいてい相手も歩み寄ってくれますわ。
「いやいや、こっちも昨日はすみませんでした」
「あれからよく考えてみたら、先生の言っていることも理解できました」
っていう感じに、相手の雰囲気も丸くなることがほとんどです。
だからちょっと言いすぎたな、相手の気を悪くさせたなと思ったら、相手が若いスタッフでも患者さんでもこっちからさっさと謝ってしまいます。
職場の仲間とギクシャクしているほど、居心地の悪いことはないからねえ。
私自身、貧乏な田舎者が戦後のどさくさにまぎれて医者になったくらいやと思っているから(笑)、プライドはないんです。
反対に、謝るのがヘタな人は変に我が強いんでしょうな。
「こっちから下手に出たら沽券にかかわる」とか、「こっちから先に謝ったらなめられるかもしれん」とか、「なんで年下のやつにこっちから頭を下げないといけないんや」とか、そんなしょうもない「我」は、できるだけ捨ててしまったほうがラク、ラク。
私の家には、同じ敷地の中に長男夫婦も住んでいるんやけど、お嫁さんに対しても謝るのはまったく平気です。
「この前はごめんやで~」「悪かったなあ」って、ちょっとした行き違いが起こったら、私から声をかけていくようにしてます。
ありがたいことに、嫁姑のドロドロは起こったことがありませんな。
こっちが歳をとればとるほど、若い人や立場が下の人が、表面上はこっちに合わせてくれることも増えるのやけど、それに胡坐(あぐら)をかいていてはいけないと思ってます。
とにかく「己のほうがえらいんや」という我はできるだけ捨てたほうがええ。
自分もラクやし、まわりの人もラク。
それに、そういった我がなければ、平気で「ちょっと教えてや」「ちょっと助けてよ」と若い人に尋ねられるし、結構お得です(笑)。
私は携帯電話でメールもするし、パソコンで電子カルテにもヨタヨタと打ち込みながら診察するんやけど、これもみんな、若い人に教えてもらいながらやっているんですわ。
今もわからないことができたら、「ごめん、ここどうしたらええんやろ?」って尋ねてます。
「へえ~、こうするんやね。なるほどなあ。若い人にはかなわんわ」
「助かったわ、ありがとうさん。また教えてや」
年下の医者からも看護師さんからも教えてもらうことが多いけど、丁寧にお礼を言って喜んでいたら、また次も教えてくれはる。
手のかかる年寄りやと思われているのかもしれへんけど、そうやって今も若い人に助けてもらって感謝しながら働けてます。
「仕事」「人間関係」「生き方」などの6テーマから、キャリア70年を誇る精神科医が考え至った37のメッセージがつづられています
中村恒子(なかむら・つねこ)
1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2カ月前に医師になるために広島県尾道市から1人で大阪へ。混乱の時代に精神科医となる。子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けた。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を貫く。
奥田弘美(おくだ・ひろみ)
1967年生まれ。精神科医・産業医。日本マインドフルネス普及協会代表理事。
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新型コロナウイルスに便乗するものも出てくるなど、進化し続ける「詐欺」の手口。そんな詐欺や悪徳商法に詳しいルポライター・多田文明さんの著書『だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本』(方丈社)から、現代の詐欺から身を守る方法を抜粋してお届けします。
「アマゾン」「ヤフー」になりすます大手IT企業詐欺の手口
「あなたには有料動画サイトを閲覧した履歴があり、料金の未納が発生している。もしこのまま料金を払わなければ運営会社から訴訟を起こされ、給与や不動産などの財産が差し押さえられますので、至急ご連絡ください」
「裁判」や「財産差し押さえ」といった脅し文句にあわててしまい、メールに書かれた番号に電話をしてしまう。
「はい。こちら、Yahoo!(アマゾン)ですが、いかがいたしましたか?」と、オペレーターを名乗る人物が出てくる。
「未納料金があるというメールが来たのですが?」
「お名前と、お電話番号をお願いします。確認いたします」
それに答えて、しばらく待っていると
「はい、確かにあなた様には未納料金がありますね。本日、お支払いいただけますか?」
「おいくらになりますか?」
「20万円になります」
「そんなに高い金額ですか!」
