「歌うことで人とつながれる」吉岡聖恵×越智志帆が語った"歌"への思い

2018年12月18日 11:00 LINE NEWS編集部

12月5日、東京・代々木にある制作会社。

ボヘミアンテイストのドレスをまとった女性が、控え室から小走りで現れると、スッと花束を差し出す。

「活動再開おめでとう!」

「えー!? 用意してくれたの…?ありがとう!!」

ミントグリーンのニットにコントラストが鮮やかな赤いスカート姿の女性が、大きく目を見開きながら、満面の笑みで花束を受け取った。

こちらは、いきものがかりのボーカル吉岡聖恵。
グループは11月に「集牧宣言」と称し、活動再開を発表したばかり。

彼女に花束を手渡したのは、Superflyの越智志帆。
以前はロングの髪で、クールなイメージが強かったが、最近はショートヘアがなじんできた。
表情は、とても明るい。

2組ともアルバムを出せばチャート1位となり、NHK紅白歌合戦にたびたび出場するなど、言わずと知れた国民的アーティストだ。

この2人は、プライベートで頻繁に会うほどの仲だという。
同い年で、誕生日も4日違い。
ともに3人きょうだいの真ん中で、お互い「なんか似ていた」と話す。

しかしメディアでの対談は、この日が初めて。

「どうしよう…笑っちゃう!」

顔を見合わせながらソファーに腰を下ろすと、和やかなムードのまま対談が始まった。


だいたい励まし合って帰る


吉岡:出会ったのは2007年だよね。「ミュージックステーション」で一緒になって。もう11年たったのか。

越智:番組の終わりに「姉さん!めっちゃかっこよかった!」って声を掛けてくれたんだよね。それで連絡先を交換したのかな。

吉岡:声を掛けずにはいられなかった。私たちはポップでいつもジーパンとTシャツを着ているようなグループだけど、Superflyはロックだし、歌声もすごい。

越智:いきものがかりはデビューが1年早かったから、テレビの中の人ってイメージだった。だから声を掛けられるとは思っていなくて、うれしかったな。

吉岡:性格がすごく似ているわけではないけど、「分かる!」ってことが多いんだよね。お互い結構飲めるし、それでいつも夜が更けていく。志帆ちゃんは、いつも聞き役でいてくれるんです。

越智:すごいしゃべるからね。

吉岡:バラさないでよ(笑)!

越智:みんな知ってると思う(笑)。

吉岡:私はそんなに度量が大きくないから、いっぱいいっぱいになっちゃうこともあるんです。でも志帆ちゃんは、いきものがかりが「帰りたくなったよ」(2008年発売)を出したくらいの時に、「いつでも話を聞くから」って言ってくれて。忙しいはずなのに。

越智:大変だなって思う部分も、やっぱり共感できるんですよね。聖ちゃんの話を聞くことで自分も「そうなんだ」って思える。だからだいたい励まし合って帰るよね。「私たちがんばってて偉いよね」って(笑)。

吉岡:だいたい褒め合いだよね(笑)。友だちであり、尊敬する人だから。


多様な表現ができる理由


越智:聖ちゃんは、男性が書く歌詞をちゃんと理解してさらっと歌えているのが、すごいなと思いますね。私も人が書いた歌詞を歌うことはあるけど、すごく難しいから、自分で書いて歌った方が楽だもん。

吉岡:自分で書けるのがすごいんじゃん!志帆ちゃんが書く歌詞はシチュエーションもいろいろだし、キャラクターも強い姉御みたいな人から、失恋で傷ついた人、少女みたいな人までいる。それを毎回、説得力を持って歌いあげているのがすごいですよね。

越智:そんなふうに思ってくれていたんだね。

吉岡:その引き出しや表現の多様さは、どこから来ているの?

越智:妄想するのが好きなんですよね。そのへんに石が転がっていたとしたら、この石はどんな気持ちで過ごしているんだろうって考える。あと例えば、電車の中で彼氏・彼女らしき人がケンカしていて、扉が開いて離れ離れになっちゃったとしたら、なにが悪かったのかなって前後のストーリーを考えちゃう。

吉岡:もしかして私も観察されてる?

