「練習試合、ヤクルト6-5阪神」(21日、神宮球場)
4戦連続安打、5試合ぶりの打点にも笑顔はない。阪神のジャスティン・ボーア内野手(31)=前エンゼルス=が六回に反撃の中前適時打を放ったが、初回1死一、三塁の先制機での凡打を猛省した。主砲の自覚と責任感。開幕延期となった時間的猶予を生かし、さらに打棒を磨く。
見る見るうちに表情が険しくなっていった。「ナイスタイムリー!」と声を掛けられたボーアは「サンキュー」とウインク。だが、その後に口を突いたのは反省の言葉だった。
「それより何より1打席目だよ。少なくともランナーをかえす、最低でもフォアボールを選ばなければいけなかったんだ。その最低限の仕事すらできなかった自分に腹が立つ」
悔しがったのは初回1死一、三塁の先制機。フルカウントから小川の直球を左方向に打ち返した打球は浅い左飛。タッチアップを試みた三走・糸原が塩見のストライク返球の前に本塁憤死となり、絶好機を逃していた。
だが、挽回のチャンスが六回に巡ってくる。2死一、三塁で小川の直球を今度はセンター返し。ライナー性の打球は“ボーアシフト”で二塁ベースの後ろで構えていた遊撃手の頭上を越える適時打となった。「それまでの悪い結果を引きずらなかったのは収穫だった」とうなずいたボーア。これで4試合連続安打。直近7試合のうち6試合で安打を放っている。
それでもメジャー92発の実績を買われて来日した大砲。いまだ本塁打はおろか、長打すら出ていない状況に「俺らも必死にならんと。試合に出られないかもしれないというプレッシャーを少しは感じてほしいっていうのはあるよね。周りは“外国人大丈夫か”って思うし、俺らもそう」と井上打撃コーチは本音を漏らす。
それでもボーアは「これだけホームランを打ってきた経験上、打とうとすればするほど、なかなか出ないというのはよく分かっている。いつか出ると思っているので、焦らずやっていきたい」と“そんなに騒ぐなよ”と言いたげだ。
試合前に井上打撃コーチは「アドバイス的なものは持っているから、うまくいかないと感じたときは聞きに来てくれ」と伝えたという。本来なら開幕を迎えていたが、今はまだ時間の猶予がある。『反省する気持ち』とアドバイスを『聞く耳』があれば、来るべきシーズンで、きっと本領を発揮してくれるはずだ。
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