cat_12_issue_oa-vi-gokyouryoku oa-vi-gokyouryoku_0_emy82eo2z083_佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第4回「挑戦はつづく」 emy82eo2z083 emy82eo2z083 佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第4回「挑戦はつづく」 oa-vi-gokyouryoku 0

佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第4回「挑戦はつづく」

映像実験番組『ご協力願えますか』の新シーズン『またまた、ご協力願えますか』も、いよいよ最終回!
最後の最後まで、 挑戦的な “ご協力” が集まっています。どうぞ全画面にしてお楽しみください。

前回の、第3回「傾きスペシャル!」では、「傾き」を軸に、映像の世界と現実世界との「重力系」の関係性に着目した表現を、まとめてお届けいたしました。

今回も、新しいアプローチのご協力を開拓し続けていますので、どうぞ、心して、お楽しみください。

この記事では、第4回(最終回)に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

それでは、スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、またまた、お楽しみください。

ご協力その1「スリー・ピークス」 ー 身体の拡張と、指先を起点とした主観映像

あなたがスマートフォンの両端を指先でつまむと、その「つまむ」という行為を映像が勝手に活用し、白いハンカチがパタパタと折られていきます。まるでハンカチの端と端をつまんでいるような気持ちに駆られます。そして、やがてハンカチの「スリー・ピークス」と呼ばれる折り方が完成し、タキシードの胸ポケットにあしらわれます。映像手法の一つに、客観的なカメラ・アングルではなく、主人公の目線など、主観的なカメラ・アングルで撮影するPOV(Point of view)方式というものがありますが、この映像は、指先とカメラが固定されているかのような独特なPOVによって、画面の中のハンカチをつまむという身体の拡張を起こしています。

ご協力その2「狼煙(のろし)」 ー 指先の温度感と映像のマッピング

人差し指と親指をこすり合わせると、映像の中でジワジワと煙が立ち上ってきます。煙を使って遠くに何かを知らせる「狼煙(のろし)」という古来の情報伝達方法です。指をこすり合わせる事で、摩擦によって私たちの指先に生じる微かな熱い感覚が、映像の中の煙を発生させているであろう火の元に頭の中で都合良くマッピングされます。結果、指をこすり合わせるという行為と立ち上る煙との間に因果関係が結ばれてしまいます。

ご協力その3 「ご協力ねずみ エレベーター」 ー "物語" への積極的参加と、視点移動の再現

二階に上がりたいご協力ねずみ。しかし、乗り込んだエレベーターが動き出しません。そこで、あなたにスマートフォンを上に移動させることを依頼してきます。そして、あなたが指示に従うと、カメラのアングルが上に移動し始めます。本来、映像はただ画面を見ているだけで、勝手にカメラが移動したり切り替わったりして、私たちに見るべき対象や視点を提供し、世界を様々な目線で映し出してくれるものです。しかし、今回のご協力ねずみでは、その視点の動きを視聴者が現実世界で再現することによって、アニメーションの世界の一階と二階との位置関係が、現実世界の中に立ち現れてきます。無事に二階に上がったご協力ねずみ。ところで、小脇に抱えた荷物は一体何なのでしょうか…

加藤小夏の “ちょっと” ご協力願えますか「背中」 ー 身体の拡張と過失

ソファでくつろぎながら読書をしている小夏さん。ふと背中が痒くなり背中を搔こうとしますが、すぐに手が届かないことに気付き、あなたにスマートフォンの裏を掻くようにお願いしてきます。小夏さんの細かい指示に従い、だんだんと小夏さんが掻いてほしい場所が分かってきますが、掻くことに集中しすぎたせいか、あたなにはまったく悪気はないのですが、小夏さんの羽織ったカーディガンの背中に穴が開いてしまうという事件が発生します。映像の中の背中を掻くという身体の拡張と、それによる思わぬ過失。小夏さんに責めるような目を向けられ、どのような気持ちが起こったでしょうか。

ご協力その4「りんご100%」 ー 身体の拡張による、特殊な因果関係の成立

あなたがスマートフォンを強く握ると、身体の拡張によって映像の中のリンゴが細く削られて、その奥にあるコップにジュースが溜まっていきます。現実にはあり得ない不思議な状況ですが、「削られたリンゴがジュースになってコップに溜まったのだ」という解釈が、疑いの余地なく成立してしまったのではないでしょうか。さらに、そこに手が伸びてきてジュースが飲まれてしまうと、ジュースが減ったことによってリンゴが戻らない、ということにも、納得感が生まれてしまいます。

ご協力その5「小さなお別れ」 ー 身体の記憶とノスタルジー

あなたが手をグーの状態からパーの状態に開くと、スマートフォンの中で風船が空へと昇っていきます。この映像を見ている何人かの人は、幼少期に風船をうっかり手放してしまい、取り戻すことができずに悲しい思いをした記憶を持っているのではないでしょうか。あるいは、その具体的なシチュエーションまでは覚えていなかったとしても、この黄色い風船を目で追いかけながら感傷的な気持ちが湧いてきた人は、風船を失ってしまった思い出が「身体の記憶」として、その手のひらに残っているのかもしれません。

以上、第4回に収録されている「ご協力」全6つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

ご好評いただきました「ご協力願えますか」のシーズン2も、これにて終了です。
またいつかお会いすることができたら、そのときは、何卒ご協力の程よろしくお願いいたします。

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『テキシコー』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、LINE上の「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

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佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第3回「傾きスペシャル!」