越智:うん(笑)。観察するのは、癖みたいになってるかも。

吉岡:自ら多くを語らない分、すごく洞察力が優れているもんね。それが作詞につながってるのかな。


2人はたわいない話はもちろん、時にはボーカリストとしての苦悩も語り合うという。

Superflyは2016年7月、喉の治療のため休養。
2017年11月15日、東京オペラシティで開催したライブでステージ復帰を果たした。

一方、いきものがかりも2017年1月5日より、「放牧宣言」と称してグループとしての活動を休止。
吉岡はソロ活動を開始し、2018年10月にはアルバム「うたいろ」をリリースした。

そして11月3日、グループとしての活動が再開された。

この間も、2人は絶えず連絡を取り合っていた。
お互いを知り尽くしているからこそ、復帰は双方にとって感慨深いものだった。


あの日は普段とステージの境目がなかった


吉岡:Superflyの復活ライブの後にご飯を食べに行って、感想を言ったんだよね。そしたら「あんたはライターか」って言われた(笑)。

越智:インタビューかと思ったもん(笑)。

吉岡:ライブを見ていて、ウォーター(涙)が止まらなかった(笑)。本当にあたたかい歌声で、天使みたいに見えたんですよ。それまでは強い歌声を持った女神のような存在だと思っていたのに、また最強になりやがってって。私もちょうど放牧していた時期だったのかな。

越智:だからほんと、よく来てくれたよね。

吉岡:ずっと会っていたし、なにを考えていたかもいろいろ話していたから、なんとも言えないうれしさがあった。新しくなってるのも強く感じられたから、すごく刺激になりましたね。

越智:それを聞いて、すごく肯定された気がしたんですよね。復活できたことはもちろん、休んだことも良かったなって。それが歌声に反映されていたわけだから。

吉岡:休んでいる時に、どんどん雰囲気が明るくなっていったというか、めちゃくちゃ外向きになったよね。

越智:すごく気持ちは軽くなったかな。髪を切って、Superflyとして見られることがない環境だったから、割りと伸び伸び過ごしていました。だから気負ってなかったのかも。

吉岡:ステージでクルって回ったときに、かっこよく決めるんじゃなくて、お花畑の真ん中で女の子が回ってるみたいな感じだったもんね。

越智:それ、再現してくれたよね(笑)。席を立って。

吉岡:私、完全に酔っ払ってるじゃん(笑)。それもすごく、天使みたいだった。

越智:緊張してなかったし、あの日は普段とステージの境目がなかった。素の自分でしたね。


歌いたくなるまで放っておこうと


越智:聖ちゃんも、放牧中はあまり歌ってなかったんだよね?

吉岡:半年くらい、まったく歌ってなかった。

越智:いきものがかり復活の発表が出たくらいに、朝のテレビ番組で紹介されていて、久々に歌声を聞いたんですよ。その時に、ほんの一瞬、10秒も流れてない短い時間で「この声だ」って思ったんですよね。そのくらい説得力があった。

吉岡:うれしい。

越智:あの独特な透明感とか、やっぱりこの声はこの人だけのものだなって。それはたぶん、お客さんも感じていることだと思うんです。だから、また声が聞けて良かったって、私も涙が流れました。

吉岡:「放牧」って名前だったので、最初は自分自身がめちゃくちゃ歌いたくなるまで放っておこうと思ったんですよ。そしたら、だんだん体も心も毒素がたまっていくような感じになって。半年くらいたってから歌ってみたら、やっぱりスカッとするなって、単純に思いましたね。

越智:自然が一番だよね。

吉岡:実際、歌ってみたら回りだすものがあった。気持ち的にも、体的にも。そこからいろいろと、ソロの活動とかを考えるようになったから。

越智:歌はそういう快感があるよね。私も休み明けに、歌うとすごく健康になるんだなって思ったもん。精神的にも穏やかになったし。


歌うことを重く捉えてしまっていた


吉岡:せっかくだから聞いてみたいんだけど、志帆ちゃんにとって歌うってどういうこと?

