2年前、惜しまれつつも番組を終了した「土曜スペシャル ローカル路線バス乗り継ぎ旅」の名コンビ・太川陽介と蛭子能収が「太川蛭子の旅バラ ローカル鉄道寄り道旅」でカムバック!
そこで今回「テレ東プラス」では、名コンビの旅に同行し、太川&蛭子の知られざる素顔を見てきた番組スタッフ・佐藤竜太氏と青山海太氏にインタビューを敢行。撮影裏話を中心に話を聞いた!
お2人の仲は、よくある夫婦の構図です(笑)
――まずは、お2人から見た太川さんと蛭子さんの魅力について教えてください。
佐藤「太川さんはとにかく真面目で、スタートからゴールまで、きっちりこの番組の軸を作ってくださる方ですね。そして蛭子さんは、見事にそこから脇道に逸れてくれます(笑)。そこを太川さんがうまく軌道修正してくださるので、たまに修正しづらい時もありますが、お2人のバランスに、スタッフは本当に助かっています」
青山「太川さんもスタッフも超本気なので、実はたまに意見のぶつかり合いもあるんですよ。太川さんも真剣にゴールしたいがために『俺はこうしたほうがいい!』と頑として譲らない(笑)。60歳の太川さんと70歳を越えた蛭子さんが本気になって旅をしている。そんな2人の姿はやはり魅力的です」
――お2人とも真面目でいらっしゃるんですね。
青山「太川さんは真面目で負けず嫌いですね。ロケでは1日2、3万歩と歩くことがあるんですけど、太川さんはロケが終わるまで、絶対に"疲れた"と言いません。逆に蛭子さんは頻繁に言いますけど(笑)。今回の"寄り道旅"は、"バス旅"よりもわりと歩くことが多いんですよね」
佐藤「実は太川さんは、なるべく蛭子さんを歩かせないように気を遣っている部分があります」
青山「こればかりは蛭子さんの本心かどうかわからないんですけど、『家でイラストを描いたりスタジオ収録の番組よりも、ロケのほうが楽しい"みたいなことを言っているらしいです(笑)」
佐藤「蛭子さんは太川さんのことをすごく信頼していますね。基本的には人見知りな方なんですけど、太川さんに対してはフランクに話せるみたいです。スタッフも皆、"やっぱり太川さんといる時の蛭子さんは取り分け面白いよね"と...」
青山「制作側が作為的なことをしなくても、太川さんとの会話の中で蛭子さんのいい部分や面白さが自然と出てくる。コンビで登場した当初は、本気でゴールしたい太川さんがのんびりしている蛭子さんにイラつく場面もありましたが(笑)、それは本気で向き合っているからこそであり、そうであるから今も続いてるんだと思いますね」
佐藤「よくある夫婦の構図です(笑)」
蛭子さんに食レポは無理(笑)
――カメラに映っていない時のお2人の様子はどんな感じなのでしょうか。
佐藤「スタッフが食事をしている間も、太川さんは"この先どうしようかな"と、ず~っと考えていて全然オフにならない。一方の蛭子さんはひたすら寝ています(笑)」
青山「太川さんは"(3泊4日のバス旅よりも)1泊2日の鉄道旅のほうが疲れる"と言っていました。鉄道旅は、その町にお住まいの方に聞き込みをし、観光地を探すためにガンガン歩きますからね。お2人とも、1泊2日の旅が終わると落ちたように寝るらしいです。疲れ方がスゴイ...と」
――バス旅よりも、やるべき要素が増えているということですね。
青山「そうですね。2人の素顔といっても、基本的にずっとカメラが回っているので、裏側がないんですよ。あの人たち食レポとかも一切しませんし...」
――食レポがないって、普通の旅番組だったらあり得ないですよね(笑)。
青山「仮にお願いしたところで、蛭子さんはできないと思います(笑)。以前、新しいディレクターが食レポを求めてしまった時があったんですけど、蛭子さんが発したのは『おいしいね』の一言でした(笑)。なので、その部分は無理せずにゴールに向けて頑張ろう! と」
佐藤「スタッフも楽しく関わらせてもらっていますよね。信頼関係があるからこそ続けてこられたのかな? と思っています」
――なるほど。イチ視聴者としては、宿泊するホテル交渉の時にやたら元気になる蛭子さんが印象的です。
佐藤「"早く寝たい!"ってね(笑)」
青山「今回の旅も、実は初日のロケが午後5時くらいに終わっちゃったんですよ。元々は、別所温泉で日帰り温泉に入ろうという作戦だったのに、いざ駅に降りたら、蛭子さんが勝手に宿の女将さんに"宿泊したらいくらになりますか?"と交渉を始めちゃって...(笑)。太川さんは翌日が不安だからもっと旅を進めたかったのに、蛭子さんに"泊まろう!"とゴリ押しされて、結局太川さんが折れるという(笑)」
――まるでわがままな子どもをあやすお父さん状態ですね(笑)。そもそも、なぜこのお2人がコンビになったのでしょうか?