映像実験番組『ご協力願えますか』の新シーズン『またまた、ご協力願えますか』も、いよいよ後半戦に突入。
今回は、「傾きスペシャル!」と題して、スマートフォンを大きく傾けることによって生まれる不思議な体験を味わっていただきます。どうぞ全画面で、そして画面を固定モードにしてお楽しみください。

前回の、第2回「新しい波、来たる」では、スマートフォンと身体の関係性に着目した表現手法が、様々なアプローチによって開拓できることを感じていただけたのではないかと思います。

そして、今回の傾きスペシャル!でも、また違ったアプローチで新しい試みに挑戦していきます。
シーズン2のために企画されたアイデアから、映像を傾け、重力系との関係性を意識することで成り立つ映像表現をまとめました。

この記事では、その第3回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

それでは、スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、またまた、お楽しみください。

ご協力その1「夏は夜」 ー 身体とメディアの状態がコンテンツの表現を強める

あなたがスマートフォンの角を指先でつまんでぶら下げると、暗い画面の中で線香花火に火がつきます。
ただそれだけの、何の変哲もない映像ですが、「指先でぶら下げて持つ」という身体の状態、そして傾いていることによって不安定になったスマートフォンから伝わる身体的フィードバックが映像の内容と同期し、線香花火が燃え尽きるまでの儚い時間の体験が、私たちの中に立ち上がってきます。

ご協力その2「台りべす」 ー メディアの状態による解釈の変換

スマートフォンの中で、男性がすべり台を逆走して「登っていく」映像が流れます。
これをスマートフォンを傾けながら見ることによって、現実世界の重力系が映像内に影響を及ぼしたような感覚が得られ、すべり台を逆向きに「すべり下りる」という不思議な解釈が生まれます。

ご協力その3 「ご協力ねずみ ねずみ返し」 ー "物語" への積極的参加

チーズやりんごを求めて、弟と一緒にテーブルの脚を登っていくご協力ねずみ。古来よりねずみを避けるために用いられてきた「ねずみ返し」を乗り越えるために、あなたにご協力をお願いしてきます。
そして、スマートフォンを完全に横に傾けることにより、映像の天地が縦から横に切り替わり、ねずみたちは新しい重力を当たり前のように受け入れます。(セリフまでこの新しい重力にちゃっかり適応しています)
しかし、無事に「ねずみ返し」を乗り越えるご協力ねずみでしたが、チーズやりんごは新しい重力の方向へと落下してしまい、目論見は大きくはずれてしまうのでした。

加藤小夏の "ちょっと" ご協力願えますか「目覚まし」 ー 手のひらの上で転がす

今回の「加藤小夏の "ちょっと" ご協力願えますか」は、朝寝坊しそうになる小夏さんを叩き起こすために「昨夜の小夏」からご協力をお願いされる、というイレギュラーな構造です。
手首をひねってスマートフォンを傾けるというご協力は、手のひらの上で、ミニチュアのベッドを傾けるかのようです。そして、それによって見事に床に投げ出される小夏さん。
今までと違って、ご協力がまんまと成功した(昨夜の)小夏さんでしたが、よく見ると、せっかく目を覚ますことができた小夏さんは、再びベッドに潜り込んでしまっているのです。

ご協力その4「すべり棒」 ー 重力と空間の不条理な変換

真っ白な空間に、なぜか設置されたすべり棒と、やはりなぜかそのすべり棒に捕まっている男。男は棒を伝ってゆっくりと降りていってしまいます。
そして、あなたがスマートフォンを上下逆さまにすると、重力が変換されたことによって男が再び穴から戻って来ますが、なぜか男も上下が逆さま。戻ってきたようでもあり、下の階の天井から出てきたようでもあり。重力とともに、空間までもが理不尽に変化されたとき、どのような解釈が生まれるでしょうか?

ご協力その5「コペルニクスの秒針」 ー 身体の拡張によるコペルニクス的転換

壁にかかった時計の映像。12時になった瞬間にあなたがスマートフォンをギュッと握ると、映像の中の秒針が固定され、コペルニクスによってもたらされた「天動説から地動説への転換」のように、秒針を中心に世界が回り始める、という私たちの常識を超えた現象が起こります。
映像の中でかなり小さな、局所的な要素でも、「握る」という身体的行為の拡張はしっかりとマッピングされます。

以上、第3回に収録されている「ご協力」全6つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

次回はいよいよ最終回。
遂にフィナーレを迎える「またまた、ご協力願えますか」を、引き続きお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『テキシコー』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、LINE上の「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

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佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第2回「新しい波、来たる」

2019年に好評を博した映像実験番組『ご協力願えますか』の新シーズン『またまた、ご協力願えますか』が始まりました。
この番組は、視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「協力」をしてもらう事で初めて成立する少し変わった番組です。どうぞ全画面でお楽しみください。

前回の、第1回「得も言われぬ気持ち、ふたたび」では、スマートフォンと身体の関係性に着目した表現の可能性が、まだまだ尽きないことを感じていただけたかと思います。
今回は、手首を固定したり、スマートフォンの重さを感じたり…ますます、新しいアプローチの「ご協力」の数々が登場します。

この記事では、その第2回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、またまた、お楽しみください。

ご協力その1「給電」 ー 拡張された身体性への信頼感とその喪失

あなたが導線の先端に当たる部分を両手の指先でつまむと、豆電球が点灯します。それを見ると、自分がまるで電源になったような気持ちが生まれてきます。さらには、念を入れると光り方が強くなり、ますます自分の給電力に対して信頼めいたものまでも芽生えます。その後の電球の破裂は、ある種のカタルシスと同時に、そんな虚構から目を醒まさせます。

