「広島0-2阪神」(7日、マツダスタジアム)
雨脚が急に強まった八回裏。石原慶の最後の打席がコールされ、拍手が沸き起こる中、矢野監督が投手交代を告げる。「ピッチャー・能見」のアナウンスに、マツダスタジアムがさらに沸いた。
同じ1979年生まれの41歳。「最後って一生の思い出に残ると思うし、それは能見自身にも残ると思うんでね」。今季初完封目前の秋山を降板させてまで、矢野監督が行った粋な演出だった。
石原慶がフルスイングで2度ファウルにすると、最後は能見が外角高めへの145キロで右飛に打ち取る。全5球直球勝負に、3度のフルスイング。最後の真剣勝負を終え、互いに頭を下げる2人の41歳に、両軍ファンからの拍手が降り注いだ。
「真っすぐと決めていた。しっかりと力勝負ができたらいいかなと思って」。2018年には石原慶に1000本安打も献上している能見。「ホームランを打たれた記憶もあるし…でも最後は僕の勝ちなんで」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
「同級生がいなくなるのでさみしい気持ちもあります」。ヤクルト・五十嵐、ロッテ・細川も引退を決めており、残る同世代はヤクルトの石川と2人だけになる。「まだ元気なので。出番があれば頑張ります」。あと2試合となる阪神での試合、そして来季も-。能見はまだまだ現役にこだわっていく。
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