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「みんなの思いは本当に届く」成瀬瑛美、プリキュアになれたことで見えた景色

2019年4月7日 11:00 LINE NEWS編集部

テレビアニメ「スター☆トゥインクルプリキュア」の主人公・キュアスター(星奈ひかる)を演じる、でんぱ組.incの成瀬瑛美。
2018年末、現役アイドルでは初となるプリキュア声優抜てきが発表された。

「本当に本当に今でも夢のようで幸せ過ぎます」

そのとき彼女は、喜びをこう表現していた。


キュアスターが登場する「映画プリキュアミラクルユニバース」の公開を翌日に控えた3月15日。
都内のレコード会社。

準備を終えた成瀬が、メイクルームから現れる。

「よろしくお願いします!ハッピーハッピー!!」

カメラを向けられると、目をキラキラ輝かせながら「こんなシーンがあるんですよ!」とポーズを決め、繰り返しセリフを投げかける。

多くの少女たちと同じように、成瀬にとってもプリキュアは憧れの存在だった。

プリキュアになりたかった一人の女性が、プリキュア声優になるまで。
その軌跡を、成瀬自身が語った。


プリキュアそのものになりたい


今年16年目を迎えた同作のアニメシリーズ。
2004年、第1作となった「ふたりはプリキュア」の放送が始まった当初から、彼女はその魅力に取りつかれていた。

「テレビ朝日さんの日曜日、朝8時30分の枠をずっと見続けていたんです。『明日のナージャ』が終わって、その次に『ふたりはプリキュア』が始まった。それを見た瞬間に、戦う女の子がかっこいい、これは私が求めていたものだなって思って、ハマりました」

「魔法少女モノとかだと、武器や魔法を使って敵と戦うストーリーが多いと思うんです。でも、プリキュアは肉弾戦がメインなんですよね。かなり熱くて、男の子が見ても楽しめると思えるくらい、アクションシーンも濃い。これは気合の入ったアニメだなって」

「しかも毎回、全然違うテーマで新シリーズが始まるんですよ。キャラクターのデザインや方向性も違うし、毎年のように新たな挑戦が待ってる。でも、正義に向かう心とメンバーの絆は一貫しているんですよ。本当に飽きずに、ワクワクし続けられる作品ですね」

シリーズを見ていく中で、自然とプリキュアへの思いは膨らんでいった。
そして2010年より放送された「ハートキャッチプリキュア!」を見て、その思いは"夢"へと変わった。

「キュアマリンていうキャラクターがいたんですけど、コメディーぽかったり、破天荒なところがあったり、すごく自由なんです。それでいて周りをグイグイ引っ張っていくっていう、今までのヒロイン像から外れた子だった」

「こういう子でも正義のヒロインになれるんだって、すごく好きになりました。憧れていましたね。それで、プリキュアになろうと決心しました」

「声優になりたいというか…プリキュアそのものになりたいなと思って過ごしていました。お前はなにを言ってるんだって感じだと思うんですけど(笑)」

それ以来、日常生活の中でも、自らをプリキュアだと意識しながら過ごすようになっていった。

「『私はプリキュアだ』と思って生きてきたので、なかば本気で小さい子に『プリキュアだよ〜!』って言ったり(笑)。子どもたちには、『えっ?』って顔をされることが多かったですけど(苦笑)。…これはダメな遊びですね!」


アイドルをやる上でも参考になった


子どもの頃、成瀬の夢は漫画家だった。
大人になってアニソンシンガーを志すようになり、ライブ&バー「秋葉原ディアステージ」で働くようになった。

これをきっかけに、2010年6月にでんぱ組.incに加入。
彼女がプリキュアになろうと決意した頃だ。

そのことはアイドル活動にも、大いに影響を与えていた。

「アイドルをやる上で、プリキュア同士の絆はどこよりも参考になりました。プリキュアのチームは同じ属性のキャラがいなくて、それぞれ役割があって、互いに仲間同士の力を頼りにしながら、最終的には巨大な敵を倒していくんです」

「チームの中で自分の役割を見つけていくってところも、すごく参考にしていますね。ライブをするときも、正義の心を持ってやろう、私はプリキュアなんだ、みたいな気持ちでいつも挑んでいます」