ご協力その2「針穴チャレンジ」 ー 映像のコンディションと身体のコンディションの同期

突然、針穴に糸を通そうとするアップの映像が流れます。指先は不安定で、糸はなかなか通りません。それが、あなたが手首をグッと固定すると、映像はピタッとFIXし、糸は一発でスッと通ってしまいます。
「手先の針の映像を、手先のスマホで見る」という、特異な構造によって、映像の状態と身体の状態が強く結びつきます。

ご協力その3 「ご協力ねずみ チュロ美ちゃんを救え」 ー "物語" への積極的参加

ご協力ねずみのガールフレンドと思しき「チュロ美」が猫に囚われ、テーブルにロープで縛り付けられています。あなたがねずみに協力を依頼され、スマートフォンの縁を親指で押さえると、猫は「なぜか」身動きが取れない状態になります。視聴者であるあなたの存在にまでは思い至りません。この物語においては、ご協力ねずみだけが唯一、あなたとコミュニケーションをとることができるのです。それによって、チュロ美の救出作戦は無事に成功を収めます。

加藤小夏の “ちょっと” ご協力願えますか「カボチャ」 ー 身体の拡張と過失

台所で、固いカボチャに包丁が入らずに困る小夏さんが、あなたに、スマートフォンの裏をタテに一回なぞることをお願いしてきます。その結果、カボチャは見事に切れるのですが、しかし、なんとその下のまな板まで真っ二つに切れてしまいます。
映像の中のカボチャを切るという「身体の拡張」が起こると同時に、まな板まで切ってしまい、小夏さんにまで責められ、あなたは、いわれのない責任を負わされることになるのです。

ご協力その4「四国シュリンク」 ー 体性感覚と視覚のリンク

体性感覚とは、生理学の用語で皮膚、関節、筋肉、内臓などがセンスしてしまう感覚で、眼とか耳のように外から見える感覚器がセンスする視覚とか聴覚とかと違います。「四国シュリンク」では、息を吸った時に私たちの内部で感じる体性感覚と縮まっていく線のアニメーションを見る視覚とがシンクロします。ご自分の肺の感覚とアニメーションの動きが一致した時、どんな気持ちになりますか。

更に込み入ったご協力「はかりの気持ち」 ー 映像と体験の妙な関係

通常、自分が手に持っている物が何グラムかなと意識することはあまりありません。しかし、あなたの手のひらに乗っているスマホの映像の中で、はかりにスマホが置かれ、針が動き「あなたが手のひらで感じている重さは、だいたい150グラムです」と言われると、その時、自分の手のひらに置いたスマホの重さを意識することになります。映像の中のはかりが測っている重さと自分が感じている重さが同じ(ほぼ)だという妙な構造に、なんとも言いようのない気持ちが生まれます。

以上、第2回に収録されている「ご協力」全6つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

それでは、まだまだ続く全4回の『またまた、ご協力願えますか』を、引き続きお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『テキシコー』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、LINE上の「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

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映像と現実がリンクする!? 新しいコンテンツ体験「ご協力願えますか」

通信技術の発達に伴い、私たちの生活に動画コンテンツが浸透しつつあります。友達との待ち合わせをしているとき、ひとりでお昼ごはんを食べているとき、なかなか眠れないとき…。手のひらにあるスマホをタップするだけで、そこに無限の世界が広がる時代が訪れたのです。

そんな時代の到来を受け、LINE NEWSでも『VISION』という縦型のオリジナル動画サービスを運用しています。なかでも話題を集めているのが「ご協力願えますか」。これはピタゴラスイッチの企画制作でも知られている東京藝術大学映像研究科の佐藤雅彦教授が、佐藤研究室の修了生たちと生みだした今までにない映像実験番組です。

この番組の特徴は、ユーザーが「協力」することで成り立つ、ということ。たとえば、スマホを強く握ったり、裏面を指でなぞったり、画面を見ながら息を止めたり。画面の向こうから要求される、ちょっと妙な「協力」に応じることで、動画と自分とが重なり合うような「一体感」を得ることができます。そこで湧き上がるのは、いままでに体験したことのないような得も言われぬ気持ち。「ご協力願えますか」は、その新しい気持ちをユーザーに届けることを目的としているのです。

そしてこの度、多くの反響を得た本作は、シーズン2をリリースする運びとなりました。

この記事では、シーズン1をまだ見ていない!という方のために、コンテンツのナビゲーターを務める女優の加藤小夏さんが、特に印象に残っているという映像を3つピックアップしてくれています。

リリースされたばかりのシーズン2が視聴できるリンクも用意しているので、ぜひ、最後までお付き合いください。

ナビゲーター・加藤さんが選んだ、おすすめコンテンツは?