「はい、延滞金などが加算しております。お支払いいただけませんと、訴訟手続きに入ることになります」
まさに、ネット利用者が普段使っていて身に覚えのあるアマゾンやYahoo!などの大手のサイト業者をかたりながら、ごりごりと銀行ATMでの支払いをするように迫ってくる。
ところが昨今、こうしたメールでの架空請求は迷惑メールフォルダなどに自動的に振り分けられて、だませる人が減ってきている。
そこで、詐欺師らは電話番号だけでメッセージを送れるSMS(ショートメッセージサービス)を使うようになった。
ショートメールを普段あまり使わない人は、不意打ちを食らわされてしまうことになる。
私は、詐欺師との電話での対決番組をたびたびしているが、架空請求をしてくる業者とのやりとりを何日にもわたって収録をする。
ある時、ロケでいつも音声を担当してくれるスタッフが、頭をかきながら話しかけてきた。
「いや〜、先日、アマゾンからのショートメッセージが来たので本物だと思ってしまい、つい電話をかけてしまったんです」
電話をかけてから相手の対応や文言を聞き「あっ!ロケでやっている詐欺と同じだ」と気づいたという。
これだけ私たちの架空請求のやり取りを間近で見ていながらも、つい電話をかけてしまうのだ。
人は想定外のことには本当にもろいもの。
詐欺師は、その心理につけ入ってくる。
また、ネットで関心のある動画サイトをクリックしただけなのに、いきなりアダルトサイトにつながり、「ご登録ありがとうございます」と、数十万円もの高額な料金を請求された経験があるかもしれない。
こうしたサイトでは、脅す手段として時間のカウントダウンを表示して、早く支払わないと大変なことになるぞと、期限を切って利用者を焦らせてきたり、料金画面を閉じたつもりでも再び画面を出して消せないようにして、電話をかけざるをえないように仕向けてくる。
これでもか、これでもかと次々に心理的プレッシャーをかけてきて、不安感からのアクションを起こしてきた人を狙うのだ。
架空請求では、日ごろ、スマートフォンやパソコンなどを操作する機会の多い若者か中高年層にいたるまでの幅広い年代が狙われるが、その罠はいたるところに仕掛けられている。
主婦であれば、巷で話題の「離婚・結婚・不倫」などの芸能ニュースの動画を釣り餌に。
若者であれば、アニメやゲームサイトをタップさせるといった具合である。
パソコンだと無視すればいいのだが、スマートフォンだと電話とネットが一体になっているため、そうはいかないこともある。
表示された請求画面を消したつもりなのに、なぜか業者へ勝手に電話がかかってしまったり、「誤操作の方はこちら」というボタンがあり、そこを押してしまうと、自分の番号が通知された形で相手の業者に電話がかかってしまう。
詐欺師としては、電話さえかけてくれれば、脅し文句はいくらでも準備しているので、自信たっぷりに詐欺の言葉を浴びせかけて、だまそうとしてくる。
ネットを見ながらタップするだけで電話をかけられるという利便性をうまく利用して、私たちを詐欺にはめようとしてくるのだ。
詐欺をする側の手口や心理、現状、そして「電話の切り方」など身を守る術が全7章にわたって網羅
多田文明(ただ・ふみあき)
1965年北海道生まれ。ルポライター。「キャッチセールス評論家」「悪徳商法評論家」「悪質商法コラムニスト」「潜入ルポライター」などとも称される。主な著書は「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)、「電話にでたらこうなった!」(ミリオン出版)など。
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暮らしの中の断捨離を提唱するやましたひでこさんは、著書『家事の断捨離』(大和書房)で、家事の常識を断捨離することこそが大切だと言います。モノを減らせば、家事も減る。やました流「家事に追われなくなる秘訣」を連載形式でお届けします。
「満タン思考」を捨てよう
洗濯物が満タンになってから洗濯機をまわそうと思っていませんか?
ゴミ袋がパンパンになってから口を縛ろうと思っていませんか?
満タンになったら......。
もっとまとまったときに......。
私はこれを「満タン思考」と呼んでいます。
「まとめてやったほうが、なんだか合理的な気がする」のですよね?
でも、本当にそうでしょうか。
合理的とは、手間が省けるということ?
電気代が節約できるということ?
いえ、じつは「満タン思考」や「まとめ家事」は、俯瞰してみるとちっとも合理的ではありません。
そもそも忙しいから「まとめてしよう」と思っているのに、まとまった時間など作れるのかしら?