越智:なんだろう…私はコミュニケーションに近いかな。「私はカレーが好きです」みたいな感じで、誰かに主張してる。普段あんまりワーッてしゃべるタイプではないから、曲でお返事を書いている気がします。

吉岡:そっか。歌で気持ちを伝えてるんだ。

越智:本当は普通にしゃべって伝えられたらいいんだけど、苦手なんだよね。歌の方が自然に伝えられる。

吉岡:私はしゃべるの好きだもんな。

越智:しゃべっていても、急に歌いだしたりするよね。それが自然とできる。私は準備しないと歌えないから。「ちょっと待って、発声するから」みたいに。

吉岡:でも、歌うことで人とつながれるっていうのは私も一緒かもしれない。あと私にとって歌は、習慣みたいなものかもしれないですね。自然に歌っちゃうのも、小さい頃からそうだった。

越智:うんうん。

吉岡:歌って、誰でも平等に歌えるものじゃないですか。気軽に料理しながら音楽を聴いて、口ずさんだり、小躍りしたり。そうすると自分の行き詰まっていた心が、パッとリフレッシュされる。放牧したことで、それを改めて感じたんですよね。ずっと真っ只中にいて、届ける視点だけになっちゃうと、それを忘れがちになっちゃう。

越智:すごい分かる。

吉岡:特にバラードを連続して歌っている時は、歌うことを重く捉えるようになってしまうこともあって。この曲を大事にしてくれている人がいるからとか、この曲をライブで聴いて涙してくれた老夫婦がいたなとかって考えてると、ありがたいことではあるんだけど、重く捉えてしまう。

越智:本当だよね。

吉岡:もともと邦楽のいちファンで、すっごいライトに音楽を聴いてきたからこそ、音楽で楽しむ気持ちは忘れないようにしたい。

越智:作る側、伝える側になると忘れちゃうよね。私も休んでる時の方が音楽を聴いてた。歌があるものは聴かなかったけど、ジャズとかを聴いてたら、音楽って面白いんだ、もっと楽しいものでいいんだって感覚を思い出した。

吉岡:ね!だって音「楽」だよ?視界が狭くなって、そんな単純過ぎることを忘れちゃう。

越智:不思議だよね。でもいま、聴く人に楽しんでもらえることが新しい目標になった。そのために、自分を偽らずに歌を届けたい。本当に感動したこととか、泣いたこととか。

吉岡:特別なことをしようとして無駄な力をかけるよりも、普通の日常を送って、自分が健全な状態にあることの方が大切だよね。

越智:いきものがかりは、他の2人が作るものを聖ちゃんのフィルターを通して出すわけじゃない?だからこそ、そのフィルターがクリーンかどうかって大事だと思う。

吉岡:フィルターであり、蛇口みたいな役割かな。いつも自分を気持ちよくいさせてあげたいですね。


3年ぶりにそろって紅白の舞台へ


年末には、2組ともNHK紅白歌合戦に出場する。
そろって登場するのは、2015年以来となる。

越智:いろんなジャンルの方がいるって意味では、本当に独特。見ている人も多いし、責任感を持って出ないといけないんだけど、あんまり意識したくないよね(笑)。いつもどおりがいい。

吉岡:私も(笑)。

越智:今年は一緒に出られるのがうれしいな。いきものがかりがテレビに出るの、すごく久々だもんね。

吉岡:去年はSuperflyが紅白で久しぶりにテレビに出たじゃない?あの時はすごく感動して、くぎ付けになって見ていた。今年は、私にとっては集牧を待ってくれていた人がいるから、単純に楽しめたらなって思いますね。


吉岡:しゃべりすぎちゃった(笑)。でも、いつもより全然しゃべってないよね?

越智:いつも、もっと声を張ってるもんね(笑)。意外とちゃんとできたね。

吉岡:ね!楽しかったー!

対談が終わっても、話は止めどなく続いた。
撮影を終えると、2人は名残惜しそうに、それぞれの控え室へと戻っていく。

その表情は、数万人を前に圧倒的な歌声を聞かせる普段の彼女たちとは少し違う。
ボーカリストとして、親友として、強い絆で結ばれているからこそ見せられる、屈託のない笑顔だった。


【取材・文 : 前田将博(LINE NEWS編集部)、撮影 : 二宮ユーキ】

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