加藤さんチョイス1:空き缶

「空き缶を潰す」という行為をインタラクティブに表現したこちら。スマホをギュッと握ると同時に、画面のなかにある空き缶も見事に潰れてしまうのです。握るという触覚情報と、缶が潰れたという視覚情報を同時に得ると、人は自ら缶を潰したかのような気持ちを覚えます。これは映画の4DX上映などでも取り入れられている、視覚や聴覚以外の刺激をプラスした映像コンテンツです。

「シーズン1の最初に体験した空き缶は衝撃的でした。手を開く指示はないのに、気づいたら勝手にタイミングを合わせて手を開いてしまい、やられたなぁと思いました」(加藤さん、以下同)

加藤さんチョイス2:にぎにぎサスペンス

「映像の中の身体であっても、視覚情報と行為が同期したら、自分と認めるのではないか」という仮説に基づいて制作されたこちら。画面に写し出された手の動きに合わせて自分の手を動かしていると、ある瞬間、映像の手が自分の手であるかのような錯覚を覚えるのです。映像と身体が同期したら最後、驚きの展開が待ち受けています。

「映像内に自分の手が本当にあるような感覚。完全に安心し切ってにぎにぎしている時に出てくるナイフには本当に冷や汗が出ました。痛くないのに痛い…!」

加藤さんチョイス3:砂糖バキューム

画面のなかにあるのは、器に盛られた白砂糖。息を吸い込むと、砂糖も口元へと吸い込まれていきます。そして次の指示で息を吐くまでの間、その砂糖は身体のなかにイメージとして保持されるのです。さらに、息を吐き出すと、砂糖は金平糖に姿を変えます。真っ白だった砂糖がカラフルな金平糖に姿を変えたことで、その原因がユーザーの身体に依拠しているような気持ちがもたらされます。

「絶対に私生活ではありえないからこそ擬似体験ができるのは幸せでした。子どもの頃にこのコンテンツを体験したら、夢のようでもっと楽しかっただろうなあと思います。金平糖食べたいって駄々こね始めちゃうかもしれませんが(笑)」

「ご協力願えますか」の面白さ

一つひとつのコンテンツをユーザー目線で楽しみ、その魅力を伝えてくれた加藤さん。次世代の映像コンテンツとも言える「ご協力願えますか」全体に通ずる面白さを、次のように評してくれました。

「普段だったら決して触れることのできない映像の中身を、あたかも自分で動かしているような感覚を得られる。そして自分の心も動かされている。今までに無い体験で、とても不思議で夢の中みたいな企画でした」

そう、この「ご協力願えますか」の面白さは、実体を持たないサイバー空間である映像世界と、私たちが生きる現実世界とが重なり合うところにあります。

インターネットの普及により、私たちの世界は現実以外へと“拡張”していきました。スマホやPCの画面を覗き込めば、実際にはありえない世界が広がっています。ただし、それはあくまでも現実とは切り離された、仮想の世界。目や耳で楽しむことはできたとしても、それ以外の身体感覚を伴った“体験”とは程遠いものだったのです。

ところが近年、ARやVRをはじめとするメディア技術の進歩によって、現実と仮想世界とが重なり合うようになりました。それは私たちの暮らしを豊かにする可能性を秘めた、大いなる前進だとも言えます。

そして、「ご協力願えますか」で体感できるのは、メディアによる身体性の拡張や現実世界との新しい関係が生む不思議な感覚。それは、まさに唯一無二のもの。佐藤教授が「映像実験番組」と謳うように、「ご協力願えますか」は、まだ知らない自分の感覚の拡がりを試す壮大な実験でもあります。このコンテンツを通じて人の身体とメディアの関係の面白さがわかれば、私たちの生活はもっと豊かに発展していくはずです。

ついにスタートした「ご協力願えますか」シーズン2。今度はどんなコンテンツが、私たちを楽しませてくれるのでしょうか。引き続きナビゲーターを務める加藤さんは、ユーザーに向けてこうコメントしてくれました。

「お久しぶりです。加藤小夏です。突然ですがまたまたご協力願えますか? 今回も皆様のお力があって初めて映像は完成します。ちょっと息抜きに、暇つぶしに、移動中に、お家での時間に、ぜひ、お楽しみください」

気になる「ご協力願えますか」シーズン2の動画はコチラからご覧になれます。


【文:五十嵐 大】

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佐藤雅彦研究室の『またまた、ご協力願えますか』 第1回「得も言われぬ気持ち、ふたたび」

皆様、ご無沙汰いたしております。2019年に配信された映像実験番組『ご協力願えますか』の新シーズンが始まります!
この番組は、視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「協力」をしてもらう事で初めて成立する少し変わった番組です。どうぞ全画面でお楽しみください。

映像をただ観るのではなく、観ながらスマートフォンを斜めに傾けたり、角を指でつまんだり、上下逆さまにしたり… そんな妙な「協力」の数々によって、今までに体験したことのない「得も言われぬ気持ち」が、皆さんの胸の中に沸き起こります。

こんなにも面白く、新しい体験が生まれるのは、人類が、スマートフォンというメディアによって、初めて映像を手に持てるようになったからに他なりません。つまり映像は観るだけのものだったのが、それだけでなく自らの手で持ち上げたり、斜めにしたり、というように扱えるものにもなったのです。そして、スマートフォン上の映像と身体の関係を研究すると、そこには、今までにない表現が生まれる可能性が溢れていたのです。

私たちは今回、シーズン1の反響も受けて更なるチャレンジを続け、再び、全4回のエピソードを構成しました。
この記事では、その第1回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

そして、スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、またまた、お楽しみください。

ご協力その1「机上のかんな」 ー 触覚情報が視覚情報に変換される

あなたがスマートフォンの裏面に指先を擦り付けると、映像上の「かんな」からかつお節が出てきました。まるで、かんなという変換マシンによって、指が削られ、かつお節という「イメージ」に置き換えられ、あなたは、かつお節が自分の身体の一部であったかのような気持ちを抱きます。そして、それが猫に食べられてしまうという体験は、生まれて初めてのとんでもない体験なはずです。