もし、「まとめてしよう」と思っていた時間に、別の用事が入ってしまったら?
お皿数枚を洗うのだったら、それが多少後まわしになっても「回復」できます。
けれど、「満タン」が一度滞ってしまうと、ワーッとせき止められ、収拾がつかなくなってしまいます。
©️福々ちえ
ちょっとためると大仕事に。家事は細切れ時間でする小さな仕事。毎日洗濯していればそれが可能ですが、2日3日ためると大仕事に。
「1週間に2回しか洗濯しない」という人がいます。
ひとり暮らしだったら毎日洗濯する必要性を感じていないのかもしれません。
「まとめて洗濯」は一見合理的。
手間は週に2回だけ。
電気代も抑えられます。
でもきっと、洗濯物の汚れは落ちにくくなるでしょう。
そのぶん下着をたくさん持つ必要も出てきます。
1回の洗濯での枚数が多くなるぶん、干したりしまったりする手間と時間とエネルギーはかかります。
ゴミ袋問題もそう。
生ゴミは、時間が経つにつれてイヤなニオイが発生します。
ゴミ袋は1枚数円の世界。
それでニオイがなくなるのなら、私は十分価値があると思うのです。
「満タンになったら捨てる」という刷り込みに従って行動しているのにほかなりません。
「まとめ家事」には、心理的なストレスも加わります。
それは「ウェイティング=待ち時間」があるから。
週に2回の洗濯だったら、その間の2~3日はウェイティングです。
「ああ、汚い服がたまっているなあ......」と、心のどこかで気になっている。
これがストレスを増幅させているのです。
そのとき私たちの心に何が起こっているかというと、
気になる→気に障る→気に病む
というプロセスをたどります。
最初はちょっと気になっていたものが、しまいにはストレスや病気に行きつくのですから、怖いですね。
「作り置き」と「まとめ買い」のリスク
一時ブームになった「作り置き」も、じつは家事を大変にしています。
まとめて料理して冷蔵庫・冷凍庫で保存しておこうとするわけですから、作り置きも「まとめ家事」の1つ。
「作り置きしておいたほうが後でラク」と夢見て、そうしているのでしょうが、実際、作り置きの作業はそれなりに重労働。
時間もかかります。
「朝、5時に起きて、作り置きがんばってます!」というワーキングマザーの方がいます。
本当にがんばっていると思うけれど、がんばっていると言っている時点で、やっぱり苦行ですよね。
「平日働いているから、休日にやっておかなきゃ」と1週間ぶんの作り置きをしている人もいるでしょう。
愉しんでやっているなら問題ありませんが、「ねばならない」でやっていたら、それはストレス。
料理が「作り置き軸」になっています。
作り置きの最大のリスクは、「使い切れない」ことにあります。
なぜなら、人は日々気分が変わるから。
食べたいものも日々刻々と変わります。
食は鮮度がすべて。
冷蔵庫の中で4日、5日と経つうちに食の鮮度は下がり「残り物感」が強くなります。
それを食べたいですか?
作り置きでも半食材、半調理済みで保存するのであれば、アレンジ可能でいいとは思いますが、よほど買い物に不便な環境でもないかぎり、「そのつど買い物」「そのつど調理」がベスト。
これだけ流通の早い時代です。
「まとめ買い」も同じ理由でNGです。
前提として、人はたくさんのモノを管理できません。
冷蔵庫、冷凍庫に食材が所狭しと並んでいるのを、適宜出し入れして最後まで使い切れるでしょうか。
料理の専門家なら、それができるわけです。
「収納」の専門家と同じですね。
「結局、食べ切れずに捨ててしまった」という経験があるなら、作り置きはきっぱりあきらめましょう。
管理できると思っているのがまちがい。
あきらめていいことはあきらめる。
そうしたら、家事は一気に減ります。
家事は「そのつど、そのつど」が基本
夕ごはんをつくる。
小学生の子どもに食べさせる。
片づける。
中学生の子どもが帰ってくる。
