「阪神6-5ヤクルト」(18日、甲子園球場)
2つのタイトルの文字は視界に捉えた。阪神の大山悠輔内野手(25)が1点を追う初回、右翼線へ逆転の2点適時打を放った。これで今季74打点とし、リーグトップの巨人・岡本に4差と接近。目の前で5打点を稼いだヤクルト・村上に抜かれたが、それでもリーグ3位タイだ。残り19試合。26本でトップを走る本塁打との2冠へ、全力で走り抜ける。
逆転を願う虎党がスタンドから応援バットをたたく。その視線の先にいるのは4番・大山。チームの顔はファンの期待を裏切らない。思い切り振り抜いた打球が右前に弾むと、聖地が大いに沸いた。
「ランナーをかえすことだけを考えて打席に入っていた。逆転できて自分の仕事ができたかなと思います。追い込まれていたのでとにかく必死にボールに食らいつくだけでした」
1点を追う初回1死二、三塁。フルカウントから小川が投じた内角の145キロ直球をさばいた。逆転の2点適時打。固唾をのんだ虎党の表情が一気に晴れやかになる。そして、塁上の大山も、うっすらと笑みをにじませていた。
2打点をマークし、今季74打点。78打点でリーグ1位の巨人・岡本に、4差に迫った。本塁打数は26発でリーグトップの大山だが、打点との“2冠獲り”も完全に狙える位置にいる。
3割30本も十分に視界に捉えている。この日は1安打で、打率は・297を維持。目前に迫った大台に達してのシーズン完走となれば、自身初だ。打率、本塁打、打点ともにその数字をどこまで伸ばせるか、期待が高まる。
4番であれば、当然マークも厳しくなり内角攻めも増える。それに屈することなく成績を残せる現状を、「必死にやってる結果」と冷静に分析。「1球に対する必死さ。食らいつきの技術ではどうにもならないことがあるので。勝利に貢献したいという気持ちであったり、全てが合わさってやっている」と思いを吐露した。
矢野監督は「中身がしっかりしてるよね。たまたま打っているんじゃないというのは成長」と目を細める。本塁打王、打点王ともに射程圏となっているだけに「大いにモチベーションにしてくれて、獲れるものを獲ってくれたらいい」と2冠獲得へ期待を寄せた。
ヤクルト・村上がこの日、5打点を挙げ76打点となったが、大山は「村上くんの打点は村上くんの打点なので」と平静を保った。「今は目の前の試合。僕はチームがどうだったかというところなので」。勝利へつながる一打を積み重ねていく。
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