ご協力その2「トントンプラモデル」 ー 映像手法と身体感覚のマッチング

プラモデルが組み立てられるこの映像は、ストップモーションアニメーションと呼ばれる映像手法によって作られています。これ自体は、目にすることの多い一般的なものですが、それをスマートフォンの角を指先でトントン叩きながら観ることによって、まるでそこに関係性があるかのような、新しい感覚が芽生えます。

ご協力その3 「ご協力ねずみ 冷蔵庫のうら」 ー "物語" への積極的参加

“ねずみが50円玉を手に入れ損ねる”という物語を見ていると、途中で突然、ねずみがあなたに「あるご協力」を求めてきます。あなたがスマートフォンを斜めに傾けると、ねずみの思惑通りに50円玉が戻ってきますが、それが起因して500円玉も出てくるという想定外の結末を、あなたとねずみは同時に享受することになります。

加藤小夏の “ちょっと” ご協力願えますか「物干し竿」 ー 身体の拡張とその失敗

前回は「ご休憩コーナー」の担当だった加藤小夏さんが、今回はご協力をお願いして来ます。第一回は「物干し竿」編。映像の中の物干し竿を、外側から指で支えるという「身体の拡張」が起こりますが、小夏さんがお気に入りのワンピースを体に当てがってこちらに見せてくれるタイミングで、物干し竿が落ちてしまいます。ワンピースに意識を奪われて指の力を緩めてしまった人にとってはそれを見抜かれたような気持ち、しっかり押さえていた人にとっては、あたかも濡れ衣を着せられたような気持ちが起こるかも知れません。

ご協力その4「ろうそく東京タワー」 ー 身体の不条理な拡張

スマートフォンに息をフーッと吹きかけると、ろうそくの灯が消えるかと思いきや、わずかに炎が揺らぐだけで、消えずに持ちこたえます。しかし次の瞬間、背景にぼやけて見える東京タワーの照明が消灯します。成立するはずのない因果関係が、ろうそくの存在が橋渡しとなって、理解されてしまいます。

ご協力その5「ヨット」 ー 身体によるトリミング

折り紙の遊びのひとつに「だまし舟」というものがあります。それは、折り紙で作ったヨットの向きを、相手が持ったままで、縦から横に変えるというものです。この映像はそれを包み隠さずに写しているだけなのですが、テロップによって、途中から画面の下半分を手で隠すことを要求されます。その隠された部分で何が行われていたのか、それは映像をもう一度、手で隠さずに再生してみない限りは見ることができません。どのようにトリミングするかによって意味の変わる映像を、身体によって実体験することができます。

以上、第1回に収録されている「ご協力」全6つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

それでは、全4回の「またまた、ご協力願えますか」を、どうぞお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『テキシコー』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

cat_12_issue_oa-vi-gokyouryoku oa-vi-gokyouryoku_0_2483c51534f5_佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第4回「最終回はちょっとアドバンスト」 2483c51534f5 2483c51534f5 佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第4回「最終回はちょっとアドバンスト」 oa-vi-gokyouryoku 0

佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第4回「最終回はちょっとアドバンスト」

スマートフォンを使って数々の新しい体験を模索してきた『ご協力願えますか』も、いよいよ最終回。全4回の本編映像を、楽しんでいただけたでしょうか?
『ご協力願えますか』は、視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「ご協力」をしてもらう事で初めて成立する映像実験番組です。


次々と求められる様々な「ご協力」をすることで得られる、初めての映像体験をご鑑賞ください。

この記事では、第4回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。
最終回となる第4回は、今まで体験していただいた「ご協力」たちを土台とした、ちょっとアドバンストな内容になっています。
どうぞ、本編映像を見てから、解説を読んで理解を深めてください。

ご協力その1「砂糖バキューム」 ー イメージの保持と変換

あなたが息を吸い込むと、砂糖があなたの口元へと吸い込まれていきます。そして、次の指示で息を吐くまでの間、その「砂糖」はあなたの身体の中にイメージとして保持されることになります。
さらに、吐き出したときにそれが「金平糖」に姿を変え、カラフルに色まで着いているという結果について、その原因があなたの身体に依拠しているような気持ちがもたらされます。

ご協力その2「流砂」 ー 視覚と触覚の感覚的親和性による、意味を超えた表象

スマートフォンを持っている手の甲の皮膚を指でつまんで引っ張ると、画面上の砂がその一点へ流れ込んできます。要求される手の動作も、映像も、慣れない非日常的なものであり、その因果関係も意味の通らない不条理なものです。しかし、実際に体験してみると、この映像からは他の「ご協力」に負けずとも劣らない強い表象(気持ち)がもたらされます。それを成り立たせているのは、流砂のベクトルと手の皮膚の引っ張られるベクトルが同期していることに加え、映像の中で起こっている現象と、手の皮膚の触覚との間に、意味を超えた感覚的親和性があることなのではないでしょうか。

ご協力その3 「ご協力ガエル 嫉妬」 ー 存在するレイヤーの違いを利用した共謀

舞台は、ご協力ガエルくんの結婚式。幸せそうなケロ美に嫉妬したネタ美とソネ美(右側の二人)は、カラスのカー吉と共謀して、ケロ美への嫌がらせを企てます。そして、いち早く、その企てに気づいたご協力ガエルくんは、視聴者であるあなたに協力を求め、それをなんとか阻止しようと試みます。ご協力ガエルくんは物語の中で唯一、あなたの存在を知っている仲介役のようなキャラクターです。そのご協力ガエルくんと共謀することで、完全に「物語の外側」にいるあなたは、完全に「物語の内側」にいるネタ美の頭にフンを落とす張本人になってしまいます。

ご協力その4「反抗期」 ー 表象の成立と裏切り

スマートフォンを手前に傾けると、色とりどりのボールが転がってきます。傾きを検知する「加速度センサー」を使っていなくても、ただタイミングが合うだけで、自分の動作とコンテンツとの間に因果関係を感じてしまいます。これだけなら、とてもストレートなご協力の関係性ですが、この「反抗期」では最後に一つだけ、それに逆らう動きをするボールが現れます。わざわざご協力をして成立させた関係性を、わざわざ裏切られたとき、あなたはどのような気持ちになったでしょうか?