その子に食べさせ、片づける。
夫が帰ってくる。
夫に食べさせ、片づける。
そんな光景が、日本中の家庭で繰り広げられています。
家庭の主婦のストレスの原因がまさにこれ。
家族に合わせて時間が細切れにされるストレスです。
自分の時間を30分もとれません。
5分、5分、5分の積み重ねの時間ならあるけれど、連続した時間はない。
そんな生活の中で「まとめ家事」をやろうとしたら、ストレスフルに決まっています。
もともと家事とは、そのつどするもの。
もともと時間とは、細切れになるもの。
家事を担っているかぎりは、「そういうものだ」とまず割りきることが必要です。
「まとめてやれば一気に片づく」なんて幻想。
目についたものを、目についたときに行う。
モノが少ないほど、それを実践しやすくなります。
気になるところをサッと拭けるのです。
何度も言います。
まずモノを減らすこと。
「溺れている人の、モノ減らし」。
たくさんモノがあるから、優先順位をつけられない。
それを5ついっぺんにやろうとするから、大変な作業になる。
優先順位がわかれば、5つを縦に並べて1つずつできるようになります。
まとめてやろうとすると、日々の小さなことが先送りになります。
1回のお皿洗いはたった5枚なのに、ちょっとまとめようとするとシンクが山になっています。
先送りになったものをまとめて解決しようとするから、1つひとつは簡単なことでも、5つ6つ重なることでハードルが高くなっています。
時間も手間も自分の気持ちも。
「まとめ家事」は、そこに立ち向かうハードルが、思いのほか高いのです。
「こまめ家事」のもう1つの長所は、手を貸してもらいやすいこと。
1つひとつの家事仕事は「細切れ」で「小さなこと」ですから、人に依頼しやすいのです。
名づけて、「細切れリクエスト」。
ある受講生さんは、1階で洗濯した物を2階のベランダに干すためにいつも階段で運んでいます。
「2階に上がるついでに、洗濯物を持っていこう」と考えていたところ、通りがかった夫に「持っていってもらえる?」と頼んでみました。
すると、1つ手間が減って、家事ストレスも少し軽減されたとか。
頼まれた側も、具体的な指示があると、すっと動きやすいですね。
料理中に切れてしまったしょうゆを、「帰り道に買ってきて」と1つお願いする。
「細切れリクエスト」は夫婦のコミュニケーションにもつながります。
イラスト/福々ちえ
4章にわたって、夜、朝、週末とシーンに合わせたあらゆる家事を軽くする断捨離メソッドが学べます
やましたひでこ
東京都出身。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常生活の「片づけ」に落とし込み、自己探訪メソッドを構築。初著作『新・片づけ術 断捨離』(マガジンハウス)を刊行以来、著作・監修を含めた多数の「断捨離」関連書籍がアジア、ヨーロッパ諸国でも刊行されている。
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首や肩、背中の「こり」に悩まされていませんか?その原因は、「背骨の中心となる胸椎にあるんです」と、テニスボール矯正の考案者である酒井慎太郎さんは言います。そこで、酒井さんの著書『肩こり・首痛完全解消! 10秒胸椎のばし』(KADOKAWA)から、毎日10秒続けるだけで効果がある「胸椎のばし」のメリットや具体的な方法をご紹介します。
こりがひどくなると、頭痛やめまい、吐き気がしませんか?
みなさんは、肩こりや首こりなどがひどくなると、他にも多くの不調に見舞われたりしませんか?
たとえば、頭痛、頭重感、めまい、ふらつき、吐き気、耳鳴り、目のかすみ......。
気持ちが悪くなったり、気分が沈んだり、イライラしたりする人もいらっしゃるかもしれません。
こうした不定愁訴がどうして起こるのか、みなさんは理由をご存じですか?
