「ヤクルト5-6阪神」(8日、神宮球場)
一塁ベースを回った阪神・梅野は喜びをかみしめるように何度も右拳を握った。1点を追う八回、打席に立つ直前、5番・佐藤輝が左翼・青木の落球で得た1死一、三塁の好機で遊飛に倒れていた。悔しそうな怪物新人の顔を見て燃えた。清水のフォークに食らいつくと、打球は三塁・村上のグラブをはじいて左翼線を破った。後輩の無念を晴らす、起死回生の一打だ。
「何とかチームのためにと思って。コンタクトしたら何か起きるんじゃないかと。その一点に集中していた。その後、悠輔(大山)がホームランを打ってくれたし、チームの状態がいい、悪いに関係なく、カバーしていくのが大事だなって改めて感じた試合でした」
雨が降りしきる中、フラストレーションがたまる展開だった。初回に塩見の二盗を刺し、三回までに2点を奪いながら、四回以降、再三の好機であと一本が出ない。好調な打撃を買われ、3試合連続6番に座る梅野自身も2三振を喫していたが、ここぞの場面で、得点圏打率・400の勝負強さを発揮。矢野監督も賛辞を惜しまない。
「(佐藤輝も)救われるよね。チームが勝ってくれた、リュウ(梅野)が打ってくれたというのは全然違う。みんなで勝ちを目指す中、助け合うというところがリュウの一打になった。本当に勝負強く打ってくれました」
前半戦を終えると、球宴、そして東京五輪が待つ。今年の夏は大忙しだが「最後にみんなで笑いたい」と今はシーズンに集中している。9日からの2位・巨人との首位攻防3連戦(甲子園)へ「どの試合も大事やけど、ファンも自分たちもジャイアンツ相手に力が入るゲームになると思う。まずは自分たちの野球ができることが一番いいこと」ときっぱり。前半戦首位ターンへ、扇の要が力を振り絞る。
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