セのCSファーストSは巨人が阪神に2連勝。ヤクルトと戦うファイナルSへの進出を決めた。この2試合での勝敗の分かれ目を含め、巨人と阪神の差はどこにあったのか。デイリースポーツウェブ評論家・内田順三氏に聞いた。
◇ ◇
巨人は戦い方を徹底していたよね。それを象徴するのが送りバント。初戦の五回、ウィーラーにやらせただけでなく、丸のセーフティーも含めて2試合で計4個を決めた。巨人からすれば主力だろうがバントするのはシーズン通りの戦い。原監督のやる野球を全員が理解しているからこそ、うまく機能したよね。逆に言えば、阪神は簡単にバントをやらせすぎたということも言える。
阪神の攻撃面はどうだったか。犠打は2試合を通じてなく、初戦の五回には一走・マルテの場面でヒットエンドランを仕掛ける奇襲をみせた。これが巨人バッテリーにウエストされ、マルテが盗塁死。阪神ベンチはこれ以降動けなくなり、このワンプレーがファーストSの流れを決めてしまったように思う。
あの場面を振り返れば、カウント1ボールから、一走・マルテでウエストすることはよほどの根拠がなければできない。ベンチもしくは小林が相手のサインを見破ったのか、伝達の仕方で察知したのかは分からない。ただ、菅野が一塁に探りのけん制を入れたところで、打席の糸原はバントを構えるフリもしていない。そういったことも「100%バントはない」と確信に近づけたと思う。
そうした、したたかさ、小さなことの積み重ねが、特に短期決戦では勝敗を大きく左右する。阪神は第2戦の初回の攻撃でももったいない場面があった。1死一、二塁から暴投で二走・近本が三塁へ進んでいるのに、一走・糸原は二塁に行っていない。1死一、三塁と1死二、三塁では守備位置や配球も変わってくる。初戦からファーストストライクをどんどん打ち、走者一塁の場面でのワンヒットで一気に一、三塁の形を作っていた巨人とは対象的に、阪神は走塁面を含めて積極性も欠けていた。
短期決戦はシーズンとは違う。借金1の3位と屈辱を味わった巨人は岡本和を欠くなか、全員が腹をくくり、原監督を中心に一丸となっていた。巨人と阪神の経験の差が、そのまま結果に出た2試合だった。
外部リンク