じつは、こうした症状は、頸椎部分で神経が圧迫されているために起こっているのです。
ストレートネックやねこ背が進むと、頭の重みがダイレクトに頸椎にのしかかり、頸椎自体が変形したり頸椎の椎間板がつぶれてしまったりという問題が発生してきます。
すると、頸椎の脊髄から出た神経がさかんに圧迫されるようになります。
すなわち、この神経圧迫によって頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が引き起こされているのです。
頸椎から出た神経は多くが頭部方面へ向かっているため、頭部を中心とした不快症状が現われるわけですね。
また、頸椎近くには多くの自律神経が通っていて、これらが圧迫されると自律神経失調症のような症状が現われることになります。
その症状は、先に挙げた以外にも不眠、冷え、のぼせ、多汗、胃腸障害など多岐にわたり、体が疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなったり、暑さや寒さなどの季節の温度変化に弱くなったりする場合もあります。
さらに、不調は身体だけでなく精神面にも及び、イライラしたり、落ち込んだり、うつ傾向が強まったりするようにもなります。
なかには、さまざまな不定愁訴に悩まされたあげく、心も体もコントロール不能のような状態に陥って、うつ病になってしまう人も少なくありません。
私の治療院を訪れる患者さんにも、首のトラブルから数々の不定愁訴をこじらせてしまった方がたくさんいらっしゃいます。
とくに最近は、スマホやパソコンの使用でうつむいてばかりいて首を疲弊させてしまい、心も体も失調状態に陥っていく人が目立っています。
ただ、こうした不定愁訴も、治療の手がないわけではありません。
それというのも、頸椎をゆるめて圧迫された神経を解放してあげると、てきめんに症状が解消するケースがたいへん多いのです。
そして、頸椎をしっかりゆるめるためには、胸椎も一緒にゆるめ、動きをよくしていかなくてはなりません。
頸椎と胸椎は常に連動して働いているため、どちらか一方ではなく、両方の動きを復調させていくことがとても重要なのです。
つまり、『首の神経圧迫による不定愁訴』の悪循環から脱出するのにも、胸椎の動きを取り戻すことが大きなカギとなるわけですね。
たった10秒で効果をもたらす「胸椎のばし」に加え、「仙腸関節テニスボール体操」など、5章に渡って「健康をキープ」するメリットが詰め込まれた一冊
酒井慎太郎(さかい・しんたろう)
さかいクリニックグループ代表。柔道整復師。千葉ロッテマリーンズ・ベースボール・アカデミーオフィシャルメディカルアドバイザー。中央医療学園特別講師。テニスボールを使用した体全体のバランス矯正の考案者。
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2016年9月、医師から「肺がんステージ4」という突然の告知を受けた刀根 健さん。当時50歳の彼が「絶対に生き残る」と決意し、あらゆる治療法を試してもがき続ける姿に......感動と賛否が巻き起こった話題の著書『僕は、死なない。』(SBクリエイティブ)。「生きる」ということの、魂の物語を、ぜひご一読ください。
入院を決めた6月8日の夜、フェイスブックに書き込みを入れた。
実は僕は肺がんステージ4のことは、周囲の人にほとんど知らせていなかった。
親しい人にしか話していなかった。
僕が肺がん、しかもステージ4と聞き、「ああーもうすぐ死ぬな、この人」みたいな目で見られたくなかったし、特別扱いされたくもなかった。
がんを治してから「いや実は肺がんステージ4だったのですが、治しましたよー」とさり気なく発表したかった。
しかしそんなことを言っていられる状況ではなくなってしまった。
今、僕は限りなく絶望的な状態に置かれていた。
昨年、寺山先生のワークショップで知り合ったがん仲間が1月に他界した。
10月には一緒に山登りをするほど元気だったのに、11月に脳転移が見つかり、12月に入院。
放射線治療を行なったものの、1月下旬から連絡が取れなくなった。
彼女とのラインのやり取りが忘れられない。
「このライングループは私にとって光でした」
「私はもう、いいかなって思っちゃってます」
「みんなはきっと治るって信じてます」
......それきりラインが途絶えた。
その約2週間後、知人を介して彼女が新たな世界に旅立ったことを知った。
なんで......なんで諦めたんだよ!
諦めちゃ、終わりじゃんか!