過去には雑誌で「子どもにでんぱ組.incとは何か、と聞かれたら」という問いに「プリキュア」と答えたこともある。

「プリキュアになりたくて、しょうがなかったんでしょうね(笑)。インタビューとかで『あなたの夢はなんですか』って聞かれることが多いんですけど、『プリキュアになりたいです』って、すごく言ってきました。言霊だったのかもしれないから、言い続けてきて良かったですね」


一度は諦めかけたオーディション


そして2018年初夏。
所属事務所のスタッフから、プリキュア新シリーズの声優オーディションの話を聞かされる。

「足の底から全身に、ぞぞぞぞぞって何かが駆け巡りました。これはもしかしたら運命が変わるかもって。あと、あの神聖な現場に私も行けるっていう事実に興奮しましたね」

「オタク心で、私の大好きなシリーズを作ってきたスタッフ陣に会えるなとか、オーディションの知らせってこの時期にくるんだ、なるほどって気持ちもありました(笑)」

成瀬はまず、キュアソレイユ(天宮えれな)役で審査を受けた。

「テーマカラーが私と同じイエローだったので、ソレイユちゃんがいいかなって。でも受けた後は正直『あれ、手応えなかったかも』って思いました」

「ソレイユちゃんはお姉さん的なキャラクターなんですけど、私は明るく元気な部分しか出せなかった。彼女が持ってる母性を表現できなかった気がしたんです。だから、これはダメだったかもしれないなって」

肩を落とし、諦めかけていたとき、スタッフから声を掛けられた。

「次はキュアスターをやってみてください」

​突然の提案だったが、持ち前の明るさとハイテンションで演じきった。
このときは、ほぼ「素の自分のまま」だったという。

「どれが正解か分からないままやったんですけど、演じやすさみたいなものは、すごく感じました。ソレイユに関しては、別のキャラを一生懸命、作り上げて演じていたので」

「歌唱審査もあったんですけど、すごく楽しくなっちゃった。踊りながら、プリキュア大好き、楽しいなって気持ちで歌わせてもらいました。この日は、そんな気持ちのまま帰りましたね」

後日、マネジャー経由で、合格の知らせが届く。
成瀬に与えられたのは、主人公のキュアスター役だった。

「一瞬、固まりましたね(笑)。『あ…!』ってなって、『うわー!!』って叫んで、『わー!!!!!』ってなって、ボローって泣きました。いろんな感情が滝のようにドンドコ重なっていって」

「信じられないっていうよりも、プリキュアとしてがんばれるんだっていう喜びですかね。聞いた瞬間に責任感というか、『よっしゃ!宇宙を救うぞ!』って決心がついたので」

キュアスターに変身する星奈ひかるは「キラやば~っ☆」が口癖の好奇心旺盛な中学2年生。
誰がなんと言おうとも「好きなモノは好き!」という強い想いの持ち主でもある。

でんぱ組.incの中でとりわけ明るく、ポジティブなエネルギーでグループを引っ張る成瀬には、ぴったりの役だった。

プリキュアのスタッフ陣も、成瀬について「キュアスターそのものだった」と称している。


初回放送を見て「なんとも言えない気持ち」に


念願のプリキュア声優となった成瀬。
本格的な声優の仕事は初めてで、当初は「めちゃくちゃ不安でした」と語る。

「声優さんの現場自体、どういう感じか分からなかったから。でも現場では、私が空気を作らないといけない」

「だから、とにかく明るい感じでいこうと思って、がんばりました。私が楽しい空気を作れば、作品自体も温かなものになるんじゃないかって」

2月に「スター☆トゥインクルプリキュア」が放送開始された。
15年間、ファンとして楽しみにしてきたこの瞬間だったが、今年は複雑な気持ちで迎えた。

「毎年プリキュアの新シリーズの1話目はめちゃくちゃ楽しみなんですけど、初々しい私がいて、なんとも言えない気持ちになりましたね(苦笑)。あまり記憶にないくらいです」

「ほんと細かい点なんですけど、この場面の驚きが足りなかったな、とか。毎回、全部チェックポイントを書き出して日々、試行錯誤しています。まだまだ足りない、こんなもんじゃないって思っているので」

前作では劇中で出産シーンがリアルに描かれ、初となる男の子のプリキュアが登場。
ジェンダーや育児といった社会問題にも切り込み、反響を巻き起こした。

今作のモチーフは「宇宙」。
宇宙から来た人々は「未知・多様性の象徴」でもあるという。

「メインキャラ4人の肌の色が全員違うのも斬新だけど、これからもっといろんな異星人に出会うと思います。そういう意味でも、作品自体がもっとワールドワイドになってもいいんじゃないかと思っていますね」

