「阪神3-0広島」(15日、京セラドーム大阪)
阪神が後半戦開幕カードを勝ち越し、両リーグ通じて一番乗りで50勝に到達した。勝利に導いたのは近本光司外野手(26)。初回、右翼席へ先制点をたたき出す自身通算7度目の先頭打者本塁打を放った。三回の中前打で今季33度目のマルチ安打もマーク。負ければ首位陥落の危機だったが、2位巨人とは1ゲーム差のまま。頼れるリードオフマンがこれからもチームを救う。
気迫を込めた白球が一直線に伸びていく。首位を死守するために負けられない一戦。悠然とダイヤモンドを回った近本は、ベンチに戻ると「虎メダル」を贈呈された。今季3度目の先頭打者本塁打。正念場を迎えたチームに、一発で息吹を与えた。
「今日も勝たないといけない試合だったので、初回からしっかり(塁に)出ることを意識して。でも今日は何とかいけそうな気がするなと思ったので、しっかり振り切ってよかったなと思います」
機先を制するとは、まさにこのことだ。初回、先発・大道の5球目を捉える。真ん中付近に入ってきた147キロ直球をコンパクトに鋭くスイング。打球は失速することなく、右翼スタンドへ到達した。4月21日の巨人戦以来となる先頭打者アーチは通算7本目。球団歴代では、吉田義男の9本に次いで、単独6位となった。
貴重な追加点も近本のバットが起点となった。先頭の三回。中前打で出塁すると、その後二塁に進塁し、サンズの中前適時打で一気に生還した。
何度も同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。今季も開幕から状態が上がらず、2年連続でスタートにつまずいた。「シーズン開幕や後半戦の初戦といった試合の間隔が開くのが、ちょっと苦手なのかなと思います」と不安視していたが、見事にそれを払しょくした。
示したのは、3年目の真価。エキシビションマッチは、13打席連続無安打と調子が上がらないまま終えていた。「試していたことがあんまり自分の思っていた結果というか、成果が得られなかったので。(後半戦の)スタートはあまりよくなかったんですけど、その日のうちに修正できて、打席の中での意識というのもだいぶ分かってきた」と、復調へのきっかけをつかんだ。
選手会長のアーチで流れに乗り、つかんだ勝利。これで両リーグ最速の50勝に到達した。「毎日、後半になったら大事な試合が多くなってきますし、どの試合も勝たないといけない」。16年ぶりのリーグ優勝へ。真っすぐ前だけを向き、戦い続ける。
外部リンク