「ヤクルト5-9阪神」(27日、神宮球場)
やっぱり本物やで!!阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が、初安打を球団新人で史上最速タイとなる開幕2戦目での初本塁打で記録した。初回に神宮がどよめくバックスクリーンへの特大2ラン。開幕3戦目に初本塁打を記録した69年・田淵も超えた。歴史的一発で17年ぶりのビジター開幕2連勝へ導いた。
神宮の青空に向かって描かれた放物線に、スタンドからどよめきが巻き起こった。ファンからは割れんばかりの歓声が響き渡る。9971人の多くが拍手を送る最高の景色。佐藤輝にとって忘れられないシーンとなった。
「(歓声は)最高に気持ちよかった。1本目が出て良かったです。これをイチとして積み重ねていきたい」
2点を先制後の初回2死三塁だ。田口の126キロスライダーにフルスイング。中堅・塩見はすぐに追うことを諦めて行方を見つめた。プロ初安打がバックスクリーン上部を直撃する1号2ラン。12球団新人最速アーチとなった。
田淵氏の開幕3戦目を上回り、球団新人で史上最速タイとなる同2戦目の初本塁打。巨人時代の昨季まで4勝11敗と、阪神が苦手にしていた田口攻略へ導く一発となった。
ダイヤモンドを一周し、ベンチ前で待つナインの元へ。ももクロのZポーズ、ゴリラポーズ、サングラスポーズの3ポーズを披露。「(Zポーズを)やれて良かった。今後?いろいろ考えてやりたい」と声を弾ませた。
勢いに乗り、七回2死は左前打を放ってプロ初マルチ安打。さらに二盗を決めてプロ初盗塁をマーク。最後まで虎党を楽しませた。
甲東ブルーサンダースに所属していた小学生の頃、父・博信さんがある“名言”を授けた。「テル、あの木に向かって打ってみろ」-。かつてヤクルトなどで通算486本塁打を放った大杉勝男氏が、飯島打撃コーチから「あの月に向かって打ってみろ」と指導を受けた話を基に、スケールの大きい打者となるように助言。高く、遠くにアーチを飛ばす原点はここにあった。
佐藤輝は甲東小学校の卒業文集に「将来はプロ野球選手になろう」と書き記した。仁川学院2年時の3月には、家族の前で堂々と宣言。「プロに行きます」。高校野球部引退後に撮影された卒部ビデオでは「5年後には素晴らしいプロ野球選手になっていると思います」と断言した。有言実行でプロ入りを果たし、神宮で次の目標への挑戦が幕を開けた。
開幕2連勝へ導いた主役は万雷の拍手の中、初のヒーローインタビューへ。「優勝を目標に、戦力に少しでもなれるように頑張ります」。記念球は両親へ贈る予定だ。最後は家族が見守る三塁席に向かってZポーズを決め、神宮を後にした。
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