悔しくて、悲しくて、僕は彼女の笑顔を思い描いて、泣いた。
しかし、同じ病気を患っている僕もその可能性があると、すぐに気づいた。
脳に転移したらやばい、脳転移したら生きて退院できない。
しかしそれが僕の現実となってしまった。
僕の病気を知らない人にとって、次の連絡が死亡通知じゃ申し訳ない。
せめて現状だけでも伝えよう。
「皆様にご報告があります。昨年9月1日に肺がんが見つかり、しかもそれがいきなりステージ4でした。当時の最新の薬は効かず、従来の抗がん剤しか方法がないと言われたのでそれを断り、食事を中心とした代替医療をやってきました。自分的にはまあまあ体調はよいかと感じてたのですが、最近ちょっと息苦しかったりしたこともあり、先月久々にCTを撮ってみたら脳に腫瘍が見つかりました。肺がんも進行していたようですが、ドクターからは肺よりも待ったなしの状態で、すぐに放射線治療をするべきとのことでした。おそらく来週中には入院治療に入ると思います。病院は東大病院です。フェイスブックでは治ってから完治の報告を皆様にしようと思っていたのですが、ちょっと先になりそうなので、とりあえず中間報告という形にしました。いきなりのことで皆様にはご心配をかけると思いますが、僕としてはここからが本領発揮のいい機会になるのではないかと思っています。ここからの逆転V字復活をご期待ください。ただし、僕はがんとは戦いません。がんも自分の身体の一部ですからね。役目を終えて静かに消えていってもらえばいいと思っています」
すると、あっという間にコメントが入り始めた。
疎遠になっていた人たちからも、どんどんコメントが入ってくる。
「刀根先生、大変ショックです。先生のおかげで心理学は私のスキルの一つになり、現在キャリアコンサルタントをしていますが、大変役に立っています。必ず回復してください。退院したら会いに行きます!」
「とにかく完治を祈ることしかできませんが、現状と向き合う刀根さんの心意気がよき方向に向かうことを祈念いたします。朗報お待ちしております」
「無理せず、本当にキツイときはいつでも言ってください。古い仲ですから(笑)、何か力になれますよ!」
そして、寺山先生からも入っていた。
「報告をありがとうございました。とてもよい機会です。本領を発揮されますことを祈っています。脳に腫瘍とのこと、膿で血液が汚れ、ストレスを与え続けたのでしょうね。いよいよ本領を発揮して、真剣に癒しのことを感じてくださいね。がんは治る病気です。今の医療では、とても難しい病気だといわれています。治る方法は、とても簡単です。頭の中を空・無にできるかにかかっています。全てを腑に落とすことです。成功を祈ります。寺山心一翁」
コメントの数は100を超えていた。
こんなにもたくさんの人が心配してくれているということを、僕は思いもしなかった。
全くの予想外だった。
コメントの一つひとつを読み、相手の顔を思い浮かべる。
思い起こすみんなの顔はなぜか笑顔だった。
ありがとう、ありがとう、みんな、ありがとう。
読みながら手を合わせた。
僕は全てを一人で背負い、一人で戦わなければならないと思っていたのかもしれない。
僕は今までいったい何に対して意地を張っていたのだろうか。
もっと早く『助けて』と言えばよかったんだ。
もっと早く『苦しい』って言えばよかったんだ。
プライド?
そんなプライドなんてクソだ。
カッコつけて何になるっていうんだ。
プライドなんて捨てよう。
もっと素直になろう。
ふと見ると、メッセンジャーにメッセージが入っていた。
「刀根君に会いたいです。近日中に会っていただけますか?」
それは20年以上会っていない友人、フジコさんからだった。
僕は翌日、入院に備えて中野の健保協会に『限度額適用認定証』をもらいに行く予定だった。
すぐに返信をした。
「明日、午後に中野へ行く用事がありますが、その後なら時間が取れます」
「会いましょう!私は吉祥寺です」
フジコさんは中野のすぐ近く、吉祥寺に住んでいたようだった。
「時間がわかったら連絡しますね」
「そうしてください。必ずだよ。がんという病気はものすごいギフトだと私は受け取っています。刀根君のこと、慰めたいとかそんなんではないの。でも、なぜそれを選択したのか、そこに寄り添いたい、奇跡に立ち会いたいです。病気は、医者にもセラピストにも治せないと思います。なぜなら、そこに意味があるから。そこまでして、魂からのメッセージを受け取ろうとしてる、刀根君の力になりたいです」
50歳で突然「肺がん、ステージ4」を宣告された著者。1年生存率は約30%という状況から、ひたすらポジティブに、時にくじけそうになりながらも、もがき続ける姿をつづった実話。がんが教えてくれたこと」として当時を振り返る第2部も必読です。
刀根 健(とね・たけし)
1966年、千葉県出身。OFFICE LEELA(オフィスリーラ)代表。東京電機大学理工学部卒業後、大手商社を経て、教育系企業に。その後、人気講師として活躍。ボクシングジムのトレーナーとしてもプロボクサーの指導・育成を行ない、3名の日本ランカーを育てる。2016年9月1日に肺がん(ステージ4)が発覚。翌年6月に新たに脳転移が見つかり、さらに両眼、左右の肺、肺から首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、脾臓、全身の骨に転移が見つかるが、1カ月の入院を経て奇跡的に回復。現在は、講演や執筆など活動を行なっている。