「阪神3-1中日」(4日、京セラドーム大阪)
京田の懐をえぐった1球に阪神・ガンケルは何度もうなずいてベンチへと戻った。日本で成功するため、新たな境地を切り開くために選択した左打者へのカットボール。どん詰まりの一ゴロが、七回途中1失点で2勝目を挙げた右腕にこれ以上ない自信を植え付けた。
同点の六回だった。2死一、二塁のピンチを招き、打席に京田を迎えた。カウント2ストライクからの4球目を投じる前、ガンケルは梅野のサインに10回近く首を振った。
「投げたかったボールと梅野さんが要求したボールに違いがあった。投げたかったボールがあのようなシチュエーションでこれまで投げていないボールで、今までと違うことを自分がやりたかった」
選択したのは女房役のデータにもなかった1球。来日1年目の昨季、ガンケルは左打者に被打率・290と打ち込まれた。帰国前に課題を洗い出し、克服するためにオフから練習を重ねてきたのが左打者の懐を厳しく突くカットボールだった。
勝負どころで“新兵器”を寸分の狂いもなく投げ込み、チームを連勝へ導いた右腕。お立ち台では「タイガースファンズ、イツモアリガトウ」と笑顔で締めた。リーグトップの防御率0・73と安定感抜群の助っ人が、新たな武器を手にセ界の打者をなぎ倒す。
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