「阪神0-0ヤクルト」(20日、甲子園球場)
阪神にとって痛すぎる引き分けとなった。逆転Vのためには絶対に勝たなければいけない一戦だったが、前日16安打11得点の打線が一夜にして一変し、沈黙。阪神元監督でデイリースポーツ評論家の藤田平氏(74)は、五回に訪れた無死一、二塁の絶好機での作戦に「大いに疑問を感じた」と指摘した。
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攻撃面で大いに疑問を感じた試合だ。まず五回無死一、二塁から小野寺にバスターさせた場面。おそらくベンチのサインだろう。
しかし、小野寺は打率1割台のバッターだ。バスターをさせるということは、より確率を低くさせることになる。ヒッティングより難しくなるためだ。
定石通りなら送りバント。続く打者が8番・坂本、9番で投手のガンケルという側面もある。しかし、1死二、三塁とすれば相手バッテリーへのプレッシャーが変わってくる。ガンケルとヤクルト・高橋の両先発が好調で1、2点勝負の展開。より1点が重くなる試合だった。
3割打者にはバント
そして九回無死一塁、一走が中野で近本に送りバントさせた。近本は唯一の3割バッター。今の打線の中でも好調の打者だ。六回の似た状況で二ゴロ併殺に倒れていたとはいえ、足のある2人で再び併殺となる可能性は低い。本来は打たせていい場面。打力と走力を生かせるヒットエンドランでもよかったのではないか。
近本に関しては、この日の打順は3番だった。首脳陣は打って走者をかえしてほしくて3番を任せた面もあるだろう。ただ、四回1死一塁からファウルとなったが、セーフティーバントを試みていた。この様子を見てベンチは、近本の気持ちが少し消極的になっていると察し、九回はバントさせたのかもしれない。
いずれにせよ残り4試合。この日の引き分けでヤクルトの優勝マジックは3に減り、情勢はさらに厳しくなった。それでも可能性のある限り、ファンが応援してくれている以上、勝利にこだわり戦わなければならない。
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