「巨人6-3阪神」(15日、東京ドーム)
粘り、そして懸命に食らいついた。首位・巨人との負けられない一戦。阪神・近本は執念と意地をバットに込め、敵地に豪快なアーチをかけた。菅野が腰に手を当てるのを横目にダイヤモンドを回ること2度。自身初の1試合2本塁打も、勝利を得ることはできなかった。
窮地に立たされて迎えた伝統の一戦。この日は阪神にとって特別な日だった。2003年9月15日、星野監督の下で18年ぶりのリーグ優勝を決めた。17年後の同じ日、宿敵に敗れて自力Vの可能性が消滅。そんな中で意地を見せたのが近本だ。
まずは、同点に追いつかれた直後の三回だ。簡単に2死を奪われた後、「コンパクトに強くスイングする意識で打席に入りました」と1ストライクからの2球目、真ん中高めの150キロ直球をフルスイング。完璧に捉えられた打球は右翼席上段に届く4号ソロとなり、勝ち越した。
再び右腕に唇をかませたのは2-2の五回1死無走者で迎えた第3打席。次は1ボールからスライダーを捉えた。またしても、打った瞬間にスタンドインを確信させる豪快な5号ソロ。16年の広島・田中広以来2人目、虎史上初となる菅野から2打席連続本塁打でリードを奪った。
初回から敵の絶対的エースを攻め立てた。先頭で直球を右前へはじき返して出塁。梅野の犠打で二塁へ進むと、3番・糸原の中前適時打で生還した。チームにとって東京ドーム36イニングぶりとなる得点。リードオフマンがチャンスをつくり、流れるような攻撃で先手は取った。
今季はこの試合前まで対巨人は打率・115と苦しんでいた近本。この日は4打数3安打で2本塁打、2打点と光った。猛打賞の若虎に矢野監督は「もちろん素晴らしいね。文句のない攻撃でした」と評価した。
巨人と10・5差と大きく離されたが、もちろん逆転優勝を諦めるわけにはいかない。カギを握るのは切り込み隊長を託されている近本のバットだ。まずは16日の一戦、絶対に勝つ。
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