佐藤「元々太川さんには、土曜スペシャルの他の企画によく出ていただいていたんです。ハードな撮影が多い中、いつも快く応じてくださったので、3泊4日のバス旅企画が始まる、となった時、"太川さんを軸にしてキャスティングを..."という運びなりました。そこには"引っかき回す役が必要だな"ということで選ばれたのが蛭子さんだったんです。
実際に始まってみると、第2回の放送でいきなり大きく距離を残してゴールできず、番組がエンディングを迎えました。当時、ゴールできない旅というのはけっこうショッキングで、"ゴールできるのか?"というドキドキ感が皆無という(笑)。もちろんそのまま放送してしまいましたが、スタッフの間で、"ゴールできないのもアリなんだ!"とざわつきましたね(笑)。そのまま放送することにこだわった結果が、今も受け継がれているという感じでしょうか」
青山「数ある土スペの旅企画でも、こんなにゆるい結末を放送している番組はなかったですからね。これをきっかけに、ゴールできない=アリになりました(笑)」
――2人の不仲が取り沙汰されたりと、ネットニュースなどでも頻繁に話題になりますよね。なぜ今、太川さんと蛭子さんがブレイクするのでしょうか?
佐藤「なぜか若者からの人気が高いんですよね。番組のInstagramのフォロワー数も多い」
青山「実は2人のインスタのフォロワー数、土スペの約8倍なんですよ(笑)」
佐藤「僕らも蛭子さんには憧れますからね。思いついたことを平気でしゃべってしまう、あの正直な感じ(笑)。それに対して、太川さんがさらに正直なツッこみを入れる。その掛け合いの妙はスゴイと思います」
青山「ロケでご一緒していると、応援したくなっちゃうんですよね。普通の旅番組は、行き先(観光地)を番組側がセッティングして、タレントさんに行ってもらう風潮が根強く残っていると思いますが、この番組は撮影交渉も自分たちでやってもらいますので、視聴者の皆さんも友達同士で旅行に行く感覚に近いのかもしれないですね。2人で楽しもうとしているドキドキワクワク感が、あらゆる世代に受け入れられているのかなと思います」
――あと、マドンナによってテンションが違いますよね?(笑)
青山「それはありますね。蛭子さんが今一番好きなのは、以前の鉄道旅にも出演した鈴木奈々ちゃん。なんだかんだ言って、女性は好きみたいです(笑)」
佐藤「圧が強いタイプの女性になると、敬語になっちゃうんですけどね(笑)」
――では最後に、レギュラー番組となって帰ってくる「太川蛭子の旅バラ」について、見どころを教えてください。
佐藤「とにかく2人が頑張っている姿を見ていただきたいです。いい部分は残しつつ、若干作り方も変えているので、若い世代の方にも見てもらいたいですね」
青山「旅番組なので、全国各地のキレイな景色にもこだわって作っています。どうぞお楽しみください!」