更に込み入ったご協力「卵CTスキャン」 ー 拡張現実的表象

水平に持ったスマートフォンをゆっくり上下させると、CTスキャンのようにゆで卵の断面が表示されていき、スクリーンを目に見えないゆで卵が通過したかのような拡張現実的表象が得られます。第1回に収録されていた、りんごをキャッチする「ニュートン」と違い、ただそこに物体があるかのような感覚だけではなく、物体の断面が見えるという不思議なことが起こっていますが、それすらも何ということはなく理解してしまう自分がいることに気がつくはずです。

以上、第4回に収録されている5つの「ご協力」の解説でした。
今回は、最終回ということもあり、今までの「ご協力願えますか」よりも、少し進んだ内容で、鑑賞が難しかったかもしれません。少しでも楽しんでいただけた皆様は、かなりのご協力マニアかもしれません。

また、最終回の「加藤小夏のご休憩タイム」は、一見なんてことのないシンプルな映像に見えるかもしれませんが、実は、影と光源に関するある一つの真理が、とてもわかりやすく露見しています。
机の上にLINEという文字を描き出す鉛筆の影。それを照らしていた光源の位置に、カメラを移動させると…、なんとまたLINEの文字が。しかも、今度は、実体の鉛筆で。果たして、何が、どうなって、こんなことになったのでしょうか?考えてみると、楽しいですよ。


さて、全4回の「ご協力願えますか」、いかがでしたでしょうか?
スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、感じていただけたでしょうか。

スマートフォン上の映像と身体の関係。本作の制作を通して、私たちは、そこに鉱脈を掘り当てたかのように、たくさんのアイデアと出会うことができました。そして、まだまだ、新しい表現の可能性は尽きていないと感じています。
皆様にとってこの番組が、メディアと身体の関係や、新しい映像表現について、考えるきっかけになったとしたら、幸いです。

またいつか、ご協力いただける日が来るのを楽しみにいたしております!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

cat_12_issue_oa-vi-gokyouryoku oa-vi-gokyouryoku_0_f3134e67a95e_佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第3回「一筋縄ではいきません」 f3134e67a95e f3134e67a95e 佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第3回「一筋縄ではいきません」 oa-vi-gokyouryoku 0

佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第3回「一筋縄ではいきません」

全4回の『ご協力願えますか』も、いよいよ後半戦に突入です。あなたは、もう体験していただけましたでしょうか?

『ご協力願えますか』は視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「ご協力」をしてもらう事で初めて成立する、スマートフォン専用の映像実験番組です。

次々と求められる様々な「ご協力」をすることで得られる、初めての映像体験を、どうぞお楽しみください。

この記事では、第3回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。
今回は、一筋縄ではいかないツワモノ揃いの内容になっています。
どうぞ、本編映像を見てから、解説を読んで理解を深めてください。

ご協力その1「にぎにぎサスペンス」 ー 自分は、どこまでを自分と認めるのか。映像と行為のシンクロが生む自己の拡張

映像の中の手を見ながら、それに合わせて自分の手を動かしていると、ある瞬間、映像の中の手が自分の手であるかのような妙な錯覚が起こります。その錯覚がうまく立ち上がった人ほど、最後にナイフが差し出されたときに「ギョッ」となったのではないでしょうか。
この「にぎにぎサスペンス」は、「映像の中の身体であっても、視覚情報と行為が同期したら、自分と認めるのではないか」という仮説に基づいています。
赤ん坊は、自分の手をにぎにぎしながら、それを見つめることによって、自分の存在を確認し、さらには自分という意識を持ち始めると言われています。
そのような原初的な身体の動きを使って、スマートフォンという映像装置と身体の関係性を探ろうと試みました。

ご協力その2「3本の色鉛筆」 ー 身体性の拡張と、都合のいい満足と快感の受容

指示に従ってスマートフォンの背面で指を滑らすと、3本の色鉛筆がスパッと切断され、先端がバラバラと散らばります。
このとき、触れることのできないはずの映像の中の色鉛筆に影響を及ぼす、という身体性の拡張が起こっていますが、レーザーのように鉛筆が綺麗に切れるという結果は、そんなこと自分では無理無理という気持ちを引き起こすどころか、自分にはこんな凄いことが出来るんだと肯定的に捉えさせ、そのスパッと切った時の快感さえも享受させてしまいます。

ご協力その3 「ご協力ガエル ケロ美の部屋」 ー "物語=向こう側" と "現実=こちら側" の中間的存在

今回のご協力ガエルには、ケロ美という「視聴者の存在を知らない普通のキャラクター」が、初めて登場します。ご協力ガエルくんがドアの外からあなたに話しかけたとき、ケロ美は眠りに落ちていますし、最後にご協力ガエルくんがこちらにウィンクを投げるときも、私たちの存在に気が付きません。
そんな設定の中で、あなたはご協力ガエルくんのサプライズに協力し、物語はハッピーエンドを迎えます。ご協力ガエルくんは、「フィクションの世界=向こう側」と「現実=こちら側」の世界を繋ぐ中間的な存在と捉えることもできるかもしれません。

