「DeNA6―8阪神」(27日、横浜スタジアム)
プロ9年目の苦労人右腕が、ついにプロ初勝利をつかんだ。2年ぶりに1軍のマウンドに上がった阪神の伊藤和が1点ビハインドの八回から登板し、1回無安打無失点の好投で逆転劇を呼び込んだ。かつて同じ背番号92を背負った藤川からウイニングボールをもらい、勝利の味をかみしめた。
「今さらって感じで恥ずかしいですけど、勝てたことは素直にうれしいですね」
八回、先頭の大和は143キロ直球で一飛。続く中井をチェンジアップで空振り三振。最後は梶谷に対し、捕手の梅野が構えたところへ145キロ直球を投げ込み、見逃し三振。「ゼロに抑えることだけを考えていました」と納得の三者凡退だ。
「あの言葉が直球に自信をくれました」―。18年、ファームの抑えだった伊藤和。当時の2軍首脳陣、2人の言葉が自信となった。一人は藤井2軍バッテリーコーチ。「お前の真っすぐは飛ばないから自信を持って投げろ。絶対にいける」。以来、全力で直球を投げられるようになり「思い切って腕を振れるようになったんです」と懐かしげに明かす。
もう一人は矢野監督だ。2軍監督時代の「どうせやるなら楽しんでいこうぜ」という一言が原動力となっていた。試合後、監督は「和雄、おめでとう」と直接祝福し「和雄の1勝は俺にとっても忘れられない1勝」と感慨に浸った。
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