これまで、日本の教育機関は「マネーリテラシー」について積極的に教えてこなかった。その理由は、団塊の世代あたりまでは、セーフティーネットが充実していたからだ。「ご両親のお金に関するアドバイスはあてにならない」というつもりは毛頭ないが、この世代の両親から受ける際には注意が必要だ。
なぜなら、蓄え(ストック)と収入(フロー)の両方が充実しており、余計なことを考えないことが勝ちパターンだったからだ。 80年代には8%を超える預金利率、バブル期のピークから4分の1になった地価(国土交通省)、退職金の支給金額の減少(1975年:90.7%、2013年:75.5%、厚労省発表)、国民年金の支給額の引き下げ……、何ひとつとして老後を保障してくれるものなどない。
では、危機を感じて「今から自衛しよう」と考えたときに、一体何から始めたらいいのだろうか?考えなければならないのは、増やすことではなく、いかに守るかという点だ。大切なのは、まずは現状を知り、それに対する備えをすることである。
「世の中の投資案件の95%は詐欺」 いかに守るか?
「自衛」が必要な時代になっていることを述べた。最近、筆者はお金に関するセミナーを開催することが増えたが、老若男女さまざまな人たちが受講しにやってくる。世の中の常識が変わりつつある今、その時代性に合わせた勉強が必要なことを、誰もが気づき始めているからだといえそうである。
そして、これからは「お金に働いてもらう」という考え方が重要であり、投資を含めた複数の収入源を持つなどの対策をしたい。
資産形成の一番の味方が何かというと、それは時間である。行動するのに早すぎるということはないが、「世の中の投資案件の95%は詐欺」だそうである。冒頭でも述べたが、まず必要なのはいかに増やすかではなく、いかに守るかという点だ。
騙されやすい人の特徴とは?
それでは、もっとも詐欺に騙されやすい人とは、どんな人なのか?それは、「資金があり、かつ意欲がある人」だ。実は、筆者もかつては投資詐欺にあった経験があるので、その言葉の意味するところは、痛いほどよくわかる。筆者がマネースクールの開講を決意した理由も、それをきっかけとし、日本から騙される人をなくしたい一心である。資金を貯めるのは一苦労でも、それが失われるのは本当に一瞬のことだから。未然に防げた詐欺被害の防止や被害にあった方のケアを含めて、すでに約2億円の効果を上げている。
どの道の専門家であっても、資産形成に関しては、まったく別の世界のことだと思っているくらいでちょうどいい。安易に大切な資金を冒険させないで、まずは守りから固めてほしい。なぜなら、地雷の避け方さえ分かれば、自らの足で踏み出して経験を積むことができるからである。
{俣野成敏(またの なるとし)|http://www.matano.asia/}}
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、私塾「プロ研」を創設。お金・時間・場所に自由なサラリーマンの育成に力を注ぐ。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』(日本経済新聞出版社)など30万部以上の著作を持つ