弱冠12歳でモデルデビューした吉川ひなのさん。抜群のスタイルとイノセントな雰囲気は当時の憧れ。個性的なキャラクターは、バラエティ番組でも引っ張りだこ。瞬く間にスターへの階段を駆け上がった。後編では、芸能界という特殊な場所から、今のヘルシースタイルに辿りつくまでの気持ちの揺れ動きを明かしてくれた。お気に入りのフィットネスウエアに身を包み、日々のワークアウトも披露!
娘を自分の世界に巻き込みたくなかった
――東京を離れ、ハワイへの移住を決めた理由は?
中学生から芸能界にずっといたので、私にとって東京は、生活の場ではなく、働く場所なんです。朝、事務所の人が家に迎えに来て、テレビ局やスタジオを移動して、夜になったら家に送ってもらうだけの場所。どこにいるかもわからず、連れていかれるがまま、仕事をしてて、生活をしている感覚はまったくなかったんです。20年以上、東京で働いているけど、いまだに東京の道はまったくわからないですし。一歩、家から外に出れば、「吉川ひなのじゃない?」と常に人に見られ、好奇の目を向けられるので、家にいるしかなくて……。すごく大きな責任と覚悟を背負ってやらなければいけない仕事ですし、家庭環境的にも私が働かなきゃいけなくて、そうやって生きるのが当たり前と諦めていたところもありました。
でも、娘を生んだことで、“この子の母親”という肩書きをいちばん大切にしたいと思ったんです。それで、もう遠慮しなくていいやって、すべて吹っ切れました。どうしても、私といると「吉川ひなのの娘」として、私が子供の頃に味わった好奇の視線が向けられてしまう。私の娘ではなく、この子にはこの子の人生を生きてほしい。私の世界には絶対に巻き込みたくない。そう強く思ったら、私が上手く過ごせなかった場所、東京から物理的に離れる必要がありました。
自然によって癒される場所が必要だった
――ハワイに移住して、いかがでしたか?
自分の行きたい場所にも行けるんだ、こういうふうに生活って送るんだと、いろんなことが新鮮でした。ポジティブに考えられるようになったのも、ハワイの陽気な気候に救われたから。ハワイにいると、落ち込みようがないんですよ。海も、空も、木も、花も「大丈夫だよ」って毎日言ってくれているみたいで。そういう場所が、私には必要だったんだなって思いましたね。
――自然に助けられたんですね。
中学生から芸能界で仕事をしてて、どんどん土から離れていってたんだなって。小さい頃は虫が大好きで、遊んでいたのに。そのことを思い出して、虫の克服から始めて、娘にもキレイな空気をいっぱい吸って、人間が作ったものよりも自然と一緒に遊びながら育ってほしいなって。自然がいっぱいのハワイとヨガは相性抜群で、不思議と勝手にカラダを動かしたくなるんです。ハワイ島のジャングルに3週間籠ったこともあります。そうやっていくうちに、私も昔の自分を取り戻していけました。
何も気にしない! ハワイの海で “どうでもいい療法”
――ずいぶん前からサーフィンをしたり、海は、日本にいた頃から近い存在だったのでは?
仕事が忙しかった20代の頃は、海の近くにセカンドハウスを借りて、できるだけ行っていました。海に行くことで、なんとかバランスを保っていたように思います。2年ほど前、沖縄のヒーリングができる方に会いに行ったら、「波の音が聞こえる。傷ついたあなたを海が癒してきたけど『まだまだ癒してあげないと』って海が言っている」と言われたんです。それが本当なのかはわからないけども、私の中では、当時、置かれていた状況と海を求めていた気持ちが繋がって、海にすごく感謝しました。
ハワイに移住してからも、タオルも持ってないのに、突然、海に飛び込んじゃったり。塩でベタベタのまま運転しなきゃいけないけど、そんなことはどうでもよかったんですよね。それで “どうでもいい療法”と名付けたんですけど(笑)、海に癒され、子供達が自然の中で遊んでいる姿を見ながら、どんどん気持ちが満たされていきました。
自分がやりたいことを自由にできる幸せ
――東京での仕事が順調だったのに、ハワイへ拠点を移すことは、大きな決断だったのでは?
「ハワイに行く。それでも仕事をする」と伝えると、全員に「そんなことできるわけがない、無理だ」と言われました(笑)。でも、「全責任は私がとる。無理だったら、その時に考える」と答えたんです。
――ご自身でビジネスを行うように。
オーガニックコットンの子供服ブランドは、娘がすごく気に入ってくれていますし、私自身もすごく楽しいです。可能性もすごく感じているので、大きく育てていきたいと思っています。マスカラは、これまで芸能界でお仕事させてもらったことを活かせています。
――ビジネスをやっていく中で知った、自分はいますか?
やりたいことに対して、どうしたら実現できるか、プロセスを組み立て、目標達成するのが好きなんだなって。お金のことは、もともと苦手だと知ってましたけど、やっぱりそうなんだと改めて知りました(笑)。最初は、恥ずかしながら「“お世話になっております”って何⁉」というところからのスタートでしたけど、自分がやりたいことをできているので、すごく楽しい。全責任を自分で取ると決めたことで、自由に生きる楽しさを得られたんです。
「自分の人生が愛おしくてたまらない」
――こうしてお話を伺っていて、今、すごくポジティブで、幸せなのが伝わってきます。
ずっと「生活って何?」っていう人生しか生きてこなかったから、ただ生きてるだけで、幸せで仕方なくて! 子供達を見ていると自然と笑顔になりますし、仕事をしていても本当に楽しいんです。
仕事で東京に戻ってくると、毎回「おかえり」と言ってくれる人がいっぱいいて、私の居場所があるんだって思えます。東京を離れたことで、東京が好きになれたんだなって。「あの人にも会いたかったな」って思いながら飛行機に乗れる人生って、本当に幸せ。今、自分の人生がすごく愛しい!
サプリメントのプロデュースを開始!
――先ほど話に出たオーガニックコットンの子供服ブランドやマスカラに加え、新しくサプリメント『meal drop』のプロデュースを、始めました。その理由は?
パーソナルトレーナーの兄と、「栄養は本当に大事だね」と話し合ったことがスタートでした。私自身もヨガやワークアウトを習慣的にやっているので、こういうライフスタイルに合うサプリを作ることは自然な流れでした。パッケージは、空、海、大地からなる地球をイメージしました。というのも、本当に地球ってキレイな星だと思うんですよ。地球には私たちが生きるのに必要なものがすべて揃っています。そんな地球の恵みを取り込めるサプリメントが、私が手掛けた『SMILE』です。兄は、巡りにフォーカスした『VEIN』。もちろん、一緒に飲んでもらって大丈夫です。
ーーハワイの自然に癒され、生まれ変わった吉川ひなのさんのこれからの活動も、目が離せない。
photo: Shotaro Matsumoto Text: Sakiko Koizumi