阪神は今季も悲願の優勝には手が届かなかった。チーム成績は2位ながら、巨人には8勝16敗と大きく負け越し、7・5ゲーム差の独走Vを許した。宿敵を上回るには、どこに課題があるのか。優勝へのカギは何か。監督経験者らレジェンドOBが分析する。第2回は藤田平氏の声。
◇ ◇
配球を読み過ぎていた印象だ。今年の阪神打線は、早いカウントで甘いボールを見逃すシーンが目立った。これは、相手バッテリーの配球を意識し過ぎていたためではないか。ボールがど真ん中に来ても、自分の頭にない球種だと反応できないようだった。
配球を読むことは必要ではある。特にセ・リーグは、ヤクルトで監督を務めたノムさん(故・野村克也氏)のID野球の流れがあり、パ・リーグより配球のデータを重んじる。
状況に応じて相手バッテリーの立場になって考えることは大事なのだが、同時にそれは投手にもいえる。時には打者心理を読まれて、こちらの裏をかこうとしてくる。
基本的な心構えとしては、読んでいた球種と違っても、甘いボールなら対応できるようにしておくということ。同時に真っすぐを待ちながら、甘い変化球にも対応できるように意識しておかなければならない。
日本シリーズのソフトバンクが良い例だ。各打者が追い込まれる前に自分の打てるコース、球種を積極的に打ちにいった。パはセに比べて配球を読む傾向が薄く、配球データを参考にしながらも甘いボールに反応できるようにしておく意識が強いことが要因といえる。
練習は試合のように、試合は練習のようにできなければいけない。大山は今年、28本塁打を放ちタイトル争いをするなど成長した。ただ、その中でも早いカウントで来た甘い球を見逃し、追い込まれてからボールを振る場面も多かった。これも配球を読み過ぎていたからだろう。
来年は相手も、これまで以上に意識してくる。今年以上にボール球を振らせようとしてくるだろう。広島・鈴木誠のように、しっかり四球を選べるようになってほしい。
甘い球を見逃さずボールは振らない。加えてストレート待ちで、変化球にも対応できる心構え。さらに「準備は徹底的に」「行動は思い切れ」。こういった意識を常に持ちながら臨んでいってほしい。
外部リンク