「そのためにも、最終的には言葉が分からなくても思いが通じるくらいの演技をしたいです。思いがこもっていれば、宇宙人にも伝わると思うので。これから先も、絶対に見逃さないでほしいですね」


あの光は、本当にグッと心に入ってくる


テレビシリーズと並行して、「映画プリキュアミラクルユニバース」の収録も行われていた。

同作には、過去の作品「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のプリキュアも登場。
成瀬は先輩たちとの共演に、心を踊らせた。

「現場に入ると、私が毎週見ていたプリキュアの声が聞こえるんですよ!学ばせていただくことも多くて、目が離せない状態でした」

「チームごとに仲良しだし、セリフもぴったり合うんですよね。アラモードの皆さんは放送から1年空いてるはずなのに。絆やチームワークが、私たちとは全然違いました」

「私も1年後は、こういう先輩のようになっていなきゃっていう目標もできましたね。立派なプリキュアになるぞっていう。もちろん、それに近づくためには努力がめちゃくちゃ必要なんですけど」

応援上映会や舞台あいさつなどのイベントでは、プリキュアのファンと触れ合った。
参加者のキラキラした表情に、感慨を覚えた。

「プリキュア愛がめちゃくちゃあって、本当に好きなんだなって。大人も子どもも、みんなキラキラしながら壇上を見つめてくださっていました」

「一瞬『同志!』って思ったりもしたんですけど(笑)。自分は登壇者なので、しっかりと楽しませなきゃなって思いました」

劇場ではこれまでのシリーズと同様、劇中にも登場する応援アイテム「ミラクルライト」が中学生以下の入場者に配布されている。
上映中はこれを光らせながら、子どもたちが夢中でプリキュアを応援する。

成瀬は今回、プリキュアとしてその姿を目の当たりにした。
「思いは届く」と、強く実感した。

「元気がもらえるって実感がすごくあったんです。みんなの思いは、本当に届くんですよ。みんなの応援のおかげで、うそ偽りなくがんばれる」

「だから、私の過去の思いもちゃんとプリキュアに届いていたんだって確信できたので、すごく感動しましたね。もちろん毎回、届けと思って応援してるけど、大人になってからは特に、本当に届くのかなって不安に思うこともあったので」

暗い劇場の中で、まばゆく光るミラクルライト。
その輝きは、でんぱ組.incとしてステージに立つ時に向けられるペンライトの光とも重なった。

「日頃、自分たちのライブで振ってくださるペンライトを見ても、めちゃくちゃ元気になるんですよね。これは説明しづらいんですけど、本当にあの光って、グッと心に入ってくるんです」


理想の自分になることは、すごく楽しいこと


成瀬はキュアスターのように、子どもの頃から一貫して「好きなモノは好き」と言い続けてきた。
大人になってからも、それは変わらなかった。

「私は明るい"えいたそ"ってキャラクターが基盤になっているので、『プリキュアになりたいんだ!』って言えました」

「でも、ほんとにほんとの素の暗い自分だったら、なかなか言えなかったかもしれません。私も社会の底辺ですまんって気持ちで生きてたし、友だちに言っても『お、どうした?』って絶対になると思うし(笑)」

彼女は「理想の自分」になることで、思いを貫くことができたという。

「自分はこういうキャラだって思いこんでいたら、それが自分になったんです。だから無理やり演じているとか、つらいって気持ちはありません。理想の自分になることは、すごく楽しいことなんですよ」

「だからなかなか言えないって人も、プリキュアになりたいなら『なりたい』って言っていいと思う。恥ずかしくても、自分の目標は口に出して言った方がいい。周りを気にせずに、もっと軽い気持ちで生きてほしいですね。ほんと、不可能はないと思うので」

取材の終了予定時刻を過ぎても、とめどなく言葉があふれる。
まっすぐな瞳で「えいたその中に、もうひとり別のキャラが生きているんですよ」と、何度も頬を緩ませる。

これまでもアイドルとして、ステージの上からファンに夢を与えてきた。
これからはプリキュアとしても、子どもたちをはじめとしたより多くの人に、たくさんの夢を届けにいく。


【取材・文 : 前田将博(LINE NEWS編集部)、写真 : 黒羽政士、動画 : 二宮ユーキ】

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