「広島5-6阪神」(29日、マツダスタジアム)
19歳の若虎が2安打2打点と躍動した。阪神・小幡竜平内野手(19)は二回1死一、三塁から一塁線への絶妙なセーフティースクイズが内野安打となり、プロ初打点をマーク。三回には2死満塁から一塁への果敢なヘッドスライディングで適時内野安打とした。背番号38のハツラツとしたプレーで、チームは勝率5割に復帰した。
勝利への執念が、全身からあふれ出ていた。19歳とは思えないほどのグラウンドでの落ち着きぶり、積極果敢な姿勢を体現したのは小幡だ。プロ初打点をマークしたセーフティースクイズ、そして必死のヘッドスライディング。チームに確かな新風を吹き込んでいる。
1点リードの二回1死一、三塁。大瀬良が初球、外角にシュートを投じたが、小幡はセーフティースクイズを敢行。「切れないでくれ!」。意表を突いたバントの打球は一塁線へ絶妙に転がる適時内野安打。一塁手・松山の悪送球を誘い、2者が生還。ベンチからのサインに一発回答。「初打点を取ることができて、すごくうれしい」と余韻に浸った。
ハッスルプレーでもチームを鼓舞した。4点リードの三回二死満塁。鋭い打球を一、二塁間に放った。二塁手・羽月に好捕されたが、諦めずに一塁へ果敢にヘッドスライディング。一度はアウトと判定されたが、リクエストでセーフに覆った。懸命な走塁が適時内野安打へと結びついた。
昨季は2軍で出場99試合中、93試合に遊撃で起用された。ケガなく一年間戦い抜いたが、本音を漏らした。「新人でも1軍に行くと決めていました。小園や根尾が出ているのに自分だけが出場できなかった。悔しい」-。
昨年12月、岐阜県土岐市内の小学校で一日先生を務めた際には「1軍で出る」と黒板に記した。「ばたやん(小幡)、頑張って!」と約束した児童たちから背中を押された。22日のヤクルト戦でプロ初出場を果たし、目標はかなう。この日は2安打2打点。画面越しからカッコいい雄姿を届けた。
安打、打点ともに広島のエース・大瀬良からマーク。「必死に食らい付いた結果だったので良かった」。試合前は出身地・大分の唐揚げを食したと明かし、「食べて力が出ました」と“鶏パワー”が活躍の源だ。
矢野監督も「ラッキーボーイだよね。今日の(二塁)内野安打もだし、その前の打点も」と賛辞を贈る。小幡の活躍でチームは再び勝率5割に復帰。「思い切ったプレー、ガムシャラさを見てほしい」。ラッキーボーイが旋風を巻き起こす。
外部リンク