ご協力その4「頑張れ!キューブ」 ー 身体的な負荷と映像

映像の中で、2つのキューブが吸着し、また分離するという不思議なことが起こります。これをあなたは、息を吸って止めたり、吐いたりしながら見ることで、自分の呼吸の状態と2つのキューブの状態に関連性を感じます。息を止めているのは苦しいものです。その身体的な負荷が映像の内容と関係を持つという点が、「頑張れ!キューブ」の特徴かもしれません。

更に込み入ったご協力「背中黒板」 ー 身体性の拡張によるエラーの体験

指先で背中に文字を書いて、書いた文字を当てる遊びをした経験のある方は多いと思います。それが何という文字をなぞっているかということを読み解こうとするのですが、思いの外、当てるのが困難だったりします。この女の子も、くすぐったそうに笑みを浮かべた後、画用紙に「め」ではなく、誤って「ぬ」と書いてしまいます。そんなあなたとこの女の子とのかわいいディスコミュニケーションを、この映像とスマホの背中に字を書くという行為によって、体験することができます。
もしあなたが、指示文を無視して「ぬ」と書いてみたら、どのような気持ちになるのでしょうか…気になった方は、ぜひ試してみてください。

以上、第3回に収録されている5つの「ご協力」の解説でした。
応用的な要素を含んだ、一筋縄ではいかない内容になっていたかと思います。

また、今回の「加藤小夏のご休憩タイム」では、なにやら今までで最も大掛かりな装置を小夏さんが作っています。奮闘する小夏さんの姿を見ながら、ひとときのご休憩をお楽しみください。


残すところあとわずか!
「ご協力願えますか」全4回を、どうぞお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

cat_12_issue_oa-vi-gokyouryoku oa-vi-gokyouryoku_0_2974e5dd90cf_佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第2回「広がる"ご協力"の世界」 2974e5dd90cf 2974e5dd90cf 佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第2回「広がる"ご協力"の世界」 oa-vi-gokyouryoku 0

佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第2回「広がる"ご協力"の世界」

新しく配信が始まった『ご協力願えますか』、もう体験していただけましたでしょうか?

『ご協力願えますか』は視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「ご協力」をしてもらう事で初めて成立する映像実験番組です。

映像に請われるまま、妙な「ご協力」をこなしていくうちに、今までに体験したことのない「得も言われぬ気持ち」が沸き起こった方も多いのではないでしょうか。

番組が提供したいのは、この新しい「気持ち」そのものなのです。

前回の第1回「こんな気持ち、初めてだ」では、映像と身体の関係性から生まれる"新しい表現"の入り口を、皆さんに感じていただけたのではないかと思います。

第2回では「ご協力」のさらなる広がりをお楽しみください。
映像を見ながら手をあげたり、スマートフォンの縁を指先で一周したり…そんな、日常生活ではあまりやらないような「ご協力」にも、すごく自由な表現の可能性が潜んでいます。

この記事では、その第2回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、解説を読んで理解を深めてください。

ご協力その1「タクシー」ー身体の記憶による解釈

ただ、目の前にタクシーが停止するだけの映像にも関わらず、片手をあげながら見たことによって、あなたは不思議な気持ちを覚えたのではないでしょうか。

その理由は、私たちの中で「片手をあげる」という動作と「タクシーが止まる」という結果が、つなぎ合わされていることにあります。特に、日常的にタクシーを拾うことの多い人ほど強く、その習慣が、身体に記憶として残っているのです。

この映像の中でタクシーが止まったときに、あなたに不思議な納得感をもたらすものの正体は、その「身体の記憶」です。

ご協力その2「足の裏」ー因果性の捏造による濡れ衣

女性がくすぐったそうに足をジタバタとするのを見て、あなたは自分がスマートフォンの裏面をこちょこちょとなぞっているからだと感じ、決まり悪さ、あるいはこの女性に対する申し訳なさまで感じてしまったのではないでしょうか。

スマートフォンの裏面と女性の足の裏には位置関係の整合性がないにも関わらず、あなたの指先は、それを軽々と乗り越えて、女性の足の裏に届いてしまいます。
そんな揺るぎない「身体性の拡張」が、結果的にあなたに濡れ衣を着せてしまうのです。

ご協力その3 「ご協力ガエル 紹介」ー"物語"への積極的参加

第1回と同様、ご協力ガエルのテーマは「"物語"への積極的参加」です。
今回、あなたのご協力によって動き出す水たまりは、第1回における岩と違って、初めから画面の中に描かれています。つまり、本当は自分の動作がその対象に作用しているわけではないということがより明白です。
それにも関わらず、またしてもあなたは、自分の関与によって水たまりが移動したと感じたのではないでしょうか。タイミングがおおよそ合いさえすれば、わたしたちはあらゆることを乗り越えて、やはりそこに因果関係を感じてしまうのです。

ご協力その4「空気穴」ー身体の記憶による解釈

映像の中の醤油差しのてっぺんには、空気穴が空いています。
そして、指を離し、醤油が流れ出した瞬間、あなたは自分の動作とその結果に何らかの関係性を感じると同時に、「自分の指が空気穴を押さえていた」という最も整合性の取りやすい解釈をしたのではないでしょうか。

