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真の「勝利」を望むなら、代表監督だって受ける。ロベルト・カルロスが日本を語る

2018年9月6日 11:00 LINE NEWS編集部

 
「自分はずっと体育館でフットサルをやっていたんだ。7歳から13歳まではずっと」

スペイン・マドリード市内のホテル。
元ブラジル代表DFのロベルト・カルロス氏は、意外なキャリアを明かしてくれた。

「その間、1試合だけ11人制のサッカーをした。初めてのサッカーだった。それを見ていたスカウトが、プロのサッカークラブに引き抜いてくれたんだ」

少年はやがて「銀河系軍団」と評されたスター集団、レアル・マドリードの中心選手となった。
2002年のW杯日韓大会では、母国ブラジルを優勝にも導いた。

日本でも「ロベカル」の愛称で人気となった。
サッカー史に残る左サイドバックと、ファンは口をそろえる。

それでもロベルト・カルロス氏は強調する。

「サッカーのプロになったのは、運命かもしれない。でも、自分のキャリアはフットサルで始まったんだ」

愛してやまないフットサルのコートを、彼は1試合限りの現役復帰の場として選んだ。

9月9日、丸善インテックアリーナ大阪。
ロベルト・カルロス氏は日本のフットサルリーグ、Fリーグの「選抜チーム」の一員として、公式戦に出場する。


幸運をもたらす国、日本


――今回なぜ、オファーを受け入れたのか

「第一に、フットサルが大好きだから。友人がいたり、信頼する人たちがいれば物事は進むものだし、今回は何よりFリーグの皆さんの熱意があった。ちょうどその時期に、レアル・マドリードの試合がないというのも手伝った。何よりもまた日本に行きたかった。日本のことが本当に好きだから」

――日本への愛着の理由は

「自分に幸運を運んで来てくれる国だから」

――確かに、日韓共催のW杯では優勝を果たした

「自分たちは王者にふさわしいパフォーマンスができた。そして日本の人々がくれる愛情、スポーツにささげるものは情熱的。レアル・マドリードで来た時にもすごく感じた」

――レアルでは、毎年日本で開催されていたトヨタ杯(クラブW杯の前身)でも2度優勝

「98年大会、バスコ・ダ・ガマとの試合は、自分のシュートがDFに当たってオウンゴールを誘って勝つことができた。クラブでも代表でも世界一になるというのは、本当に幸運なことだと思う。そしてそのどちらもが、日本で起きたことだった」

――あなたの現役当時のレアルは本当に強かった

「ブラジルを出た時はベッカム、ジダン、フィーゴ、ロナウド、カシージャス、ラウールと同じロッカールームで時を過ごすことなんて考えもしなかった。あのメンバーでプレッシャーを共有し、タイトルを共有したことは、自分たちだけの貴重な経験だと思う」

――スター集団がまとまるのは難しかったのでは

「いやいや、自分たちはとても仲の良い友人だった。いつも一緒にいた。行動を共にしていた。お互いに何がしたいのかを理解していた。一つにまとまっていた。ロッカールームの雰囲気はいつだって素晴らしかった」

――特にロナウドとの仲は特別だった

「ロニーは素晴らしい友人で、自分にとっては兄弟のような存在。彼が自宅での自分の誕生パーティーに、バス何台分も知り合いを呼ぶから、仕方なく私がガードマン役をしたことなどもあった。テレビ局や記者まで呼ぶから、なかなか収拾がつかなかった(笑い)」

――世界最高の選手から、何でも相談を受ける立場だった

「彼の悩みをいつも聞いてもいた。注目され、期待をされて、すごく苦しんでいるのもずっと一番間近で見ていた」

――98年のW杯フランス大会では、ブラジル代表の宿舎で同室だったロナウドが目の前で倒れて、救急要請をしたこともあった

「そうだね。確かに98年の彼は本来の力を発揮できなかったけど、4年後の日本で才能にふさわしい結果を手にした。そういえば、準決勝のトルコ戦で決めた得点は、フットサルのようだった。トゥキックでね。彼もフットサルの経験がある」

――当時のブラジル代表には、あなたやロナウド以外にもフットサル経験者はいましたか

「大部分が小さいころにやっていた。代表でも雨がたくさん降った時などに、体育館に小さなコートをつくって、フットサルのように練習をしていた」

――誰が一番うまかった?

「私だよ。いつだって自分が一番うまかった(笑い)」


出るか、伝説のFK―。

――今回の訪日で、日本の人々に見せたいプレーは

「まずは参加している姿を見てもらいたい。そして私はフットサル育ちだから、自分の知っている戦術、技術、コントロール、パス、動きなどをできる限りお見せしたい。これまでの観戦では味わえなかった経験をしてもらって、喜んでもらえたらいいなと思う」

――あなたが考えるフットサルならではの魅力とは

「コートが小さい分、速いプレーが必要になる。ボールコントロールの正確さはもちろん、コートが広いサッカーよりもさらに素早い判断が求められる。そこを見てもらいたい」

――そういったスキルは、サッカーにも役に立ったか

「技術しかり。インテリジェンスしかり。フットサルの経験は全てサッカーに役立つもの。ブラジルでは、フットサル経験者はサッカーでも実力を発揮している。マルセロなども、フットサルで磨いた技量が、彼を世界トップクラスの選手たらしめている」

