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「"いつか"は消えることがあるかもしれない」 廣田あいかが描き始めた「今」

2019年2月13日 11:00 LINE NEWS編集部


2018年1月。

超満員となった日本武道館公演を最後に、廣田あいかはアイドルグループ「私立恵比寿中学」を転校(脱退)し、新たな道を歩み始めた。


「ぁぃぁぃ」の愛称で親しまれ、特徴的な声とカラフルな服装、明るいキャラクターで人気アイドルとしての地位を確立。グループの中心メンバーだった。

その中でのグループ脱退。
当時18歳ながら、廣田はなぜ大きな決断を下したのか。


アイドルとして生きた10代、友人の死、グループ脱退。
そして、新たなスタート。

脱退からちょうど1年後の今、廣田あいかが語る"これまで"と"ここから"とは。




「今」を生きなくちゃいけない


「アイドルをやってきて、前に進まなきゃいけないかなって思ったのは2017年の頭です」

インタビューが始まると、笑顔を交えながら丁寧に、そして真剣に話してくれた。


2017年1月末。
廣田にソロイベントを自己プロデュースする機会が巡ってきた。

グループ公演をプロデュースした経験はあったが、ソロ公演は初めて。念願のチャンスだった。

「せっかく一人でやれるなら、グループの曲っていうより自分を表現する場と思って、私が好きな曲だけを歌ったんですよ。自分のやりたいことはこれだ!みたいなのを証明してみようって」


グループの曲は数曲しか歌わずに、自分にとって意味があるセットリストを組んだ。

意気込んで臨んだ公演だったが、ファンの反応は賛否両論だった。"王道アイドル"と認識されていただけに、ファンが求める"アイドル・廣田あいか"と、廣田が思う"自分"にギャップが生まれていた。

「みんなを裏切っちゃうのも悪いなというか。私の夢があって、そこに興味を持ってもらえる人に私を知ってもらわなきゃって」


グループ脱退を意識し始めた、その矢先の2月。

「私のお友達が亡くなっちゃったことがあって」

小学6年生のときから一緒にいる友人で、事の成り行きや周囲の反応、全てを目の当たりにした。18歳になったばかりの廣田にとって、「すごく大きな出来事」だった。


「長い間一緒にいた身としては一つの物語を見てしまった気持ちになって、『こういうこともあるんだ』って知って。私の物語はどうかなって思ったら、『今だ』って思ったんです。『今を生きなくちゃいけない』って」

「アイドルだったときは『いつか』やりたいことができるだろうと思ってて。これを続けていればきっといいことがあるだろうみたいな。その『いつか』が消えるかもしれないって肌で感じて、そのときに『あ、今やんなきゃいけないんだ!』『今だ、行かなきゃ!』って思って、辞めたいって言いに行った」




廣田にとって、10代の全てがアイドルだった。

「アイドルを楽しんでいたし、表に出る仕事が大好きだったので、うれしいことでしかなかった。いいこともいっぱいあったんですけど」

常に笑顔を求められる「アイドル」という職業。真面目な気質で、極めようと努力していた廣田だからこその葛藤もあった。


「感情と顔がリンクしてないっていうか。楽しいことはもちろん全部楽しいんですけど、悲しいときも楽しくなれる。元々はすごく泣き虫だったんですけど、我慢することに慣れすぎちゃってて、どんなに悲しくても泣けなくて」

「グループでは、しっかりしなきゃって顔が出来上がっていたんです。周りの大人に対しても。ある一定の環境にいると、この人はこういう顔っていうのが出来上がると思ってて。でも、お姉ちゃんがいるので、実際は妹気質だったんです」


2016年の12月末にInstagramを始めると、姉と一緒に写真を撮りに行くことが新鮮だった。唯一甘えられる、姉との時間。

「もう何年前?みたいな。10年前の自分ってこうだったよなって思って。私はお姉ちゃんといるときが一番好きなんですね。その自分になれるのが、インスタの写真を撮りに行くことだけだったんです」

「何よりびっくりしたのが、お姉ちゃんが撮る写真がすごくかわいいよねってファンの人に言われたんですよ。いつも気を張ってるから、多分きつい表情をしていたんです。やっぱり柔らかい表情って出るんだなって。そしたら、今後そういう風に生きたい、自然体な部分を活動とリンクさせていきたいって」




ゼロにして、つくり上げ方を覚えたい


「ゼロにするのは怖くなかった。楽しみで仕方なかったです」

2018年1月。
グループを脱退し、アイドルを辞めた。


その後、事務所も退社。積み上げてきたものをゼロにした。それでも、まっすぐと前だけ向いていた。

「何がやりたかったかっていうと、ゼロにしてつくり上げ方を覚えときたいってことだったんです」

「グループでは、つくり上げてもらったものの上に立たせてもらってて。私はやばいくらい美人でも、めちゃくちゃ歌がうまいとも思ってなくて、何もできることないなって思っていたので、早いうちに、18歳の今に壊さないとって思って」


まずは、TwitterアカウントとYouTubeチャンネルを開設した。

「両方やったことがないので、やりたいやりたい!みたいな。私、初めてツイートするとき泣いたんですよ!やばくないですか?すごい長い間積み重なった憧れというか。Twitterってみんな当たり前に使っているものじゃないですか、私はそれがなかったので」