「タクシー」と同じく、このようなタイプの醤油差しを使った経験がある人ほど、その「身体の記憶」によって、より強い表象(気持ち)がもたらされるはずです。

更に込み入ったご協力「脱走犯」ー漢字の成り立ちの体感

スマートフォンの縁を指先でなぞると、なぜか逃げている脱走犯が枠によって囲われていきます。説明のつかない現象も、因果性の力によって簡単に自分の意図的な操作に置き換わってしまいます。
そして、枠を一周させると、逃げていた「人」が囲われて「囚」の字が完成します。「囚」という漢字の成り立ちは、このように「人を囲う」という事に端を発しますが、この映像では、その成り立ちを体験的に学習できるのではないかと考えました。

以上、第2回に収録されている5つの「ご協力」の解説でした。
スマートフォンでしかできない新しい表現の、さらなる可能性を感じていただけたとしたら幸いです。

また、今回の「加藤小夏のご休憩タイム」では、鏡を使った難易度の高い映像実験に挑戦しています。悪戦苦闘する小夏さんの姿を見ながら、ひとときのご休憩をお楽しみください。

まだまだ続く「ご協力願えますか」全4回を、どうぞお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

cat_12_issue_oa-vi-gokyouryoku oa-vi-gokyouryoku_0_62c9b265bb5d_佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第1回「こんな気持ち、初めてだ」 62c9b265bb5d 62c9b265bb5d 佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第1回「こんな気持ち、初めてだ」 oa-vi-gokyouryoku 0

佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第1回「こんな気持ち、初めてだ」

『ご協力願えますか』は、視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「協力」をしてもらう事で初めて成立する映像実験番組です。どうぞ全画面でお楽しみください。

スマートフォンを強く握ったり、裏面を指でなぞったり、はたまた、画面を見ながら息を止めたり… そんな妙な「協力」の数々によって、今までに体験したことのない「得も言われぬ気持ち」が、皆さんの胸の中に沸き起こります。

番組が提供したいのは、この新しい「気持ち」そのものなのです。
では、なぜこんなにも新しい体験が生まれるのでしょうか ーー

人類は、スマートフォンというメディアによって、初めて映像を手に持てるようなりました。これは、映像は身体の一部になった、と言い換えることもできます。そして、スマートフォン上の映像と身体の関係を研究すると、そこには、今までにない表現が生まれる可能性が溢れていたのです。

今回、私たちは、わかりやすいものから挑戦的なものまで、選りすぐりの映像を集め、全4回のエピソードを構成しました。
この記事では、その第1回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、どうぞ、お楽しみください。

ご協力その1「空き缶」 ー 視覚情報と触覚情報の共謀

あなたがスマートフォンをギュッと握ると、同時に、映像の中で空き缶が見事につぶれます。握るという感触(触覚情報)と缶が潰れたという視覚情報を同時に得ると、人は自分が缶を潰したかのような気持ちを覚えます。映画の4DX上映など、視覚・聴覚以外の刺激を取り入れた映像コンテンツは世の中にみられますが、その根本は、視覚情報とその他の身体感覚情報の共謀です。

ご協力その2「砂」 ー 動きの記憶と身体性のマッチング

画面一杯に広がった砂。その一部が動いているのを見て、あなたは子供の頃に公園の砂場で遊んだ記憶などから、直感的に、砂の下をちょうど指先くらいの大きさの物がうごめいていると感じます。そして同時に、あなたはスマートフォンの裏側を、指先で縦にゆっくりとなぞっています。あなたは、その両方をマッチングさせ、自分の指が砂を後ろからなぞっているという気持ちを抱きます。

ご協力その3 「ご協力ガエル 脱出したい」 ー "物語" への積極的参加

"カエルが谷底から脱出する" という物語を見ていると、途中で突然、カエルがあなたに「特殊な協力」を求めてきます。あなたがスマートフォンを斜めに傾けたことと、岩が転がってきたという出来事との間には、あるはずのない「因果関係」という結びつきが生まれ、あなたは傍観者の立場から一転して、カエルが無事に脱出に成功するという物語に参加したような気持ちになります。

ご協力その4「新たな支点」 ー 理由の補完

5円玉の振り子が、空中の何もない位置で不思議と折れ曲がります。人は不可解な物事に対峙した際、それをわからないままにするのではなく、本能的に何かしらの理由を求めます。この場合、スマートフォンの裏面に添えられたあなたの指が、そこで糸が折れ曲がることの理由を補完しているかのようです。

更に込み入ったご協力「ニュートン」 ー 拡張現実的表象

カメラに向かってリンゴが落ちて来る映像と、次に映像の中の手にリンゴがキャッチされる映像。それらの映像があなたの手の動きとシンクロすると、まるで目の前の空間でリンゴが落下し、それをあなたが見事、キャッチしたかのような表象(気持ち)が得られます。身体の記憶と視覚情報のマッチングです。

以上、第1回に収録されている「ご協力」全5つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

番組では他にも、連続して求められる様々な「ご協力」から開放され、リラックスして観る「加藤小夏のご休憩タイム」も用意されています。

番組のナビゲーターでもある加藤小夏さんが、机に向かってスマートフォンならではの "ハッとする" 映像実験に挑戦する、手作り感満載なかわいいコーナーです。毎週、加藤小夏さんが挑戦する様々な映像実験を見ながら、ひとときのご休憩をお楽しみください。

それでは、全4回の「ご協力願えますか」を、どうぞお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。