――日本のファンはあなたの代名詞とも言える、強烈な左足シュートも楽しみにしている

「ゴールに近ければ近いほどベター。遠くだったら狙うんじゃなく、チームメートに回すほうがいい。けど、ゴールに近いところだったら私は狙っていくよ」

――97年フランス戦での伝説的なFKのように変化をかけるなら、距離があった方がよいのでは

「いやいや、あの時は風が味方してくれた。ゴールの方へ曲がるのを手伝う風が吹いていた。けどフットサルは室内。風がない。あのゴールを再現するのは簡単じゃないよ(笑い)」

――とはいえシュートの強烈さには変わりはない。壁に入る相手選手たちに送る言葉があれば

「(苦笑いしつつ)まあ、言えることはこのイベントを楽しいものにしたいということ。観客が楽しんでくれるプレーを見せるのが大事。それがプレーをする時にいつも望んでいることです」

――日本ではあなたの左足を「悪魔の左足」と呼ぶ

「そのフレーズはちょっと強い(笑い)。この左足は多くの幸運、多くの成功をもたらしてくれた。だから私にとっては、悪魔ではなく神の左足かな。神様がこの左足に強烈な力を与えてくれて、多くの人を幸せにしてくれた」

――あなたは45歳ですが、日本には50歳をこえてサッカーでプレーし続け、フットサルの代表にもなった選手がいる

「ああ、カズか、彼は唯一の存在だよ。フェノメノ(怪物)だしクラッキ(名手)だよ。カズとはご飯に行ったこともある。人は自分の道を進むもの。自分もカズ同様に、Fリーグの力になれることがとても楽しみ」

――日本は2020年のフットサルW杯誘致も考えている

「日本はW杯を開催すること自体は難しくない。私が力になりたいのは、フットサルへの興味、思いを高めること。そして関係するみんなに、プロ意識を染み込ませることだ。そして私にできるのは、全世界のフットサル協会の方々と話し合って、協力を仰ぐことだ」


女子はできた。ならば男子も―


――ロシアW杯での日本代表の戦いぶりは見たか

「私はFIFAの親善大使だから、もちろん見た。日本は今以上の成績をこれからおさめることができると思う。そのためには席に着き、よく話をして、組織をしっかりさせること。まずは準備をすることが大事で、その後にあるのがプレーだ」

――日本のサッカー界に対して思うことは

「以前のような、代表に対して熱い思いを持つ日本に戻らないといけない。まずはサッカーのフル代表。世代別の代表。そしてフットサル。お金で全てを解決しようとする中国には望まないけど、日本にはサッカーをリードする国になってほしい」

――日本が欧州、南米と肩を並べるためには

「良い監督を招くこと。良いスタッフをそろえることなどがあるが、何よりも大事なのは選手が幸せであること、戦術は忘れてもいい。ボールを使ったプレーを楽しむこと。そしてボールのないプレーも楽しむ。そうやって個々が自分の仕事を果たすことが大事」

――では、日本から代表監督のオファーがあったら

「自分は根っからの勝者。文化の違うトルコ、ロシア、インドでの仕事は簡単ではなかったが、それでも勝利をおさめてきた。もし日本サッカー協会からオファーがあっても、散歩に行くようなものなら、絶対にサインをするつもりはない」

――本気で勝ちに行く姿勢さえあれば受けるのか

「もしオファーがあって、しかも勝利を続ける一時代を築き、勝者のメンタリティーを持った代表にするつもりなら受ける。勝利とはなにか。それはお手本となる存在になること。スタジアムをいつも満員にすること。そして選手が楽しめる状態にすることだ」

「それから今までとは全く違った新たな世界を作り出す。日本女子サッカーを見てほしい。すでに世界王者になっている。なぜ、それを男子ではできないのか」

―—最後に日本のファンにメッセージを

「最初に伝えたいのは感謝の気持ちだ。日本のみんなは、いつも私に愛情を注いでくれた。日本にファンがたくさんいることはとても幸せ。SNSを通して多くのメッセージが届いている。翻訳サイトを通して、いつもメッセージを読んでいる」

「日本に初めて行った時、自分のことなど誰も知らないと思っていた。でも、空港で写真やサインをお願いされた。あれはうれしかった。そういった愛情を受けてきたからこそ、今回の訪日を決めた」

「日本でたくさんの方と会えることを楽しみにしている。ホテルで、試合会場で、街で、みんなと触れ合えることが楽しみ。もちろん、私のプレーを楽しんでもほしい。滞在は4日間と短い。でも自分の人生の中でも大事な4日間になると思っている」


【取材=山本孔一、撮影=川森睦朗、企画・構成=LINE NEWS編集部】

追記

ロベルト・カルロスさんは6日朝、北海道で大きな地震が起きたことを知り、スペインから日本への移動中の機内からメッセージを寄せてくれました。

「北海道の皆さま、こんにちは。今、そちらで非常に大きな地震があったことを知りました。ちょうど日本に向かっておりますが、自分にも何かできることがあるのではないかと思っています。まずは、今回の地震で被災されたすべての皆さま、そしてその家族の皆さまにハグを。そして、北海道の皆さまのハートに、大きなキスをおくります」


<お知らせ>
Fリーグは7~9日、丸善インテックアリーナ大阪で、ディビジョン1の全クラブが試合をする「共同開催大阪ラウンド」を行います。
ロベルト・カルロス氏は、9日にFリーグ選抜の一員として仙台戦に出場。また8日にはエキシビションマッチにも参加します。
試合の模様は、「AbemaTV」で生中継されます。
9/8(土)9:20~22:30 Fリーグ第12節
9/9(日)9:30~21:30 Fリーグ第13節

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