「YouTubeも大好きだったんです。YouTubeっ子ですよ。同世代くらいの子たちが仲良くやってるのを楽しそうだなって見ていたので、青春を唯一感じられるものだった。ゼロにして今なら何でもできるって思ったときに、『私がやりたかったことってYouTubeじゃない?』って。自由で、何でも載せられるっていうのも、制限が多かった自分からしたら大きくて」


YouTubeの世界に入ることには、不安はなかった。

「Twitterを始めて、最初にYouTuberさんたちがすごくフォローしてくれて。ゼロにしたとき、"あいつは一般人だ"みたいに思われることもあったんですけど、自分で築き上げて有名になっている方々だから、肩書がどうだとか何もないんだなって素直に感動して」

「だから、これからやっていく場所が間違いないって。YouTubeだけにかかわらず、SNS、ネットで自分を広げていく、自分で広告を配るっていう活動をやればっていうのが見えた気がしました」




ちょっと物語的というか、そんなにすぐとは


現在は、人気のクリエイターたちが多数所属するUUUMに所属している。


「YouTubeが好き過ぎて、UUUMが入っている六本木ヒルズを見たら拝むくらい大好きだったんですね。それで動画を始めたとき、UUUMネットワークに入ろうって思っていたんですよ。月に一回応募できて、毎月送ればこの愛が伝わると思って」

UUUMネットワークは、YouTubeで活躍したいクリエイターがUUUMからサポートを受けられるプログラム。


4月22日にYouTubeチャンネルを開設し、1年後くらいには入りたいと思い描いていた。

「最初の動画から1週間だけ毎日投稿していて。そしたらその3、4日目くらいにUUUMからお話がきて、『えー!』って。超うれしかったです」

「何個か他の事務所さんもメールを送ってくださったんですけど、1番最初で。ちょっと物語的というか、そんなにすぐとは思わなかった。初めて事務所に入るとき、入り口でタッチパネルに名前を入れるのがうまくできないくらい、人生一の緊張でした」


9月27日、動画内でUUUM所属を発表。あえて、自分がゴールデンタイムのテレビに出演した日にした。

「YouTubeを見始めたときから、女優さんやアーティストさんとYouTuberさんが並ぶって思っていて。例えばテレビの人がYouTubeに来たとか、YouTubeの人がテレビに出たってよりかは、そこが平らになるっていう風に。だから、ゴールデン出演と事務所発表を一緒にしたいって思って、その日にしました」




動画やInstagramの写真を撮るとき、あらかじめ内容や場所は決めていない。そのときに撮りたいもの、"今"を表現するのが全てだ。

「私が色に敏感なので、こういう風に見えたらいいな、日本がかわいく見えたらいいなっていうのは意識して撮っています。普通の通学路とかも、かわいく見ようとしたらどこまでもかわいく見えるんですよ。そういうものにもかわいさ、きれいさはあるよって注目して動画にしているつもりです」


廣田が訪れた場所を"聖地巡礼"するファンもいるという。

「自分が行った場所が、意味を持ってくれることがうれしいですね」

「みんなにとって、ぁぃぁぃがそんな角度で写真撮るんだったら私はこっちから撮ってみようかな、ってなれば。この人から見るものは、私からはこう見えるみたいなとこが好きなんですよ。こうじゃなくちゃいけないっていう"右にならえ"を、左にならってやるって動画の中で言ってるんですけど、型にはまらないことを存分に遊んでいきたい」




「ぁぃぁぃ」っていうものをどれだけ大きくできるか


今後はYouTubeだけにとどまらず、できることは挑戦していく。

自分の職業にも、肩書にも決まりはない。Twitterを始めるときには、肩書を「ときめきぺいんたー」とした。


「適当に思ってもらいたいっていうか、『ときめきぺいんたー』にルールがないから、何にでもできる。プラスアルファをいっぱい付けられるので、こういうこともやるんだっていう風に思ってほしい。何がプラスされても『ときめきぺいんたー』には変わりない、みたいなものを作りたくて」

「夢もそれです。『ぁぃぁぃ』っていうものをどれだけ大きくできるかが夢なので、『ぁぃぁぃってこんなこともするんだ』っていう、その"過程"が夢なんですよね。だから今は夢の中で、夢を叶えたっていったら叶えている部分もあるけれど、これからも叶えていくっていう感じです」


そんな廣田も強く意識するものがある。

「歌を歌いたいっていうのは言っておきます。私は何より歌うことが好きで、YouTubeのテーマと言ったら『好きなことで、生きていく』なので、歌とYouTubeを結びたいなって常に思っています。いろんな印象がある中で、最終的に『ああ、あの歌っている人ね』ってなるのが一番うれしい。それはやっぱり叶えたい」

「あと、色とかファッションが好きなので、そういうものを生み出したり作ったりっていうのが、今の自由な私ができるようになったこと。みんなの記憶にも残るものを作り出せる人になりたいなって思います」




2019年1月31日。
廣田あいかは20歳になったばかり。

まだまだ夢の途中。

YouTuberでもタレントでも歌手でもなく、「職業・ぁぃぁぃ」と言われる日がくるかもしれない。


【取材・文=橋本嵩広(LINE NEWS編集部)、写真=黒羽政士、動画=二宮ユーキ】

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