下を向きながら力なく一塁に走る。そんな41番の大きな背中を、無観客のスタンドから見つめた。希望に満ちあふれた5カ月前、誰が現状を予測していただろう。打開策が欲しい。何気なくツイッターを流し見していると、2人の大エースが同じ指摘をしていた。
元巨人の上原氏、元ソフトバンクの斎藤氏。2人とも「フルスイングされた方が投手としては嫌だ」と言う。確かに今、記者席までスイング音が聞こえるのは、糸井くらいだろうか。金本前監督の現役時代、お酒を飲みながら聞いた昔話が、耳から離れないでいる。
「浩二が打った、衣笠が打った。慶彦が盗塁したぞとか、友達と話してね。負けても、それだけでうれしかった」。トーナメントではない野球の魅力。明日につながる戦いを。「近本、速かったな」、「ボーアのホームラン、めっちゃ飛んだな」。今は、そんな夢のある会話が聞きたい。(田中政行)
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