「阪神3-1中日」(4日、京セラドーム大阪)
全身の感覚すべてをボールに合わせた。余計なことは考えずに、ただ来たボールを仕留める。一切の雑念を振り払い、内角寄りに甘く入ってきたチェンジアップをこん身の力で振り抜いた。弾丸ライナーで右翼席に突き刺さった白球。36打席目でようやく手にした阪神・近本の今季1号が、痛烈な先頭打者弾となった。
「うれしいというよりも、ホッとする。安心というか、気持ち的にやっと(本塁打が)出たというか。これは難しい感情ですね」
初回、小笠原が投じた初球から積極的にバットを出した。直球を2球連続でファウル。追い込まれても、狙いとイメージはブレなかった。「チェンジアップとかではなくて、来た球を打てた。いいところに目付けできていたというところがあったので」と左腕の失投を完璧に捉えた。
昨年9月17日の巨人戦以来となる自身通算5度目の先頭打者アーチ。開幕から打率1割台と低迷が続いていたリードオフマンに復調の兆しを見せる待望の一発が飛び出した。さらに1点リードの七回無死一塁では一塁側へバントすると、快足を飛ばして内野安打に。続く糸原のダメ押し適時打をお膳立てだ。
昨季同様に開幕から低空飛行が続いた。3日の同戦では、0-0の九回1死二塁と一打サヨナラの場面で昨年7月16日以来の代打を送られた。「打ちたいというのはありましたけど、チームが勝つために必要なことなので。僕が打って出るというよりも代打を送る方がいいのかなと思いましたけどね」と冷静に現実を受け止めた。
だからこそ「勝つために必要なところで必要なプレーをどんどんしていきたい」-。自らの手で勝利に貢献し、個人記録よりもチームをVへ導くことを最優先に置く近本。芯の強い選手会長が、虎を上昇気流に乗せていく。
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