球界最年長の阪神・福留孝介外野手が26日、43歳の誕生日を迎え、球団を通じて取材に応じた。甲子園での自主練習前には後輩らからサプライズでの祝福を受けたが、自身の勘違いがあって、恥ずかしがりながら感謝。かわいい後輩らのために、あと103本に迫った史上最年長の日本通算2000安打を達成し、15年ぶりのリーグ優勝へけん引する決意を強めた。
パン、パン!パン!!静かな甲子園にクラッカーの音と拍手が響き渡った。福留は驚きながら、一塁ベンチからグラウンドへ進む。視線の先には、笑顔の後輩や裏方の姿が。サプライズでの誕生日祝い。新型コロナウイルスの影響で、沈みがちだった気持ちが前向きになった。
ただ、表情は苦笑い。仲間に伝えた言葉もお礼ではなく、「すみません、遅くなりました」。主役の発言に、サプライズを実行したメンバーは爆笑。和やかなムードが漂った。
理由があった。練習開始予定の午前9時前。上本、糸原、陽川、木浪、坂本、マルテ、裏方らは早めに集合し、一塁ベンチ前で待機していた。だが、主役が一向に現れない。
その頃、福留は自宅で過ごしていた。自主練習が行われない日だと勘違いしていたためだった。トレーナーとの電話で練習日と気付き、急きょ甲子園へ。9時半頃にグラウンドへ向かった。
練習を開始していた選手と裏方は再スタンバイし、サプライズが実現した。クラッカーの後には、坂本からは手作りケーキが渡され、糸原からは「祝・おめでとう」と書かれたたすきを掛けられた。
例年なら試合中に球場全体から祝福されるが、開幕延期で今年は行われない。「そこへの寂しさはある」と話しながらも、「こうやってチームのみんながお祝いしてくれたし、まずは健康で43歳を迎えられたことが第一なのでよかったです」と心遣いに感謝。まだ開幕時期は見えないが、メモリアルイヤーへ気持ちが引き締まった。
史上最年長での日本通算2000安打にあと103に迫り、日本通算400二塁打もあと6としている。個人記録の達成が、05年以来15年ぶりの優勝につながれば、これ以上の喜びはない。
今年はキャンプから衰えを感じさせない動きを見せ、自主練習再開後も調整は順調。この日も打撃練習などで約2時間汗を流した。
今度は優勝して、みんなで笑い合おう。球界最年長の43歳は、心に固く誓った。
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