長くプロ野球記者をしていると、日付を聞いて思い浮かぶシーンがある。7月9日。球場で練習を眺めながら、3年前の熱戦を思い出していた。いまは対面での選手取材はNG。この話を聞いたのはちょうど1年前。試すように聞く僕に、当の本人は明快に答えた。
「糸原デーですね」
ルーキーイヤーのこの年、5月から遊撃のスタメンに定着。同日は初本塁打を含む4安打の活躍。3点差を追い付かれた直後の九回には、マシソンからプロ初となるサヨナラ打を放った。当時の金本監督が「糸原のための舞台」と称した日だ。
「あ、しかも巨人戦か」と思い出したように、昨年も7月9日は巨人戦。一つのきっかけにしてほしい。直近は3試合連続でベンチスタートなど、チーム同様に苦しいスタートとなった。この日からスタメンに復帰。節目の“糸原デー”から復調を。下克上には主将の奮起が欠かせない。(田中政行)
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