「阪神3-14ヤクルト」(18日、甲子園球場)
悩める大砲に待望の一発が飛び出した。阪神の新外国人、メル・ロハス・ジュニア外野手(30)が来日22打席目で初安打となる中越え1号ソロを放った。五回1死からバックスクリーン左に特大アーチ。六回2死一、二塁でも中前適時打。ヤクルト戦の連勝は6で止まったが、矢野阪神に明るい材料が増えた。
虎党が待ち望んだアーチが、甲子園の夜空にかかった。22打席目に飛び出した来日初安打となる第1号。湧き上がる熱い気持ちを必死に抑えて、ロハスはダイヤモンドを駆け抜けた。
ファンだけでなく、自身にとっても待望の一発だった。「チームが負けてしまったので、あまりうれしい気持ちはないけど。ホッとしたかな。最初のヒットがホームランになってよかったよ」と表情を緩ませた。
大砲として期待されながら、結果が伴わないジレンマにようやく別れを告げた。5点を追う五回1死で第2打席を迎えた。サイスニードに対して、カウント2-2から外角の150キロの直球を強振。バックスクリーン左に飛距離127メートルの本塁打を放った。
1打席目は空振り三振に倒れ、デビューから21打席連続で無安打となり、自らの持つ球団外国人ワースト記録を更新していた。「長い間打つことができてなかったけど、その中でもポジティブに自分の気持ちを持つことができた」と胸の内を明かす。なかなか一打が出なかった現実。真面目な性格だからこそ、何とか期待に応えたかった。
試合に向けて怠らなかった準備。前日17日は休日だったが、ロハスは甲子園の室内練習場にいた。「自分の中でタイミングがずれているのは分かっていた」と本来のバッティングを取り戻すために打撃マシンと対峙(たいじ)し、黙々とバットを振り込んだ。
六回にも快音を響かせた。2死一、二塁のチャンスで打席に立つと今度は中前適時打。豪弾の次はコンパクトなスイングで結果を残した。
異国の地でプレーする1年目。コロナ禍の影響もあり、家族を米国に残してきた。慣れない環境での単身生活は辛いが、一家の大黒柱としての覚悟と責任感がパワーの源だ。「家族というのは自分にとって大切な存在。息子が父親を誇れるように、これからも一生懸命プレーして頑張っていきたいね」と誓う。猛虎の悲願達成へ、ロハスが確かな原動力となる。
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